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舞台『刀剣乱舞』冬公演は“蒼さ”に期待? 蒼木陣のアクロバット、新キャストなどポイントをおさらい

リアルサウンド

19/11/22(金) 6:00

 人気オンラインゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』の世界観をベースにミュージカル、舞台、アニメとさまざまなメディアミックスが行われ、今年1月には実写映画版の『映画刀剣乱舞-継承-』も大ヒットを記録した超人気コンテンツ『刀剣乱舞』。

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 実写映画からの作品ファンも急増し勢いを増す中、舞台『刀剣乱舞』(以下、刀ステ)の最新作『舞台 刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち』が11月22日より上演される。当初の看板キャラである三日月宗近(鈴木拡樹)と山姥切国広(荒牧慶彦)を中心に描かれてきたシリーズの集大成となる『~悲伝 結いの目の不如帰』(2018年6~7月)が終わり、新たな物語の幕開けとなった『~慈伝日日の葉よ散るらむ』(2019年6~8月)に続き注目される本作について、おさえておきたいポイントをまとめてみた。

 かいつまんで『刀剣乱舞』の基礎知識をおさらいしておくと、ミュージカル、舞台、アニメ、映画と、それぞれ登場する刀剣男士(ゲームにおけるプレイヤー=審神者(さにわ)によって生み出されたとされる、日本刀の名刀の付喪神(つくもがみ))たちの設定は共通しているが、シミュレーションゲームが原作であるがゆえに定まったストーリーを持たず、そのためコンテンツごとに纏うカラーも異なり、違う“本丸”(現場といったほうがわかりやすいだろうか)となっているのが、このコンテンツのユニークなところだ。たとえばライブ感あふれるステージングや観客参加型の演出が話題を呼び、キャストが2018年の『NHK紅白歌合戦』にも出場したミュージカル版(刀ミュ)、オリジナルストーリーを展開する中で刀剣男士たちの思いを丁寧に表現し、演劇ならではのストーリー密度と迫力で圧倒する刀ステは、大まかには2.5次元作品としてくくられるがかなり趣を異にするものといえる。

 さて本稿のメインとなる刀ステの魅力といえば、まずは脚本・演出を手掛ける末満健一(演劇『TRUMP』シリーズやハロー!プロジェクト公演『LILIUM』、劇団Patchの演出などでも知られる)による、緻密なリサーチをもとにしたオリジナルストーリーで構成されていることだ。西暦2205年に歴史改変を目論む“歴史修正主義者”による過去への攻撃が始まり、それを阻止するために審神者と刀剣男士たちが過去の各時代へ飛び歴史を守るーーというのが大元のストーリーだが、その戦いの中で刀剣男士たちはそれぞれの過去について思い悩み、歴史を守るためには自らの主の死を見なければならないという葛藤を抱えている様がリアルに描かれている。作品を追うごとに刀剣男士たちの出自などに関する細かな伏線(時にはギャグなども)が丁寧に回収されていくのも、シリーズファンをより熱狂させてきたポイントだ。

 また刀剣をテーマにした作品ということもあり、たとえば古い刀である三日月の、重心を低く保つ能のような動きで優美に敵を倒していく様や、トレードマークのマントを翻す軽やかな動きで刀と鞘を二本刀のように使う山姥切国広など、一振りずつの個性を活かした鮮やかな殺陣も大きな見どころ。その演出の魅力について、原作ゲームを生み出したニトロプラスの小坂崇氣は「観る者を没頭させる演出を工夫されてると思うんですよ。特に、場面転換の速さや繋ぎのうまさ、テンポの良さですね。殺陣も畳み掛けるように速くて、圧倒される」(『CUT』2018年7月号)と評していたが、ある意味観客がゲームの審神者目線になれる世界観を提示しているようで興味深い。

 今回のストーリーの舞台は1863年の土佐藩。土佐勤王党が恐怖政治を敷き“放棄された世界”となった地に、陸奥守吉行(蒼木陣)を筆頭に、和泉守兼定(田淵累生)、堀川国広(小西詠斗)、鶴丸国永(染谷俊之)、小烏丸(玉城裕規)が出陣することとなる。出陣先で肥前忠広(櫻井圭登)、南海太郎朝尊(三好大貴)と落ち合った彼らは、歴史改変を正すべくその中心人物の捜索を開始し、任務中に出会った坂本龍馬と共に行動を起こすことを決める。

 ミュージカル『テニスの王子様 3rdシーズン』の喜多一馬役などで活躍し、刀ステには前作『慈伝』から出演している蒼木陣が座長を務める本作は、シリーズ初出演となる櫻井、三好、田淵、小西がメインキャストとして参戦するフレッシュな布陣が特徴的だ。約3年ぶりに鶴丸国永を演じる染谷、すべての刀剣の父として異彩を放つ小烏丸役の玉城は過去作から続けての出演となり、そこに陸奥守吉行の主である坂本龍馬役で岡田達也、吉田東洋役で唐橋充らベテラン勢が絡んでくるのもポイントだ。ブレイクダンスやアクロバットを得意とする蒼木は「末満さんからは“めちゃくちゃ動かすぞ”と言われている」(舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち 蒼木陣 インタビュー)とのことで、その高い身体能力が今回の物語の中でどう活かされるのかも気になるところだ。

 前述のようにベースとなるストーリーや刀剣男士の設定はあるものの、演じるにあたってはそのディテールを演出家と役者で作り込まなければならない。各キャストにそれぞれ苦労があったようだが、たとえば『悲伝』で妖精のような小烏丸を演じた玉城は「『こういう動きするんだろうな』というイメージを実際にやろうとすると基本的につま先立ちになるし、殺陣の時は片足立ちをするようにしていた」(『Sparkle』Vol.38)と、体力的にも苦労したという役作りを懐古。そのほかのキャストたちも蒼木が高知、櫻井が京都と、それぞれが演じる刀剣たちが活躍した地へ赴くなど、演じるにあたり並々ならぬ熱意を注いできたという。

 そんなスタッフ・キャストの熱意の賜物でもあるのだが、これまで演劇には縁がなかったという原作ゲームのユーザーや、男性を含む歴史にあまり興味関心がなかった層をも同シリーズが巻き込んでいる理由は、末満の「僕の中では、刀ステは青春モノなんです」(『CUT』2018年7月号)という一言に集約されているのではないかと思う。

 刀剣男士たちの迷いや葛藤、同じ主を持つ者同士のライバル意識や仲間意識といった感情が人間臭さを感じさせ、不思議な共感を抱かせてしまう刀ステ。若手キャストが多い最新作は、現段階のシリーズ中もっとも瑞々しい“蒼さ”が堪能できる作品を予感させる。フレッシュな刀剣男士と幕末の志士たちによって紡がれる、新たなストーリーに期待したい。 (文=古知屋ジュン)

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