マチネの終わりに
19/10/28(月)
(C)2019 フジテレビジョン アミューズ 東宝 コルク
昨年、この映画のために、約1カ月ほど日本を離れた。
そんなことは人生で初めてのことだった。
その甲斐のある作品だった。
いくら映画を観ても、いくら撮影現場を体験しても、いくら俳優にインタビューしても、いくら監督に取材しても、分からないことがある。
それよりも、たったひとつの恋が、大きなことを教えてくれる。
パリのシャンパーニュ。パリのワイン。パリのディネ。パリのデジュネ。パリのプチデジュネ。パリのオレンジジュース。パリの雨。
ニューヨークのスパークリング。ニューヨークのカクテル。ニューヨークのパスタ。ニューヨークのエスニック。ニューヨークのハンバーガー。ニューヨークのティラミス。ニューヨークの雪。
旅が伝える一期と一会。
誰かと出逢うこと。誰かと再会すること。
私たちのこころが本能的に求めているものを、この映画は浮き彫りにする。
遠くにいるから。
思いやることができる。
そばにいれないから。
大切にしたくなる。
不在が手をのばす、あなたが“いる”ほうへ。
たとえ抱きしめることができなくても、想える相手が実在することは、まぎれもなく幸せだ。
永遠とは、成就の中にあるのではなく、せつなさの中にこそあるのかもしれない。
忘れられない恋を記憶している、この世界のすべてのひとに。
捧げます。
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