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Kis-My-Ft2、King & Prince……ジャニーズ各グループが配信ライブで見せた工夫 形を変えて動き始めた“ライブ”という時間

リアルサウンド

20/10/20(火) 12:00

 2020年秋は、配信ライブの季節になりそうだ。10月はことさらに忙しい。

 ライブで忙しい、という感覚は、ずいぶん懐かしいような気がする。どうにか調整する仕事、なかなか変わらない信号、片付かない家事……。間に合わないかもしれないというハラハラ感さえ、幸せに感じる。

Kis-My-Ft2

 10月3日〜4日に東京ドームで開催されたKis-My-Ft2のライブを皮切りに、King & Princeは10月9日~11日の3days5公演を完走。13日にはENDRECHERIも配信ライブを行った。

 22日~25日にはSnow Manがデビュー後初のツアーを4days9公演、29日~31日にはSexy Zoneが3days5公演を予定している。

 有料コンテンツにつき詳細なネタバレは差し控えるが、本稿ではKis-My-Ft2(以下、キスマイ)、King & Princeの生配信ライブを振り返り、それぞれが見せた工夫や、配信ライブならではの楽しみを探っていく。

ファンも一緒に連れていくーー「配信ならでは」を貫いたキスマイ

 東京ドーム初の無観客生配信ライブを行ったキスマイは、初日、2日目と、セットリストが異なるライブを開催。さらにライブ内のワンコーナーで歌う曲について、本番直前までファン投票を行った。

 2日間、異なるライブを見せ、ファンが「今」聴きたいと選んだ曲を届ける。それは、並大抵のことではない。ライブを開催するにあたり、相当な準備をしてきたはずだ。

 1日しか視聴できないファンの存在を、置き去りにするような彼らではない。それでもキスマイは、配信だからこそできることを模索し、「一度きり」のライブ感を貫いた。

 MC中には、ライブ配信画面のチャット機能を開放。メンバーらは自然と2組に分かれてタブレットを覗き込み、絶え間なく届くファンからのメッセージに見入っていた。

 アンコールでは、隣接する東京ドームホテルの屋上から歌を届けた。通常のライブでは、まず不可能な演出。ファンをドームに残して、できるはずがないからだ。

 だからキスマイは、ファンを一緒に連れていった。配信ライブであるからこそ叶った、夜空の下のひととき。10年後もずっと、と歌うあの曲を、誓うような時間だった。

 デビューのまさにその瞬間から、いくつもの時間をファンと共有してきた彼ら。昨年行った令和初のドーム公演も、今回ドームから行った配信ライブも、初めての景色はいつも、ファンと一緒だった。

 東京ドームを抜け出し、初めて一緒に見上げたあの夜空。彼らもファンも、きっと忘れることはないだろう。

全公演、全力の“King & Prince”

 さすが、華のあるステージをみせたKing & Prince。豪華な装飾にも負けない輝きで、たっぷり2時間半、歌い踊った。MCでは、新曲「I promise」のリリースや、岸優太・神宮寺勇太の主演舞台『ドリームボーイズ』上演決定という朗報も。

 そして相変わらず、カッコイイだけでは終わらないのが彼らの深淵だ。コントに挑戦し、その流れからのまさかの選曲、というシュールな笑いや、岸の天才的なタイトル間違いにメンバー一同笑いが止まらず、音楽を止めて仕切り直すというハプニングも。

 エンディングの挨拶のみ日替わりで担当し、全公演セットリストの変更はなく、通常のツアー同様のライブを行ったKing & Prince。彼らが贈る心のこもったメッセージは、まっすぐで嘘がない。笑って泣いて、また笑える。終始、あたたかな空間だった。

 10日、11日は、14時から2時間半の公演を行い、その後17時半から2回目の公演。ハードスケジュールながら、パフォーマンスの質は絶対に落とさなかった。

 3日間、5公演にわたる開催。仕事や家事で忙しいファンも、いずれかは都合がつくかもしれない。全公演を目に焼き付けるように参加するファン、どうにか1公演の視聴が叶ったファンなど、さまざまな人が視聴していたことが、SNS上の反応からも見てとれた。なかには、連日盛り上がるファンの様子を見て視聴を決めた、他グループのファンの存在も。

 King & Princeは全公演、全力の「King & Prince」であり続け、すべての人を惹きつける力業のような煌めきを見せた。

“ライブ”という時間が、再び動き始めている

 配信ライブ開催中、SNS上でファン同士が交流し、視聴中のファンもそうでないファンも一緒になってライブを盛り上げている姿は、配信ライブならではの光景だった。なかには少人数で集まり、うちわやペンライトを持ってライブさながらに楽しむファンの姿も。止まっていた“ライブ”という時間が、形を変えて再び動き始めているのを感じる。

 ライブとは本来、アーティストとファンが一堂に会し、感情をぶつけ合う機会。一期一会であるからこそ、ときに想定もしていなかった化学反応が起こるのも、ライブならではの面白さだ。

 無観客配信ライブは、互いにダイレクトな反応を届けられないもどかしさはある。暗がりでキャッチボールをするように、手探りな部分はあるだろう。

 けれど彼らは、しっかりとボールを投げ合い、互いのもとへと届けていた。見えなくとも感じ合い、大切なことはきちんと言葉にする。そうやって思い合えば、たとえ距離は離れていても、同じ時間、同じ感情を共有できるのだと、一連のライブを見ていて実感する。

 限りある人生の「一度きり」をともに過ごす。どれほど綺麗な録画でも補えない魅力が「生=ライブ」にはある。

 画面を介していようとも、配信ライブには、ライブが持つパワーがたしかに宿っていた。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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