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柳楽優弥と栄信の最凶コンビがヤバすぎる! 『今日から俺は!!劇場版』でスケールアップに貢献

リアルサウンド

20/7/21(火) 8:00

 賀来賢人が演じる三橋と、伊藤健太郎が演じる伊藤がついにスクリーンに登場。清野菜名と橋本環奈によるダブルヒロインなど、ドラマ版でお馴染みのメンツが大暴れする『今日から俺は!!劇場版』だが、“劇場版”らしくスケールアップした本作で彼らの相手となるのが、柳楽優弥と栄信だ。彼らはヤバすぎる。

 相変わらず、“おふざけ”が過ぎる三橋をはじめとする面々。彼と犬猿の仲である(!?)今井(仲野太賀)や谷川(矢本悠馬)との掛け合いも楽しいが、もちろん愉快なのはツッパリ高校生たちだけではない。椋木先生(ムロツヨシ)ら教師陣や、理子(清野菜名)の父・哲夫(佐藤二朗)の“おふざけ”も度を超えている。誰も彼もがヤバい。しかし、テレビドラマ版から続投しているキャラクターたちとはまったく違う路線でヤバいのが、柳楽が演じる柳と栄信が演じる大嶽だ。柳の特徴的なロングヘアーは少しばかり面白いが、彼らは“おふざけ”一切なし。本当に危険なのである。

【写真】『3年A組』『ニッポンノワール』出演の栄信

 智司(鈴木伸之)と相良(磯村勇斗)がかつてトップに君臨していた不良の巣窟・開久高校に、間借りしにやってきた極悪高校・北根壊。この北根壊高校で番長を張っているのが柳と大嶽で、彼らは冷酷非情な存在だ。暴力を振るう対象は無差別で、同胞たちに対しても平気でメッタ打ち。一度スイッチが入ると誰にも止められない。それでいて、無害な優等生の良心を操るような策士でもある。やることなすこと卑劣な、とにかく救いがたい連中なのだ。

 さらに、彼らはなんと言っても強い。大嶽の一発のパンチは非常に重く、開久の智司のことさえ何度も膝をつかせるほど。正直なところ、正々堂々とタイマンを張ればどうなるものか……。そして柳もまた肉弾戦に長けている男だが、そのうえ彼はナイフ使いでもある。その刃を向けることに、柳は相手が誰であろうと躊躇しない。終始ニヤケ顔でナイフを操る危険人物なのだ。

 暴力的なキャラクターを演じている柳楽の代表作といえば、やはり『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)で間違いないだろう。同作で演じた芦原泰良という男もまた、常識が一切通用しない荒くれ者であった。喧嘩をすることだけが生きがいのこの人物は、現代においてその設定からして異常な存在である。こんな人物に“説得力”やリアリティといったものを与えるのは容易なことではないのだろう。演じ方によっては、たんなるトリッキーな人物といった印象にとどまってしまいそうだ。しかし、数年の時を経てもなおこうしてあのキャラクターが強く印象づけられているのは、“柳楽優弥が演じたから”ということに他ならないと思う。あの不敵な笑みと、暴力行為に高揚する静かな語りは忘れられない。

 栄信といえば、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)、そして同作と世界観を共有している『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(2019年/日本テレビ系)でのアウトロー役が記憶に新しい。というよりも、これらの作品で彼の存在を認知した方が多いのではないだろうか。そのハードなルックスから、栄信は危険な香りのする役どころを多く演じてきたが、この二作で、彼のキャリアに一本の大きな旗が立った印象だった。今作『今日から俺は!!劇場版』で、映画界においてもその存在を知らしめることになっただろう。彼が醸し出す“ホンモノの危険さ”が、今作をより“不良モノ”というジャンルへ押し出している気がするのだ。

 要するに柳楽も栄信も、二人とも本当の“不良モノ”のキャラクターを演じているのである。彼らは一切ふざけることなく、ただただ卑劣で救いがたい。これまでの柳楽と栄信の、アウトロー路線の活躍ありきなキャスティングなのではないだろうか。柳も大嶽も悪すぎるがゆえ、三橋たちとの間に落差が生まれ、映画はシリアスとコメディのメリハリも獲得。劇場版だからこそのスケールアップに、彼らは大いに貢献しているのだ。

(折田侑駿)

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