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加速する『ボヘミアン・ラプソディ』現象 公開5週目にして3週目『ファンタビ』をまさかの逆転!?

リアルサウンド

18/12/6(木) 15:10

 先週末の動員ランキングは『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が、土日2日間で57万8000人、興収7億4400万円をあげて、2週連続で首位を獲得。累計では動員200万人を突破、興収でも先週末の時点で30億円超え目前。さすが、前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016年11月公開)では最終興収73.4億円を記録した超人気シリーズ。今作も前作と同水準の大ヒットに達する勢いで、好調な推移を続けている。

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 一方で、相変わらず前例が見当たらない興行を展開しているのが公開4週目の『ボヘミアン・ラプソディ』だ。先週末土日2日間で動員40万4000人、興収4億9600万円。この数字は先週との対比で動員では実に145%、興収でも126%という驚きの伸び率となっている(興収の伸び率が少ないのは、土曜日の12月1日が映画サービスデーだったため)。これで3週連続で前週超えというのも異例中の異例だが、今週のウィークデイに入ってからは『ファンタビ』を上回る成績をあげていて、場合によっては今週末には逆転する可能性まで出てきた。本日12月6日にはNHKの『クローズアップ現代+』でも急遽特集が組まれることとなったが、その番組紹介でも「『君の名は。』ですら起こらなかった異次元の現象」といった言葉まで躍っている。今週に入ってから(決してクイーンの専門家というわけではない)筆者のもとにも、週刊誌などから今回の『ボヘミアン・ラプソディ』現象についてコメントを求められる機会が複数回あり、少々困惑すると同時に、まさにその「現象化」を体感しているところだ。

 日本でここまでの爆発的ヒットとなっている『ボヘミアン・ラプソディ』だが、アメリカのウェブメディア、Deadlineの記事によると、現在の世界での興収において日本は4位。1位はアメリカ、2位はクイーンお膝元のイギリスまでは誰もが納得といったところだろうが、4位の日本に大きく水をあけて3位に韓国がランクインしていることに驚く人も多いのではないだろうか。

 本コラムでマーベル作品や『ミッション:インポッシブル』シリーズを取り上げた時にも触れたが、今や韓国におけるハリウッド映画マーケットは作品によっては日本の数倍規模。その背景には、大型シネコンがほとんどすべてのスクリーンで人気作品を上映するという「選択と集中」を徹底させている(日本の興行界のように様々なしがらみがないということも大きい)こともあるのだが、それに加えて現在の韓国では各企業のテレビコマーシャルなどでクイーンの楽曲が使用されていることなども拍車をかけて(来年以降、きっと日本でも同じことになりそうな気がする)、日本の「ボヘミアン・ラプソディ現象」以上のクイーン・ブームが世代を超えて巻き起こっているのだという。

 そこで興味深かったのはスポーツソウルのこの記事だ。韓国の地上波局MBSで、先週日曜日(12月2日)の夜に『地上最大のコンサート、ライブエイド』と題して、『ボヘミアン・ラプソディ』のクライマックス・シーンを飾ったあのライブエイドでのクイーンのステージを含む、ライブエイドの当時の実況映像が画質補正なども施された上で3時間にわたって放送されて、それも大きな話題になっているのだという。『ボヘミアン・ラプソディ』を観た誰もが、「あのクイーンのステージの本物の映像を見てみたい!」(当時のリアルタイマーにとっては「もう一度見たい!」)と思ったはず。既にリピーターも続出している同作だが、実際の映像を見た後にもう一度スクリーンであのステージを観たら、きっとさらに感動が増すに違いない。韓国の地上波局にできるのなら、日本の地上波局にもできるのではないかと期待したい。(宇野維正)

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