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「シャッキリポンと、舌の上で踊るわ」 『美味しんぼ』独特な表現の食レポ5選

リアルサウンド

20/9/19(土) 9:00

 『美味しんぼ』は日本の食文化に大きな影響を与えたといわれているが、それは食べ方だけでなく、味の表現にも及んでいると聞く。そこで今回は『美味しんぼ』が料理に用いた独特の表現を検証しよう。

シャッキリポン

 山岡士郎の妻で、東西新聞社の同僚栗田ゆう子は、ヒラメを食べると「ヒラメがシャッキリポンと、舌の上で踊るわ」と独特な表現で料理を称賛した。

 物語では発言にツッコミが入ることはなかったが、擬音語を組み合わせたように思える表現に、ネット上では一部から「よくわからない」「どんな感じなんだろう」と疑問の声が上がる。

 しかし「雰囲気はわかる」「擬音語を組み合わせることで絶妙な味の表現をした。素晴らしい」と褒める読者も多かった(『美味しんぼ』第31巻より)

不潔な雑巾のような匂い

 妻のゆう子が妊娠し、つわりで食べ物を受け付けなくなってしまったことに悩んだ山岡は、つわりを克服するための料理を作る。

 ゆう子は山岡が作ったカリフラワーのグラタンを口に入れると、「なんだか不潔な雑巾のような匂い…」と口を押さえてしまう。

 もちろん謝罪したゆう子だが、「もう少しオブラートに包んでほしかった」「料理に使う表現としては、最悪」との声も。しかし、「つわりに苦しむ女性の変化を表現するには適切な言葉」と評価する人も少なくない。(『美味しんぼ』68巻より)

辛さが丸くなる

 富井副部長が大韓書籍・金社長をもてなすべく、ホテルで会食したところ、「このキムチは辛すぎる」と激怒されてしまう。

 「キムチは辛いもの」と発現を理解できない富井副部長のために、山岡は上野の専門店を訪れ、「本物のキムチ」を食べてもらうことにする。

 口に入れた富井副部長は「全然味が違う」と驚きを隠せない。山岡は「同じ唐辛子の種でも日本の土地に撒くとできる唐辛子の辛さはきつくなり、韓国の土壌に撒くと辛さが丸くなるんだそうです」と説明。

 「辛さが丸くなる」という表現は「辛さが抑えられる」ことを表した言葉だと思われる。あえて「丸い」という言葉を使い、違いを表現した。(『美味しんぼ』10巻より)

体の芯まで谷川が吹き抜けたよう

 アメリカで上院議員を務めるイアン氏をもてなすことになった山岡とゆう子。帝都新聞社主催の食事会で提供された豪華な料理に飽き飽きしている様子を見て、質素なお茶で対抗することを思いつく。

 2人は山の清水と玉露で作ったお茶、水出し玉露を提供する。人飲みしたイアン氏は「甘く、ほろ苦く、喉越しが快く、口が気持ちいい」「これは体の芯まで谷川が吹き抜けたような…」と独特な表現を使い、その味を絶賛した。

 この後、美味しい飲み物を飲んだあとの恍惚感を「谷川が吹き抜けた」と表現したことに、一部読者から「凄い!」と評価の声が上がった。(『美味しんぼ』5巻より)

体を包み込むこの恍惚感はどうだ…!

 東西新聞社との会食で、トリュフを食べたフランス・ルタシ社のショーバン社主。

 自身お気に入りのトリュフを口にすると、「ああこの香り…。体中に生気が沸き起こり、活力がみなぎってくる。そして同時に体を包み込む、この恍惚感はどうだ…!」と大絶賛した。

 この漫画を読み、トリュフには「体を包み込む恍惚感がある」と思った人もいたようだ(『美味しんぼ』5巻より)

独特な表現も見どころの1つ

 少々オーバーにも思えてしまうが、その味の表現も醍醐味の1つとなっていた様子。SNS時代、誰でも食レポを世に放つことができるようになった現代、『美味しんぼ』の影響を受けた表現を用いる人もいる。調理法だけでなく、「味の表現」にも、大きな影響を与えた作品といえるだろう。

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