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毛利亘宏の社会派作品「亡国のワルツ」開幕、前山剛久「今だからこそやる意味がある」

ナタリー

21/4/18(日) 8:00

「FICTIONAL STAGE『亡国のワルツ』」より。(撮影:金丸圭)

「FICTIONAL STAGE『亡国のワルツ』」が、去る4月16日に東京・あうるすぽっとで開幕した。

少年社中の毛利亘宏が作・演出を手がける「亡国のワルツ」は、虚構の“日本”を舞台にした作品。オリンピックが迫る中、とある廃ラウンジには6人の革命家が集まっていた。当初の目的であった首相誘拐を成功させた彼らだったが、6人の中に裏切り者がいることが発覚し……。キャストには前山剛久、廣瀬友祐、北原里英、荒井敦史、廿浦裕介、長谷川太郎、多和田任益、奥田達士、小川菜摘が名を連ね、下野紘が声の出演で参加している。

初日に先駆けて行われた囲み取材には、前山、廣瀬、北原、小川、そして毛利が登壇。前山は「今だからこそ、やる意味がすごくあると思っています。日本が好きか、自分が日本で今どんなことをしているか、などを改めて考えさせられる作品になっているので、そういう部分を感じていただけたら」とコメントし、廣瀬は「強い気持ちで強いエネルギーを舞台上から届けられたらと思っています」と思いを述べる。

北原は「フィクションではあるけれども、今の日本に重なる部分もある演劇ですので、これを観た方にどう感じていただけるのか、お客様の前で上演するのを楽しみにしています」と語り、小川は「毛利さんのこの攻めた作品は、観たお客様が絶対何かを自分自身に持って帰れるものだと思っていますし、社会に一石を投じる作品ではないかなと思っております」と作品の魅力に触れた。

本作を「初めての社会派作品」と表現する毛利は「今の日本を正面から正直に描いてみたいと思った作品です。こういった出口の見えない世の中だからこそエンターテイメントで、この国で生きていくとはどういうことなんだろうということを問いかける、そんな作品になっています」とアピールした。上演時間は約1時間30分で、公演は4月29日まで。また、29日の12:00開演回、16:00開演回は、Streaming+とPIA LIVE STREAMで配信されるほか、本作のBlu-rayが10月13日に発売される。

前山、廣瀬、北原、小川、毛利の全文コメントと、荒井、廿浦、長谷川、多和田、奥田のコメントは以下の通り。

前山剛久コメント

新型コロナウイルスの影響で演劇というものがまだまだすごく辛い状況にある中、この作品を上演できることがとてもうれしいです。

舞台セットに“2020 オリンピック 成功させよう”ということが書いてあるなど、結構攻めている作品なんです。こういうテーマで作った作品はなかなかないと思うのですが、今だからこそ、やる意味がすごくあると思っています。日本が好きか、自分が日本で今どんなことをしているか、などを改めて考えさせられる作品になっているので、そういう部分を感じていただけたら幸いです。

また、毛利さんらしい演出だなと思ったのが、日替わりパートが3か所くらいあるんです。社会派エンターテイメントということでハラハラしたところも見どころですが、笑えるところもあるので、個人的にはそこを楽しみに観ていただくのもいいと思います。

廣瀬友祐コメント

とにかく初日を迎えられていることに、喜びと幸せ、安堵をとても感じています。自分たちの仲間でも、新型コロナウイルスの影響を受けて、公演中止だったり、まだ舞台に立てなかったり、場所を奪われてしまっている状況の中で、まずは無事にここまで来れたことがうれしいです。まだまだ、危険と隣合わせの日々が始まりますけれども、だからこそ一公演一公演、命をかけて舞台の上で頑張りたいなと思っています。

この作品は裏切り者がいるということで、この人が怪しいんじゃないかなと第一印象から疑いながら見ても面白いんじゃないかと思いますが、国を愛しているがゆえに強い信念、志をもって革命に身を投じている登場人物たちが生きる物語なので、僕としては舞台を愛している人間として、強い気持ちで強いエネルギーを舞台上から届けられたらと思っています。そういった熱量をとにかく感じていただけたらうれしいです。

北原里英コメント

初日を迎えられて、ホッとしているというのが正直な感情です。本当に座組み一同、みんなで気をつけて、初日に向けて対策をたくさん練って稽古してきたので、まずは今日、初日の幕が上がることをとてもうれしく感じています。

革命家のお話ということで、銃を突きつけ合うようなシーンも出てきます。そういったところはお互い、本当に緊張感をもってやっているので、その緊張感の中に皆さんも引き込まれていくのではないかなと思っています。私としては、革命家の中で唯一の女性という役どころなので、女性らしいというよりは強い女性ではありますが、女性という部分を武器にできたらなと思いながら日々演じております。フィクションではあるけれども、今の日本に重なる部分もある演劇ですので、これを観た方にどう感じていただけるのか、お客様の前で上演するのを楽しみにしています。千穐楽まで誰1人欠けることなく走り抜けられるように、気をつけて頑張っていきたいなと思います。

小川菜摘コメント

お稽古で積み上げてきたものを今日から千穐楽まで、お客様の前で披露できることを今とてもうれしく思っております。

90分間、息をつく暇がないというか、お客様も確実に手に汗を握るだろうなとも思いますし、革命家たちの中に紛れ込んだ裏切り者をお客様も一緒に、「あの子なんじゃないの?」「彼なんじゃないの?」とドキドキしながら観劇してくださるんじゃないかと思います。私の役どころはちょっと秘密でございますが、これまでの演劇人生の中でこういった役を演じるのは初めてなので、自分でもどうなるのか、とてもワクワクしています。

毛利さんのこの攻めた作品は、観たお客様が絶対何かを自分自身に持って帰れるものだと思っていますし、社会に一石を投じる作品ではないかなと思っております。千穐楽まで頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

毛利亘宏コメント

初日をあけるということに困難をともなう、当たり前じゃない世の中になったということを噛み締めながら稽古をしておりました。本作は、今の日本を正面から正直に描いてみたいと思った作品です。こういった出口の見えない世の中だからこそエンターテイメントで、この国で生きていくとはどういうことなんだろうということを問いかける、そんな作品になっています。

初めての社会派作品ということで、いつもよりも嘘をつかないということに、すごく重きをおいたように思います。今の日本とは少し違う日本が舞台のフィクションなんですけれども、その世界で生きている人間の感情には嘘がないというところに、とことんこだわっています。また、オリンピックについてどんなことを思うかといった、あまりメディアでは語られていないようなことを舞台で扱ってみたり、そういった正直さにすごく意識をおいて作っていますね。

お客さんと対面したときに、お客さんのリアルに勝てるもの、お客さんと真剣勝負をしたいなと考えて作りましたので、劇場で、皆様に観ていただけることを本当に楽しみにしています。

荒井敦史コメント

本日無事にこうして初日を迎えることが出来てうれしく思います。ここからは日々感染対策など気をつけることはもちろんですが、この作品に更に向き合い色々な発見をしていけたらと思っています。作品の見所としては、誰が裏切り者なのか。劇場にお越しいただけるお客様も観劇しながらそれぞれの関係性や思い、その裏切り者を探ってみると面白いと思います。そして何より、役者陣も熱量もそうですが、その場に流れる緊迫した雰囲気なども感じていただけたら。

廿浦裕介コメント

まずは、誰一人欠けることなく全員で初日を迎えられたことを、心からうれしく思っています。

稽古場で試行錯誤を重ね作られた作品が、お客様の心にどう届くか、今は期待と緊張で胸がいっぱいです。

今回の舞台、稽古開始5日目には全員が台本を離した状態での通し稽古(最初から最後まで止めずに通す稽古)が行えました。責任感が強くお芝居に誠実な方々と共演できることに、只々感謝あるのみです。

キャスト9人が作り上げる濃密な空気感、そして終盤に向かう怒涛の展開は必見。是非、劇場で目撃して下さい。お待ちしております。

長谷川太郎コメント

稽古は常にマスクをしながらでしたが、そんなことを忘れるくらいの熱量でした。きっと本番はより凄いものに仕上がると確信してます。

「亡国のワルツ」は今だからこそ生まれた作品だと思っています。

「そぎおとした」というよりは「必要なものだけ」ですね。

最後まで走り抜けられるように万全の対策をして、お届けします。

シンプルかつソリッドな劇空間を是非楽しんでいただきたいです!

多和田任益コメント

今の情勢の中で、幕を開けられること、舞台に立てることを、感謝しています。

今回の9人の中で、荒井くんと僕が最年少なのですが、本番では先輩方から会話劇を通してさらに様々なことを吸収させていただこうと思います。

昨年から生き方について改めて考え始めた方もきっと多いと思う中で、それぞれの意志、信念をもった人間たちのぶつかり合いは今だからこそ訴えかけるものがきっとあると感じています。

これほどまでに真剣に、大事な何かのために命をかけて生きている人間がいるんだ、という生き様をお客様に届けられたらいいなと思います。

それと、少年社中のお2人の日替わりタイムがあるのですが、毎回ツボをつかれるので、笑ってしまわないように頑張ります(笑)。

奥田達士コメント

かつて無いほどのデリケートさで、大切に、大切に、毛利さん演出のもと、スタッフ一同、俳優一同で、こしらえてきた芝居です。過保護な育ち方をした芝居ですが、中身は過剰なほど突っ張った芝居になりました。初日を迎え、お披露目となるわけですが、芝居は消え去るから美しいと、私は思っていました。だけど、それは変わりました。今は、こう思うのです。お客様が御覧になり、一緒に過せる一瞬一瞬が、心の片隅に、ほんのわずかで構わないから、残るのであれば、本当に幸いだと。

それが、今、かけがえのないものなのだと。

「FICTIONAL STAGE『亡国のワルツ』」

2021年4月16日(金)~29日(木・祝)
東京都 あうるすぽっと

作・演出:毛利亘宏
出演:前山剛久、廣瀬友祐 / 北原里英、荒井敦史、廿浦裕介、長谷川太郎 / 多和田任益 / 奥田達士 / 小川菜摘
声の出演:下野紘

※2021年4月26日追記:4月28・29日公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。なお、4月29日のライブ配信は、無観客で実施されます。

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