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清原果耶は“原節子の再来”!? 安達奈緒子と再タッグの朝ドラ『おかえりモネ』が待望なワケ

リアルサウンド

20/6/3(水) 6:00

 NHK連続テレビ小説第104作目『おかえりモネ』のヒロインを清原果耶、脚本を安達奈緒子が担当することが先日発表された。「満を持して」という言葉がぴったりと合うタッグによる、待望の作品がいよいよ動き出す。

【写真】現役高校生の頃の清原果耶

 ライターの田幸和歌子氏は、「安達奈緒子さんは朝ドラを書いてほしい、この先書くだろうと言われていた筆頭の脚本家で、清原果耶さんは今後ヒロインになるだろうと多くの視聴者に予想されていた筆頭の方。一番の候補同士、本命中の大本命です。お二人が組むのは、『透明なゆりかご』(NHK総合)の以来2度目となりますが、確実に良い作品になると思います」と語る。それほどまでに朝ドラの視聴者界隈から2人の作品が望まれていた背景を紐解いていきたい。

 清原果耶がヒロインに抜擢されるまでの朝ドラの出演歴を、田幸氏は以下のように振り返る。

「朝ドラヒロインに関して、近年の法則のようになっているのが、ヒロインの妹役などがのちにヒロインになっていくというパターン。清原さんは、『あさが来た』でヒロインの夫・新次郎さん(玉木宏)を好きになってしまう女中のふゆ役を演じました。史実的には旦那さんが妾を持ったと言われていたところもあったので、ともすれば視聴者の敵になりかねないキャラクターでしたが、清原さんは見事に演じきりました。不倫が描かれるのではないかと視聴者に不安を与えつつ、そこに踏み込まないという線引きは『スカーレット』の黒島結菜さんとも同じポジションで、近年の朝ドラでは一つのパターンでもあり、可愛くて古風で大人しい雰囲気を漂わせながら、芯が強く、少し影がある側面も見せる複雑な表情が注目されていました。そのあとに『なつぞら』(2019年)で演じたのがヒロインの妹役。広瀬すずさん演じる主人公のなつと生き別れて別々に暮らし、再会を求めるストーリーの中で、キーパーソンに当たる役どころでした。大人になって登場した際には、風貌と顔つきから歳を重ねている加齢感がにじみ出ていて、特に絶賛されていましたよね」

 朝ドラといえば、オーディションによってヒロインが選ばれ、若手女優の登竜門的なイメージも強かったが、今回の清原は、近年の新たな傾向とも言えるキャスティングでの起用となった。その背景を田幸氏は以下のように語る。

「朝ドラにとっても近年は“働き方改革”がありながら、ヒロイン至上主義が主流だった昔の作り方よりもたくさんの登場人物を出し、それぞれの背景を描くなど、複雑かつ丁寧に作っているだけに時間も手間もかかっていると思います。そういう働き方や手間がかかりすぎることも含めて、昔のように登竜門的な新人を起用して、役柄と共に成長していくのを見守るのではなく、戸田恵梨香さんや安藤サクラさんなど、もともと実力のある中堅クラスの方がヒロインを演じるのが主流になってきています。ただ、朝ドラにとっても、ドラマ界全体にとっても、二十歳前後くらいの力のある女優さんが欲しいという状況でもあります。長年、広瀬すずさん一強だったところに、清原果耶さんが登場した。若くて上手い女優さんはたくさんいると思いますが、作品の真ん中で輝きを放てるオーラを持ち、圧倒的な華があって、なおかつ知名度も実力もあるという待望のヒロインが現れたのだと思います。演技力もさることながら、18歳と思えない落ち着きと、古風な雰囲気が他の女優さんにない魅力で、無垢で透明感があり、自然体で、感受性が豊かで、おおらかな包容力や優しさ・あたたかさの一方で、陰の部分もあって。個人的には『久しぶりに現れた若き銀幕女優』『原節子の再来』と思っています。しかもまだ10代。その若さも含めて、みんなが見たい瑞々しい朝ドラヒロインであり、とても良いタイミングだと思います」

 ネット上の反響を見ると、脚本家の安達奈緒子に寄せる信頼も絶大だ。

「安達さんはいま一番勢いがある脚本家として注目されていて、民放ドラマの作品の評価も高いですが、NHKの『透明なゆりかご』からまた別のステージに移行し、注目のされ方が変わった気がしています。『透明なゆりかご』は、原作は一見ふんわりライトなタッチなのに、気楽に読むと思いがけないシビアな現実に驚かされ、泣かされる意外性があるのですが、ドラマでは受ける印象が大きく異なるにもかかわらず、物語のキモの部分は忠実で実写ならではの魅力がありました。また、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)は原作の別々のエピソードから抜き出した要素をつなぎ合わせて一つのテーマとして意味を持たせて描いたりと、アレンジが非常に巧みで、テクニックに長けている。それで原作モノの脚色が上手い脚本家なのかなと思っていたところ、緻密な取材を積み重ねて完全オリジナル脚本で書かれた『サギデカ』も秀逸で。NHKでは、水橋文美江さんが『スカーレット』を書く前に『みかづき』を書いていたり、『カーネーション』の渡辺あやさんが『火の魚』を書いていたり、まず夜の時間帯の単発ドラマや連ドラを書いてもらって、腕や相性を試し、関係性が築かれてから朝ドラに来る流れがあるんです。その点、安達さんは『透明なゆりかご』でNHKとの相性の良さや上手さもしっかり分かった後に、『サギデカ』でオリジナル脚本も経験して、太鼓判が押された状態。2019年には『きのう何食べた?』、『サギデカ』、『G線上のあなたと私』(TBS系)と連ドラを3本も手掛けているにもかかわらず、どれも評価が高い。このペースで仕事をしながら全部ヒットさせているということが一番の安心感です。朝ドラの一番の特殊性は、圧倒的物理的な量の多さで、力のある脚本家も皆さん音を上げてしまいそうになるようなことも往往にしてあるようですが、これだけのクオリティを保ちつつ、書き続けられる安達さんの腕力があれば、朝ドラの量も間違いなく安定感ある形でこなしてくれるんだろうなと思います」

 清原が本作で演じるのは、気仙沼湾沖に浮かぶ緑豊かな島で育ち、「3.11」を経て、気象予報士の資格を獲得し懸命に生きていく永浦百音。安達奈緒子が描き出す世界で羽ばたく、清原果耶の姿を観られる日が待ち遠しい。

(大和田茉椰)

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