Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

Zeppで魅せたロックな「さくらしめじ」 「ライブを作っているのは僕らとファンの“心”と“気持ち”」

ぴあ

撮影/鈴木友莉

続きを読む

フォークデュオ「さくらしめじ」が7月18日(日)、『さくらしめじのゼップでロッ菌!2021 in Zepp DiverCity』を開催した。昼の部の『TRACK1』、夜の部の『TRACK2』として1日に2公演が行われた本公演の『TRACK1』をレポートする。
Zepp DiverCityのこの日の天気は快晴。真っ青な空が広がっていた。そんな青と同じように、爽やかなブルーの肩にタオルをかけたきのこりあん(さくらしめじファンの総称)が会場前のあちこちで記念撮影を行っていた。その光景は、どこかあのフェスのことを思い出させる。

そして会場内。用意された一階席はほぼ満員。ステージ上には『ROCKIN 2021』の垂れ幕が。やはりいつものさくらしめじのライブとは違う……そんな雰囲気を感じさせる。開演時間を迎えると、灯りが消え、薄暗いステージ上にバンドメンバーが手拍子で煽りながら登場。観客も立ち上がり、その手拍子に合わせる。そして、さくらしめじのシルエットが――。こらえきれない歓声があちこちから漏れる。

響くギター音、ドラム音が空気を震わせる。エレキギターを持ったふたりの姿に、グッと客席の熱が上がるのが分かる。『青春の唄』でギアを入れ、『でぃすとーしょん』でボルテージを上げていく。本当にさくらしめじのライブに来ているのだろうか? と思うほど、普段とは違うアーティストを見ているかのようだ。

雅功が「元気かい、Zepp!」と声をかけるときのこりあんたちも手にしたサイリウムを揺らして答える。そんな会場を見て雅功が「まあまあだな」と言ってどこか不敵に微笑む。なんだかいつもよりワイルドだ。

みんながまだまだだから歌詞飛んじゃったじゃん!

「これからもっとどんどん上がっていくんだと思うけど、ダメだよ、そんなんじゃあ。全然ダメだったから歌詞飛んじゃったじゃん!」と照れ笑いで『でぃすとーしょん』の演奏に触れたあと、『たけのこミサイル』へ。ギターを弾く彪我の表情がとても気持ちよさそうでゾクゾクさせる。4曲目では特徴的なギターリフで始まるRADWIMPSの『会心の一撃』をカバー。彪我のギターに、雅功はハンドマイクでステージ上をところせましと動き回り、歌い上げた。

4曲を終えたところで、すでにふたりの顔には汗が光っており、その熱量を感じさせる。
彪我は会場を見渡すと、「すごいね、顔が見える。元気?」と笑顔で手を振って見せた。そのあと、雅功に視線を向け、「ツッコんでいいの?」。雅功が「さくらしめじにダメなことなんてないよ」と答えると彪我は少しの間を空け「誰ですか?」。これには、思わず会場からも笑いと拍手が起こる。そう、この日、雅功はガラッとイメチェンしており、髪が金髪になっていたのだ。「おととい染めたの」という雅功に彪我も「すごいね、よくそこまで染まったね」と感心する。2回ブリーチしたと話す雅功に、会場にも動揺が走る。そんな会場に雅功もどこか得意げに「染めたことないから分かんないか!」と言い、イメチェンに対する反応に満足したようだった。

そして、「今日ロッキンなんで、ロックは忘れずに、みんなで最後までぶちあがっていきましょう」という雅功の言葉のあとに始まったのは『朝が来る前に』のバンドアレンジ。原曲よりもずっとパワフルでロックだ。そこから息もつかせず『スタートダッシュ』、『先に言うね』、『あやまリズム』を披露。『Bun!Bun!BuuuN!』では2人ともいつものタオルではなく、サイリウムを手に、会場を盛り上げ、一体感を作り上げた。

MCでは雅功が「本当に嬉しい。会えてよかった。本当によかった」としみじみ。それから、「ロックの定義ってどう?」と彪我に問いかける。彪我「……髪が金髪なこと?」と言って笑わせたが、雅功はすぐに真剣な表情で「ロックってなんだ、って思うじゃん。ロッ菌をするにあたって。さくらしめじがロック? って思ってる方もいらっしゃると思いますけど。ロックは心のあり方だと思うんですよ。これだけ激しい曲をやっていますけど、僕らは中学1年生のころから変わらずフォークデュオでやってきてる。ってことは、僕らがフォークだって言ったらこれはフォークになる。逆も然りで、僕らが、みんながロックだ、って思えばその曲は、ライブは、全部ロックになるんですよ。だからこのライブを作っているのは僕らの音じゃなくて、みなさんと僕たちの気持ちなんです」と言い切り、会場からは拍手が沸き起こる。

ひとりじゃない、居場所はある

ただ、ロックナンバーが続くわけではない。「次は全然ロックじゃない曲を」とフォークギターを手にひらめとコラボした『ストーリーズ』、『別れた後に僕が思うこと』とラブソングをしっとりと歌い上げて、その楽曲の幅を見せつけた。

「早いんだけど、ここからは終わりに向かっていっちゃう」と雅功が名残惜し気に漏らす。「ここからラストスパートなんで、後悔ないようにみんなでブチ上がって行きましょう!」という言葉通り、クールで激しい『ねこの16ビート』できのこりあんたちを乗せていく。
更に雅功が「新曲やりまーす」と『わがままでいたい』を披露。ギターロックに鬱屈とした「今」を蹴り飛ばすような歌詞はどこか前向きな気持ちが感じられる。もっとひとりひとりが「わがままでいいんだ」と思わせてくれて、勇気がもらえる。
ラストは「ひとりじゃない、居場所はある」という今の時代にもぴったりなメッセージが込められた『同じ雲の下』で本編を締めくくった。

アンコールでは、ライブTシャツ「ロッ菌Tシャツ」に着替えた2人が登場。改めて「今日本当にできてよかった」と噛みしめる2人。そして雅功は「来てくれたのが嬉しい。本当にありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。そして、また次に会うことを約束するかのように『合言葉』をさくらしめじの2人だけできのこりあんに贈った。

雅功、彪我それぞれが手がけた曲も含めた多彩なセットリストで聴かせた今回の公演。何より、さくらしめじの「ロックな一面」は新たな魅力であることは間違いない。夜公演では「さくらしめじの秋ツアー~シイノトモシビ~」の開催も発表されたが、夏の「ロッ菌」を経て、彼らがまたどのような一面を見せてくれるのか、楽しみである。

8/26 23:00~ MUSIC ON! TV(エムオン!)にて、本日のTRACK2(2部)の公演が配信決定!

新曲「わがままでいたい」の視聴はこちら
https://ssm.lnk.to/Wagamamadeitai

撮影/鈴木友莉、取材・文/ふくだりょうこ

アプリで読む