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アユニ・D(BiSH)が語る、ソロプロジェクト PEDROで見つけた“自分をさらけ出せる場所”

リアルサウンド

18/10/20(土) 13:00

 バンド形態のソロプロジェクト・PEDROとしてデビューを果たしたBiSHのアユニ・D。ギターには田渕ひさ子を迎え、先日には初ライブ『PEDRO first live “happy jam jam psycho”』も開催した。

PEDRO [BiSH AYUNi D Solo Project] / 自律神経出張中 [OFFICIAL VIDEO]

 デビューミニアルバム『zoozoosea』にも収録されたドキュメンタリー映像「THE BIRTH OF PEDRO」にも克明に描かれているが、そもそもアユニ・DがBiSHマネージャーの渡辺淳之介氏からプロジェクトの立ち上げを告げられたのは今年の2月である。そこから約7カ月かけ、アユニ・Dがベースを買うところから始まったプロジェクトはスリーピースのパンクバンドとして結実した。

 ライブを終え、PEDRO、そしてBiSHの先行きにどんなイメージを持っているか。アユニ・D本人に語ってもらった。(柴那典)

「今できることは全部さらけ出した」

――初ライブ、すごくよかったです。終えての率直な手応えはどうでしたか?

アユニ・D(以下、アユニ):めちゃくちゃ楽しかったです。でも、すごく緊張しました。震えちゃったし、最初に歌う時から、声の出し方がちょっとわかんなくなっちゃって。でも、松隈(ケンタ)さんに「声が出なけりゃ息吸え」ってよく言われてたんで、それを思い出して、頑張ったんですけど。

――緊張してる感じはありましたけど、途中から腰が据わったようにも見えました。そういう実感はありました?

アユニ:やっぱり、BiSHのライブを重ねていくことで、恥ずかしがったり、縮こまっていたりしたら、格好いいライブは絶対できないって分かったんで。今できることは全部さらけ出したつもりです。

PEDRO [BiSH AYUNi D Solo Project] / 透明少女 [Originaled by NUMBER GIRL / Live at 新代田FEVER

――ライブは田渕ひさ子さんがギターで、PEDROの楽曲だけじゃなくNUMBER GIRLの「透明少女」のカバーもやっていました。あれも冒頭のMCも含めてやりきった感があってすごくよかったですけれど、やってみて、どうでした?

アユニ:あの曲は、まず、私ほんとに音楽に関して無知で、バンドのこともよく知らなくて。PEDROをやるってなって、ギターを田渕ひさ子さんにお願いしたいって話を聞いて、そこで田渕ひさ子さんの存在を知ったんですよ。で、そこから田渕ひさ子さんがやってた音楽をすごい聴くようになったんです。最初に聴いたのがNUMBER GIRLの「透明少女」で。それがすごく格好よくて、でも、本人と一緒にカバーするのは、それなりに覚悟が必要でした。たぶんいろいろ言われたりするだろうなと思ったし。だから、ちょっと怖かったです。本人に「やっていいですか?」という許可を得るのも恐れ多かったし。

――NUMBER GIRLは今はないバンドだからこそ、かつてのファンが何を言うか怖さがあった。

アユニ:そうですね。YouTubeで映像も公開されたんですけど、やっぱり、みんないろいろ思うところあるみたいで。いろんな人の思い出が詰まってる曲なんですよね。この曲を聴いて、人がいろんなことを思い出しているんだって思うと、感動して。私はそういう思い出は濃くないんですけど、練習の時、一回泣きながら聴いてました。

――PEDROって、プロジェクトが始まってから7、8カ月ですよね?

アユニ:そうですね。

――ドキュメント映像も見ましたけれど、最初に渡辺淳之介さんから「ベースやってみない?」って言われたのが、今年の2月。まあ、あの人の「やってみない?」っていうのは「やれ」ってことだと思うんですけど(笑)。

アユニ:はい、「やれ」ってことです(笑)。

――きっと、最初にイメージしてたのは、もうちょっと長い時間をかけて練習して、じっくりバンドを育てていくプロジェクトだったと思うんです。ここまで早い展開は想像してなかったんじゃないかと。

アユニ:全然想像してなかったです。それにいつも、BiSHは音楽プロデューサーの松隈ケンタさんが全部関わってくださってて、松隈さんがやってる音楽集団のSCRAMBLESの方がBiSHのツアーでも「鬼バンド」ってバンド編成でやってくれてたので、その方々とやるのかなって思っていたら、それも違くて。ドラムはSCRAMBLESの方ですけど、まさか、田渕さんがギターになると思ってなくて。MCでも言ったんですけど、レジェンドと大学生と初心者、みたいな組み合わせでやると思わなかったんで。怖いですね。怖いしか言えないんですけど(笑)。

――ライブを観ても思ったんですけれど、、バンドというアウトプット、楽器を弾きながら歌うという表現方法って、アユニ・Dさんにすごくしっくりきている感があるんですけれど。ご本人としてはどうですか?

アユニ:そう言っていただけると、すごく嬉しいですね。ドラムとかベースのリズムに合ってるって、レコーディングの時によく言われてたんですよ。だから、リズム感はあるのかな? わかんないですけど。ベースは楽しいです。

――ベースはもともとやったことあったんですよね?

アユニ:そうですね。ほんと、一瞬しか触れてないですけど。

「自ら進んでやることが出来ない人間」

――北海道の中学生時代までさかのぼって、どういったところが自分の音楽のルーツだったんでしょうか?

アユニ:うーん、KANA-BOONさんとか、流行りのバンドの音楽ですかね。ヒトリエさんもめっちゃ聴いてました。ボカロが元々好きで、特にバンドサウンド系のボカロの音楽が好きで、いろいろ聴いていて。ヒトリエのボーカルのwowakaさんがそういう曲を作ってたりしたんで。

――なるほど。wowakaさんは、ヒトリエのデビュー時代から取材してるんですけど、彼もNUMBER GIRLにすごく影響を受けてるんです。

アユニ:あ、そうなんですね。

――で、もともとバンドをやりたい人で。だけど、周りと上手くいかなかったのか、ボーカロイドに出会って一人で音楽を作るようになって。そこからバンドをやるようになったという。そういうような感じって、アユニ・Dさん自身のキャラクターや性格にも、重なり合うようなところってあると思います?

アユニ:うーん、いや、全然ないかもしれない。私、自ら進んでやるっていうのが、本当にできない人間なんで。音楽が好きで、自ら進んで曲を作る方とかほんとすごいなって、尊敬しますね。今回だって「買え!」って言われなかったらベースも一生買わなかったし、そういう環境があったからこそ練習もできているので。

――まあ、そもそも2月にベースを始めて9月にデビューだって、普通は言われないですよ。

アユニ:そうですね。ほんと、おかしいんですよ(笑)。

ーーどれくらい練習しました?

アユニ:本格的に練習を始めたのが7月からとかで。8月後半から1カ月は毎日8時間くらいスタジオ入ってました。「なんでこんなに入るんだ」って思いながら(笑)。特訓しました。私、できなかったんで。

ーー指にその跡がありますもんね。

アユニ:ああ、ちょっと皮が剥けてます。頑張りました。いろんな方に迷惑をかけて、頑張りました。

――BiSHという環境に身を置いていることによって、自分が変わった感じはあります?

アユニ:完全にそうですね。正直、別になんでもやりますっていう覚悟で入ったわけじゃないんですよ。ほんと、好奇心で入っちゃったんで、でも、やれることは頑張りたいと思ってるんで。

――そもそもですけど、なぜBiSHのオーディションを受けようと思ったんでしょう。そのときって、アイドルグループにどんなイメージを持ってました?

アユニ:アイドルはキラキラしたかわいい人たちって感じだったんですけど、BiSHはそうじゃなくて。変なことしてる人たちだなって認識があったんで。BiSHじゃなかったら、どこも受けてないです。入りたいと思わない。

――BiSHと他のグループとの違いって、何が大きいんでしょう?

アユニ:自分たちの事務所の他のグループもそうなんですけど、どこもすごく“女子校感”ってのがあるんです。でも、BiSHはほんとなくて。ほんと個性的です。あと、私含めてみんな暗いです。根が暗いし、お互いに干渉しあわない。仲良くないわけでもないんですけど、みんな一人ひとりが気ままにやってる感じですね。

――その方が居心地がいい?

アユニ:はい。めちゃくちゃいいです。すごい自分に合ってます。みんな違う性格なんで、新しい発見しかない。面白いです。

――アユニ・Dさん自身も、友達とか周囲に馴染みにくいところがありつつ、それでいて人前に立ちたい欲求があったという感じでしょうか。

アユニ:そうですね。めっちゃそうです。根暗で、陰キャラなんですけど、変なところで目立ちたい欲はあったので。知られたくないけど知られたいっていうか。音楽とかで表現したい、みたいな気持ちがありました。

――なるほど。よくよく考えると、アユニ・Dさん、運がいいですよね。

アユニ:ほんと、私、運がいいと自分で思うんです(笑)。BiSHに入れたこともそうだし。普段の生活はついてないんで、今思えばほんと運がいいなって思いました。

「ライブをやってみて、次への試練が見えた」

――曲のことも聞いていければと思います。特に「自律神経出張中」はすごくアユニ・Dさんらしさが出ている感じがありますけれども。この曲はどういう風にしてできたものなんでしょう。

アユニ:これは、今、一番自分が思うことを、一番スラスラと書けた曲ですね。あと、デモの時点で、この曲が一番好きだったので。もともとの自分の性格は斜に構えてる感じなんで、自然とこうなる感じです。

――アルバムを作っていく中で、生みの苦しみのような感じはありました?

アユニ:『zoozoosea』には7曲入ってるんですけど、デモをいただいたのは12曲とかで。で、最初に私がやりたいって言った7、8曲は、全部クセが強い曲だらけだったんです。1stアルバムなんで、いろんな曲を入れて、いろんな意見を聞きたいっていうんで、私だったらたぶん選ばないかもしれない爽やかな曲調とか、優しいメロディの曲とかも入れました。「甘くないトーキョー」とか、そういう曲を入れないとダメかなあと思って。でも、歌詞は痛いというか汚くしてしまったんですけど。〈おしゃれな人ってむかつきますね〉とか〈僕たちを夏が殺しにかかってこようとしてるし〉とか。

――やっていくうちに、PEDROはアユニさんの個性をストレートに100%出せる場になっていったと思うんですけれど。

アユニ:そうですね。ほんと、自分をさらけ出し過ぎた一枚のアルバムになりました。「媚びを売らない歌詞だね」みたいに言われたことがあるんですけど。確かにそうだなって。ほんと、自分のことしか考えないで書いたんで。5曲目の「MAD DANCE」は、いろんなバンドの曲を聴いてたら「踊れ」って言ってる歌詞とか、「○○ダンス」みたいな曲名が多くて。それがYouTubeの再生回数が多かったりしたんで。それは受けがいいのかな、って思って入れました。

――BiSHとして歌っているアユニ・Dと、PEDROでベースを弾きながら歌うアユニ・Dって、別物って感じですか?

アユニ:うーん、まず楽器を持つのと持たないのとは全然違うので。感覚は全く違いますね。楽器を持つと、歌って踊るより何億倍も難しいです。あと、曲を丸々一人で歌わなきゃいけないので。

――BiSHでは後輩的な立ち位置ですけれど、ソロだと自分で引っ張っていかないといけないですよね。そのあたりは?

アユニ:やっぱり、自分の意見を最初から最後まで言わないといけなかったんで。PEDROではそれは大きいですね。BiSHの時って、そんなに自分の意見を言わなかったんですよ。チッチ(セントチヒロ・チッチ)とかが引っ張ってくれるのに身を任せてた部分があったんで。BiSHの時は「これはこうしろ」と言われたら全部そうしてたし、不満もないんですけど、でも、やっぱ自分の感性でやれって言われたら、他人の意見を聞きたくないなと思ってしまって。

――BiSHで書いた歌詞と、PEDROの歌詞を比べてどうでしょう?

アユニ:全然違いますね。BiSHの歌詞は結構修正があったりしたけど、PEDROの歌詞はひとつも直されなかったんで。それに、BiSHの「本当本気」は今よりも未熟者な自分が書いた歌詞とかだったりするんで。PEDROって、今回私と同世代の方々が等身大に思えるような曲をテーマにして作ってて、レコーディングも大学生とかが弾いたり叩いたりしてるんですよ。あと、トラックを作ってるのも大学生とか20代の方々がやってるんで。

――こうしてやってみて、PEDROは続けていきたいものでしょうか?

アユニ:続けていきたいですね! 続けていけるものであれば、私は頑張りたいです。

――アルバムを作ってライブをやって、手応えと同時に「ここをこうしたい」という欲も芽生えているんじゃないかと思うんですけど。

アユニ:はい。すごい芽生えました。人前に出てやらないとわからないことだらけだったんで。だから、ライブをやってみて、次への試練が見えた。ライブも曲もたくさん積み重ねたいですね。早くやりたいです。

――そうやってPEDROでライブをやることが、またBiSHの自分にもプラスになる感じもありそうですか?

アユニ:ありますね。今、目に見えて自分でもわかるし、ライブ制作の方とかにも「自然と音楽にのれるようになったね」とか「声も太くなって出るようになったね」と言われるようになって。ここ短期間で、音楽に関しての興味が深くなったんだと思います。

(取材・文=柴那典/写真=林直幸)

■リリース情報
PEDRO [BiSH AYUNi D Solo Project]
Debut Mini Album『zoozoosea』
発売中

初回生産限定盤:CD+Blu-ray+PHOTOBOOK
¥5,800(+税)

<CD収録内容>
01.ゴミ屑ロンリネス
02.GALILEO
03.自律神経出張中 
04.甘くないトーキョー
05.MAD DANCE
06.ハッピーに生きてくれ
07.うた

<Blu-ray収録内容>
自律神経出張中(Music Video)
THE BIRTH OF PEDRO(ドキュメンタリー映像)

通常盤:CDのみ
¥2,000(tax out)

■ライブ情報
『BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”』
12月22日(土)
千葉 幕張メッセ9・10・11ホール

<チケット詳細>
【スタンディング】 ¥7,000 ※ブロック指定
【女性限定スタンディング】¥7,000 ※ブロック指定
【指定席】¥7,000

HP抽選先行 /【スタンディング/指定席】 ¥7,000(税込)
9月19日(水)12:00~9月26日(水)23:00
受付

■関連リンク
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