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赤頰思春期、日本進出への強い思い 「宇宙をあげる」日本版楽曲とMVから感じること

リアルサウンド

19/5/23(木) 13:00

 20代前半の女性2人、アン・ジヨンとウ・ジユンからなる韓国発のアコースティックポップ系ユニット・赤頰思春期(あかほおししゅんき)が2019年6月5日、アルバム『RED PLANET(JAPAN EDITION)』で待望の日本正式デビューを果たす。それに先駆けて同作品のメイントラック「宇宙をあげる」のミュージックビデオが公開された。

[MV] 赤頬思春期(BOL4) – 宇宙をあげる

 この曲は赤頰思春期でも人気のある曲のうちの一つ。オーディション番組の出演で注目を集め、現在の所属事務所と契約した彼女たちは、満を持して韓国で2016年4月に初のミニアルバムをリリース。インディーズとしてはそれなりの成績を収めたものの、残念ながらブレイクには遠く及ばず。そんな状況を好転させたのが「宇宙をあげる」だった。

 2016年9月、テレビの人気音楽番組『ユ・ヒヨルのスケッチブック』に出演した際に同曲を披露したところ、大きな反響を呼び、瞬く間に各種チャートの上位へ。最終的には、その年の秋から冬にかけてテレビやラジオはもちろん、街中のいたるところで流れるほど、多くのリスナーに愛される1曲となった。

 ヒットした理由が楽曲の良さであることに異論を唱える人はいないだろう。透明感のある音色が響きわたると、ジヨンが静かに歌い始める。自分の思いを宇宙に託し、そのすべてを愛する人に捧げたいという歌詞であれば、落ち着いた展開にしてしまいがちだが、彼女たちの場合は途中で躍動感のあるサウンドに切り替え、キャッチーなサビで一気に盛り上げる。メンバー自ら書いたそうだが(作曲は実力派ミュージシャンのバニラマンがサポート)、ベテランの作曲家が提供した曲と勘違いするぐらい完成度の高い曲であり、これで売れないわけがない。

 「宇宙をあげる」の韓国版MVは歌詞の内容に近い内容であったが、今回公開された日本版MVはまったく異なる発想で制作している。ストーリー性を意識したと言うよりは、「小さな空間でお互いの存在を気にしながら過ごす男女」という画で楽曲を伝えている感じだ。最初から最後までメンバーのキュートなキャラクターを前面に出すことに徹しており、さらに2019年のファッションのトレンドであるネオンカラーを効果的に使い、きらめく星を蛍光灯の火花で表現するなど、韓国版MVよりもスタイリッシュな演出が目立つ。

 同じものを同じように見せない。これが日本進出に対する彼女たちの基本姿勢であろう。K-POPアーティストが海外で活動をはじめるとき、韓国でのサウンドやスタイルをそのまま見せる場合と、まったく別モノとしてアレンジバージョンで勝負する場合があるが、赤頰思春期は楽曲のスタイルを変えずにMVでひと味違ったものを見せてくれた。自分たちのカラーはそのままに日本のリスナーに寄り添ったものを届けたいという強い気持ちが、「宇宙をあげる」の日本版MVを作らせたと言ってもいいかもしれない。

 同じ思いはボーカルにも表れている。オリジナルバージョンに忠実に訳したリリックを表情豊かに歌うジヨンは、驚くほど発音がスムーズで、日本の言葉や感情表現を一生懸命学んだのだろうと感じさせてくれる。。「赤頬思春期の感性や個性を一番感じられる曲」(メンバー2人のコメント)を最良の形で聴かせることができたのではないだろうか。

 「宇宙をあげる」を気に入ったら『RED PLANET(JAPAN EDITION)』の収録曲も是非チェックしてもらいたい。R&B風のアレンジが印象的な「好きだと言って」や、ヒップホップからの影響を感じさせる歌声が心地良い「意地悪」など、既存のアコースティックポップのイメージにとらわれない魅力的な曲が満載で、いずれもお薦めだ。

 赤頬思春期の日本での本格的な活動がまもなくスタートする。彼女たちの真摯な思いが伝わる「宇宙をあげる」日本バージョンのMVを観ると応援せずにはいられない。まずは、6月6日に大阪・梅田バナナホール、6月8日に東京・TSUTAYA O-EASTで開催される日本デビュープレミアムショーケースでの姿をしっかりと観たいと思う。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。

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