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一ノ瀬次郎は“素”の平野紫耀と重なる 『未満警察』にも見られる“王の資質”

リアルサウンド

20/7/18(土) 8:00

 画面内に平野紫耀が姿を見せると、どうにも彼から目が離せなくなってしまう。それは映画においても、テレビ番組などにおいてもそうだ。集団の中でも、彼にばかり目がいく。放送中の『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系、以下『未満警察』)での平野は、その最たるものではないだろうか。

【写真】戦闘態勢の平野紫耀

 ようやく放送が開始されたかと思えば、早くも第4話を迎える『未満警察』。Sexy Zoneの中島健人とともに、平野は本作でダブル主演を務めている。中島が演じる本間快は、いわゆる“意識高い系”で生真面目な性格の人物とあって、なかなか融通が利かない男だ。それに対して平野が演じる一ノ瀬次郎は、少年のように真っ直ぐなやんちゃ者。しかしながら、亡き兄の遺志を継いで警察官を志しているという、熱い想いを胸に秘めている。つまり対照的な性格を持ったこの男子二人、“でこぼこコンビ”なのである。

 根っこにある正義感が非常に強いのは二人とも共通しているが、冷静であろうとする快と比べ、次郎は頭で考えるよりも先に身体が動いてしまうタイプ。それに加え、彼は超天然な性格の持ち主である。彼の言動に対して、快とともに唖然とさせられている視聴者の方も多いことだろう。堅物な性格の快のプライベートにも、序盤からズカズカと入り込んでみせていた。しかしそれでいて、無神経で嫌味なキャラクターに映らないのがこの次郎という人物のすごいところ。もちろん、脚本上での人物造形や、物語の展開の影響もあるのだろうが、やはりこれを平野紫耀が演じているというのが大きいと思うのだ。

 平野といえば、その天然な性格は広く知られているところ。多くの方が、一度くらいはバラエティ番組などにおいての彼の“天然な言動”を、目にしたことがあるのではないだろうか。むろん、テレビというメディアに出ている以上、それが自宅にいるときのような完全な“素の状態”ではないのだろう。だがその天然なパブリック・イメージは、広く深く浸透している。だからこそ今作『未満警察』で演じている次郎という人物は、普段の平野と重なり、ハマり役に思えるのである。恐らく、当て書きのようなかたちなのではないだろうか。愛嬌にも転ずる天然な平野の性格は邪気が感じられず、それは次郎にも反映されており、堅物な快が惹きつけられているのも納得なのである。

 さてここで、これまでの平野の活躍を振り返ってみよう。彼がアイドルグループ・“King & Prince”のメンバーであるのはご存知の通り。アイドルとしてのキャリアは長いが、俳優としてのキャリアはまだ豊富とは言えず、その存在感を示してきたのはここ2年ほどのことだ。映画初主演作となった『honey ハニー』(2018年)では、不良的な風貌ながら実は純粋で優しい高校生を演じ、ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(2018年/TBS系)では終止偉ぶった人物ではあるものの、その実“ヘタレなお坊ちゃま”に扮した。『ういらぶ。』(2018年)では“ドS”な性格ながら、幼なじみとの恋の妄想に身悶えする高校生に、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(2019年)では頭脳とプライドが高すぎるがゆえ、自分の中にある恋心に素直になれない高校生をテンション高く好演した。

 これらの作品で演じたキャラクターたちから読み取ることができるのは、「ギャップ」である。平野自身のパブリックイメージは、どの人物も後者の方、つまり“真の性格”の方に近いように思う。これが各キャラクターから垣間見えた瞬間に、いずれのフィクション作品も“リアリティ”といったものが生まれるように思えるのだ。“不良キャラ”や“傲慢な性格”というものは、普段の平野の姿からは想像がつかず、あからさまに“演じている”印象が強い。だがこれがあるからこそ、“真の性格”が表れたときのギャップが強烈かつリアルなのである。

 ここで『未満警察』に話を戻すと、次郎というキャラクターというのは、よそ行きの顔(演技)をやめ、ある種の“素”をさらけ出した平野だと言えそうな気がする。突飛な言動にはやはり唖然とさせられてばかりだが、なぜだか放っておけない。手を差し伸べたくすらなってしまう。そんな人物が一ノ瀬次郎という男であり、平野紫耀という俳優なのである。平野を見ていると、どこか『ONE PIECE』の主人公・ルフィを彷彿させる。そこにいるだけで、他者を惹きつけるチカラーー“King & Prince”のメンバーであるだけに、平野には“王の資質”があるのかもしれない。

(折田侑駿)

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