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伊藤健太郎、“当たり役”を経てスター街道へ 同年代俳優から抜き出た役者としての風格

リアルサウンド

19/1/5(土) 6:00

 イケメンと呼ばれる俳優はたくさんいるが、「当たり役」と呼ばれるほど強い印象を残せる役柄、多くの人の心に訴えかけるような個性を発揮できるキャラクターと出会えるのは稀なこと。この人が演じたからこそ、こんなにも魅力的に映るのだという役柄を作っていける俳優は、それだけで特別な存在になる。

参考:伊藤健太郎が語る、『今日から俺は!!』での新たな挑戦 「思い入れはめちゃくちゃ強いです」

 2018年の10月期ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で主人公の三橋貴志(賀来賢人)の相棒・伊藤真司を演じた伊藤健太郎。彼は、2019年に間違いなく活躍するであろうと期待される若手俳優の1人だ。「当たり役」といえる役柄と出会った昨年、21歳の誕生日(6月30日)を機に健太郎名義から本名での活動を開始した。

 改名するにあたり、ドラマの公式サイトで次のような意気込みを語っている。「『今日から俺は!!』というドラマで“伊藤”真司という役を演じさせていただく事になり、その運命的な出会いにも背中を押されて、本名でもある“伊藤”を付けて、伊藤健太郎に改名し、役者として一生歩んでいくことを決意しました」

 役者としてやっていく覚悟と決意。そして、この役柄には、とくに強い思い入れがあったのだろう。原作は西森博之の人気少年漫画で、物語の舞台は80年代。転校をきっかけに三橋貴志(賀来賢人)は髪を金髪に染め、伊藤真司(伊藤健太郎)は髪を逆立てトゲトゲ頭にして不良として高校デビューしてケンカに明け暮れるというヤンキーの話なのだが、このトゲトゲ頭も地毛をセットして作ったというから驚きだ。

 80年代を生きてきた人間が見ても違和感しかない伊藤の髪型だが、曲がったことが嫌いでまっすぐな性格の伊藤と重なって、作品の中で圧倒的な存在感を放っていた。原作ファンが納得するキャラクターの再現力だけでなく、若い世代にもしっかり刺さっていたのだ。

 面白さと、斬新な説得力に満ちたドラマで幅広い世代の支持を得た伊藤。早川京子役・橋本環奈とのバカップルぶりも、想像を超えるかわいらしさで、相手役のチャーミングな表情を引き出すというのも頼もしい。

 戦国時代の若君を演じて好評を博した『アシガールSP』(NHK総合)、柏木由紀とダブル主演した『この恋はツミなのか!?』(MBS系)など、フレッシュでありながら、同年代のイケメン俳優にはない落ち着いた風格さえ感じさせる。

 この冬は、若手の登竜門ともいわれるJR東日本のキャンペーン「JR SKISKI」のイメージキャラクターに、女優の松本穂香とともに大抜擢され、さらに注目度もアップ。2019年は押見修造の人気コミックを実写映画化『惡の華』の主人公、春日高男役を演じ、白井晃演出の『春のめざめ』で舞台初主演が決定している。

 偶然かもしれないが、『惡の華』と『春のめざめ』で伊藤が演じる主人公は、どちらも思春期の少年が抱える問題、性の目覚めや抑圧された不安定な心を持て余しており、苦悩や憂鬱を手放せない。若さ弾ける明るい開放的な役ではなく、鬱屈とした難しい役に挑むことになるようだ。

 確実に一歩ずつキャリアを重ねていくなかでの挑戦。2019年はさらなる飛躍が期待できそうだ。(池沢奈々見)

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