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勘三郎 玉三郎 仁左衛門の顔合わせで吉原を舞台にした愛憎劇をたっぷりと。シネマ歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』

ぴあ

シネマ歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』 (c)松竹

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田舎から出てきたひとりの商人。吉原随一の花魁に一目ぼれしたが、花魁には情夫がいて……。

花の吉原を舞台に、現代にも通じる人間模様がじっくりと描かれた歌舞伎の人気演目『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』。この作品のシネマ歌舞伎が7月23日(金)より期間限定で上映される。

明治21年に河竹黙阿弥の弟子三世河竹新七が、吉原で実際に起こった惨劇を基に書き下ろした世話物だ。

上州(現在の栃木県佐野市)から江戸へ商いにやってきた絹商人佐野次郎左衛門と下男の治六。江戸の土産噺にと吉原を訪れる。そこで目もくらむような花魁道中に出くわしたふたり。次郎左衛門は吉原随一の人気を誇る花魁の八ツ橋に魂を奪われてしまう。

『籠釣瓶花街酔醒』より、佐野次郎左衛門を演じる十八世中村勘三郎(左)と花魁の八ツ橋を演じる坂東玉三郎

あばた顔の田舎者だが人柄も気前も良い次郎左衛門。それから半年、江戸に来る度に八ツ橋のもとへ通い身請けの話も出始める。だが八ツ橋は情夫の繁山栄之丞がいた。栄之丞は八ツ橋に次郎左衛門との縁切りを迫る。苦悩し葛藤する八ツ橋だったが、態度を変え、ついに次郎左衛門に愛想尽かしをしてしまう。満座の中、思いがけない言葉を八ツ橋から聞かされ、酷く恥をかかされた次郎左衛門、それが吉原を揺るがす惨劇の始まりだった。

八ツ橋をはじめ吉原の花魁たちが妍を競う花魁道中の豪華さを、次郎左衛門目線で味わえるのはシネマ歌舞伎ならでは。その衣裳のディテールはもちろん、焚きしめられた香りまで漂ってきそうだ。見ている私たちもまたほろ酔い気分で吉原仲の町をそぞろ歩きしているかのよう。

そして映画とも舞台とも違ったシネマ歌舞伎独特の撮影手法により、次郎左衛門の狂気に至る心情や、八ツ橋の苦しみ、栄之丞の本性など、登場人物たちの気持ちが刻々と動いていく様まで手に取るように伝わってくる。さらにこの3人だけではなく吉原という花街に棲む男女たちの息遣いまで感じられるのもシネマ歌舞伎の魅力だ。

佐野次郎左衛門に十八世中村勘三郎、八ツ橋に坂東玉三郎、そして繁山栄之丞に片岡仁左衛門。十七代目中村勘三郎二十三回忌追善「歌舞伎座さよなら公演」ならではの豪華顔合わせを、もう一度堪能できるのもうれしい。この豪華な顔ぶれの『籠釣瓶』、絶対に見逃せない。

文:五十川晶子

シネマ歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』
上映期間:2021年7月23日(金)~2021年7月29日(木)全国の映画館にて上映



公式サイト
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/20/

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