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Poppin’Partyが開いたガールズバンドとしての新たな扉 サイサイとのメットライフドーム公演

リアルサウンド

19/7/2(火) 12:00

 5月18日と19日の2日間、Poppin’PartyとSILENT SIRENによる対バンライブ『NO GIRL NO CRY』が埼玉・メットライフドームで開催された。このライブは『BanG Dream!(バンドリ!)』シリーズのリアルライブにとって初のドーム公演。シリーズを初期から引っ張るPoppin’ Partyが、初めてシリーズ外のバンド・SILENT SIRENとの対バン形式で登場し、オープニングアクトとしては18日にRoselia、19日にRAISE A SUILENも出演。ステージには3つのスクリーンと、両脇に4つずつ巨大なスピーカーを模した大規模なセットが組まれ、出演バンド全組にとって初のドーム公演という未知の領域で、「ガールズバンドによる、ガールズバンドの、ガールズバンドのための対バン」がはじまった。

DAY1

 まずは1日目。オープニングアクトのRoseliaは、湊友希那役の相羽あいなによる「早速行くわよ!」というMCを皮切りに「LOUDER」でライブをスタート。以降は「R」を経て、「BRAVE JEWEL」ではメンバーが入れ代わり立ち代わりソロパートを披露し、最後は「熱色スターマイン」で一気に会場を盛り上げていった。もともとテクニカルなフレーズやスケールの大きな楽曲が特徴的なRoseliaだが、この日のライブで改めて印象的だったのは、スタジアムのような大舞台でこそ映える楽曲のポテンシャルと、それを巧みに表現するメンバーの高い演奏力。彼女たちは8月3日、8月4日の2日間、富士急ハイランド・コニファーフォレストで単独ライブ『Flamme』『Wasser』を開催。自身の大一番を前にして、改めてRoseliaの魅力を伝えるような素晴らしいステージだった。

 その後、本編がスタートすると、まずは巨大スクリーンでPoppin’ Partyのインタビュー映像がはじまり、前回の武道館公演の感想や、そこで発表されたこの対バンライブ『NO GIRL NO CRY』への意気込みが語られていく。そもそも、Poppin’ Partyはバンド結成当初にSILENT SIRENを参考にパフォーマンスを磨いた経緯があり、Poppin’ Partyの活動の広がりによって、2組はやがて互いのライブを観に行くなどプライベートで交流するような関係に。そして今回、「憧れの存在」であると同時に「お互いに刺激を受け合う対バン相手」として、ついに同じステージに立つこととなった。つまりこのライブは、2組にとって念願の共演であると同時に、異なる分野で活動してきた2組が、お互いを「ライバル」としても認め合う関係になった今だからこそ実現した公演となる。そんな2組の想いを反映するように、ライブは1日目が「先攻:Poppin’ Party/後攻:SILENT SIREN」、2日目が「先攻:SILENT SIREN/後攻:Poppin’ Party」という形式で進行。2日間を通してお互いへの想いをぶつけ合うような、そして互いへのリスペクトを全力で伝えるような空間が広がった。

 1日目の先行を担当したPoppin’ Partyは、アニメ『BanG Dream! 2nd Season』の振り返り映像とともに、そのOPテーマ「キズナミュージック♪」でライブをスタート。早速会場から大歓声が巻き起こると、続く「B.O.F」ではムービングステージに乗ってアリーナの観客席の頭上を進み、巨大なドームの最後方まで一気に前進していく。そのムービングステージ上では市ヶ谷有咲役の伊藤彩沙が後方の観客にも頻繁に手を振るなど、360°すべての観客を巻き込んでいく姿もPoppin’ Partyならではだ。以降は観客の手拍子を受けながら「Happy Happy Party!」でトロッコに乗って会場を周遊。過去最大規模の会場でありながら、いつも以上に観客の近くまで向かっていく姿が印象的だった。『BanG Dream!』のリアルライブでは、これまでも武道館公演での円形ステージを筆頭に様々な演出が行われてきたが、この日のように観客席エリアにも乗り出してライブを盛り上げる演出は、シリーズにとって初めてのこと。『BanG Dream!』シリーズの広がりを改めて感じる瞬間だった。

 Poppin’ Partyは以降も「バンドの楽しさ」を凝縮したらしさ全開の楽曲を次々に披露。中でも1日目の目玉となったのは5月15日に発売された14thシングル「Dreamers Go!」の初披露だ。明るくキラキラとしたロックサウンドと、夢を追い続けることへの気持ちを歌ったこの楽曲で会場をさらに盛り上げると、その後は公演のテーマソングとなる「NO GIRL NO CRY」をPoppin’ Party Ver.で演奏。最後は「Time Lapse」を経て、『BanG Dream!』を象徴する楽曲のひとつ「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」で1日目のステージを終えた。

 一方、1日目のトリを務めたSILENT SIRENは「フジヤマディスコ」でライブをスタートすると、早速会場をダンスフロアに変え、その後は「NO GIRL NO CRY」をこちらもSILENT SIREN Ver.で披露。そして最終曲「恋のエスパー」では、途中「ストップ!」と会場全体を止めると、すぅ(Vo&Gt)が「今、超能力を使って時間を止めています」と観客に伝え、「ポピパちゃんに変身したいと思います!」と告げて突如〈祈る空に/弧を描く流星が〉という聴き慣れたフレーズがスタート。そのままPoppin’ Partyの「ときめきエクスペリエンス!」をワンフレーズ披露して大歓声が巻き起こる。

 ラストはPoppin’ Partyもふたたびステージに登場し、観客のペンライトが一面ピンク色に染まった空間で『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』にも実装された「チェリボム」を9人で披露して祝祭感の中で1日目を終えた。この日何より印象的だったのは、同じガールズバンドでありながら異なる分野で活躍するPoppin’ PartyとSILENT SIRENのファンが、2組の演奏を通して徐々にひとつになっていくような雰囲気。双方のライブで観客が同じ熱量の歓声を送り、対バンでありながらお互いへのリスペクトを感じさせるような雰囲気が印象的なライブとなった。

DAY2

 対する2日目は、そうして2組の魅力がひとつになった『NO GIRL NO CRY』の集大成。この日は冒頭、オープニングアクトとしてRAISE A SUILENが登場。「A DECLARATION OF xxx」でライブをはじめると、全員でヘッドバンギングをして会場を盛り上げ、以降も「UNSTOPPABLE」「R・I・O・T」を披露。最後は「EXPOSE ‘Burn out!!!’」で六花役の小原莉子が回し蹴りのようなパフォーマンスをしながらギターを弾くなど、躍動感あふれるパフォーマンスで会場を盛り上げた。前日のオープニングアクトとして出演したRoselia同様、彼女たちも7月13日と14日の2日間、神戸ワールド記念ホールで単独ライブ『Heaven and Earth』を開催予定。この公演にはPastel*Palettesの丸山彩役の前島亜美と、ハロー、ハッピーワールド!の弦巻こころ役の伊藤美来の出演も決定している。彼女たちが『BanG Dream!』のリアルライブに加わった「新たなバンド」から、「シリーズに欠かせないバンド」になったことを伝えるようなステージだ。

 そして2日目の先攻を務めたSILENT SIRENは、1日目には最後に演奏された「チェリボム」でライブをスタート。楽曲がはじまるとすぐにサイサイ/ポピパのファンが一緒になって「チェリチェリボム!」と声を合わせ、2日目ならではの息の合った光景が広がっていく。その様子を受けてすぅが「最初からみんな盛り上がってるね! 歴史に残るイベントにしようぜー!」と告げると、そのままゆかるん(Key)から「みんな一緒に、キラキラドキドキしようね!!」とPoppin’ Partyのフレーズを引用し、「天下一品のテーマ」やメットライフドームだからこそ映える野球ソング「ジャストミート」などを次々に披露。メンバーが光るサングラスをかけて披露した「DanceMusiQ」では、ポピパとサイサイのファンがともに肩を組むように促して、対バンライブならではの光景がますます広がっていく。

 以降は「昨日の続き、やっちゃっていいですか?」と観客に伝え、前日にサプライズでワンフレーズだけ披露したPoppin’ Partyの「ときめきエクスペリエンス!」のカバーをフルVer.でパフォーマンス! 最後は「恋のエスパー」を披露すると、途中でまた時間を止め、「この楽しい時間を終わらせたくない!」とこの日の1曲目を飾った「チェリボム」まで戻る演出。Key.ゆかるんがすかさず「巻き戻りすぎです。チェリボムの続きは、『ガルパ』でやってもらっていいですか?」とツッコミを入れて、会場がますます盛り上がる。こうした選曲からも伝わる通り、SILENT SIRENのライブで印象的だったのは、2日間を通して「2バンドのファンを繋げる」ことへの気持ち。先輩バンドらしい懐の深さと、ステージングの巧みさを感じさせるこの雰囲気が、2日間全体のムードをより魅力的なものにしていたように感じる。

 一方のPoppin’ Partyは、「夏のドーン!」でステージ上では火花が散り、スクリーンに花火が広がるド派手な演出で2日目をスタートさせると、バンドとしての一体感や演奏力の高さを伝えるギターロック「Time Lapse」を経て、9月から公開される劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』の映像とともに「Happy Happy Party!」「二重の虹(ダブルレインボウ)」を披露。とはいえ、2日目の大きな見せ場となったのは、新曲「Returns」の初披露だ。この楽曲は、アニメ内で純粋な楽しさを原動力に進んできたPoppin’ Partyにあって、『BanG Dream! 2nd Season』で花園たえ(CV:大塚紗英)の幼馴染み・レイヤ(CV:Raychell)の登場を機にたえが別バンドにもサポートメンバーとして加わるという初の経験=バンドの危機を経て作られた、Poppin’ Partyにとって重要な楽曲のひとつ。歌詞はアニメの第1シーズンで戸山香澄(CV:愛美)がたえをバンドに誘った際の台詞へのアンサーソング的な要素も込められていて、演奏終了後に愛美が「お帰り、おたえ!!」と大塚紗英に抱きつくなど、作品との相乗効果で楽曲が魅力的なものになる『BanG Dream!』らしさ全開で会場を魅了した。

 Poppin’ Partyはその後もトロッコを積極的に使って会場を周遊した「キラキラだとか夢だとか 〜Sing Girls〜」、ドームの最後方からふたたびトロッコに乗って演奏され、円形状のドームがひとつの「輪」になった「CiRCLING」、「ティアドロップス」「STAR BEAT! 〜ホシノコドウ〜」といった人気曲を次々に披露。そして本編最後にメンバー5人の“絆”について歌う「キズナミュージック♪」の演奏をはじめると、この楽曲ではメットライフドームの巨大なスクリーンにメンバー5人の姿が並んで映し出され、大画面でそれぞれの楽し気な表情を捉えながら、お馴染みのボーカルリレーが展開されていく。メンバーそれぞれの歌声が順番に重なり合い、最後に戸山香澄役の愛美がボーカルを取る風景は、“みんなで進んでいく雰囲気”を何よりも大切にしてきたPoppin’ Partyらしさを伝える本編のハイライトだった。

 アンコールに応えて登場した2日間のラストは、いよいよPoppin’ PartyとSILENT SIRENのメンバーが9人揃って披露した「NO GIRL NO CRY」。ステージ上で互いにポジションを取って、9人が混ざり合うように演奏する2バンドのメンバーと同じように、巨大なドームの観客席のファンも、Poppin’ Party/SILENT SIRENの垣根なく声をひとつにして歓声を送り、2日間の間に深まった2組のバンドメンバー/ファン同士の絆が会場全体を満たすような雰囲気の中で、『BanG Dream!』シリーズ史上最大規模のライブを締めくくった。

 『BanG Dream!』シリーズは現在、『BanG Dream! 2nd Season』の初回放送を終えて、同番組の再放送を展開中。9月には劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』が公開され、いよいよ2020年1月からは『BanG Dream! 3rd Season』の放送もスタートする。そうしたシリーズ内での作品の広がりに加えて、シリーズ外のバンドとも交流をはじめた現在の『BanG Dream!』シリーズは、今まさに新章に突入するような、新たな扉を開くような熱気に溢れている。

 その第一歩として、シリーズをけん引してきたPoppin’ Partyが、憧れの存在・SILENT SIRENと観客を盛り上げた2日間は、これからのシリーズの広がりにも大きな影響を与えるに違いない。『BanG Dream! 2nd Season』の冒頭に登場する「大ガールズバンド時代」の幕開けを告げるニュースと同じように、『BanG Dream!』自体が現実のガールズバンドの可能性を様々なバンドとともに広げていくような、そんな雰囲気が何よりも印象的なライブだった。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

BanG Dream! 公式サイト
SILENT SIREN公式サイト

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