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【おとな向け映画ガイド】

大満足! クレイグ最後のジェームズ・ボンド『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

ぴあ編集部 坂口英明
21/10/3(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(10/8~9)に公開される映画は19本。全国100館以上で拡大公開される作品が『キャッシュトラック』『宇宙の法-エローヒム編-』『神在月のこども』『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の4本。中規模公開、ミニシアター系の作品が15本です。今回は10/1公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をご紹介します。

あれから5年
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

緊急事態宣言が明けた10月1日、嵐の日が公開初日でした。雨風を避けて、渋谷駅から地下伝いに映画館をめざすと、壁に007最新作とOMEGAのタイアップ広告、柱のモニターからは映像が流れて、気分を盛り上げてくれます。朝9時50分の回は、こんな天候でも8割くらい席が埋まっています。何度も公開延期でしたからね。もうみなさん待ちかねたゾ、ですよね。

MGMのライオンがひと吠えし、ボンドが銃をひと撃ちし、あのメロディーが流れる、おなじみの始まりです。そして、プロローグ(今回は、ちょっとひと味違います)のあと、ロマンチックなテーマソングと幻想的なタイトル。期待通り、安定のすべり出しです。ダニエル・クレイグによる007は5作目、そしてこれが最後。前作『007 スペクター』が2015年の作品ですから、映画のなかの時間もあれから5年たった、という設定です。

ボンドは、英国の諜報機関MI6を退き、ジャマイカでのんびり引退生活を楽しんでいます。そこに、かつて“共闘”したことのある仲間、CIAエージェントのフィリックス・ライターが、ある難事件解決の手助けを求めてきます……。それから始まるボンド復活劇は、コロナ禍の自粛ムードでなかなか観られなかった久しぶりの大型スパイアクション。予備知識なしでも十分楽しめるものになっています。

前作からの続きというか、いくつかの、あれはどうなったの? への期待にもきちんと答えてくれています。一時は組織存続の危機だったMI6はどうなったか? ボスであるMは安泰か? ボンドの手で逮捕され、刑務所に収監された悪の親玉ブロフェルドと、彼が率いる組織スペクターはどうなったのか? そして、女性に関しては、純情といってもいいくらい真摯なクレイグのボンド。前回の恋人マドレーヌ(レア・セドゥ)とのその後は? などなど。

もちろんすべてにきちんと納得の展開が用意され、“007ツウ”への目配りは充分です。例えば、M(レイフ・ファインズ)は復権に成功。チャーミングな女性秘書マネーペニー(ナオミ・ハリス)も健在。秘密兵器開発担当の若きQ(ベン・ウィショー)は、不思議なオタクっぽい武器の開発だけでなく、ハッカーのような活躍もします。究極のボンドカー、アストンマーティンDB5が完全復帰しているのも感激です。敵に追われるボンドが使う、昔ながらのスモークや“まきびし”風のローテク装備の数々は感涙モノです。毎作、絶景が魅力のロケ地、今回は世界遺産のイタリア「マテーラ」が登場します。ノルウェー、ジャマイカも使われています。

監督は、新たに、日系の血筋を引くキャリー・ジョージ・フクナガ。そういうば和のテイストが感じられます。そして、何と言っても、あの『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックが謎の悪役、サフィンに起用されています。大きな変化でいえば、女性の活躍も特記事項。リタイアしたボンドの後釜、殺しのライセンスをもつ00(ダブルオー)エージェントのノーミ(ラシャーナ・リンチ)という黒人女性や、CIAエージェント・パロマ(アナ・デ・アルマス)もやたらカッコいいのです。ボンドガール、といういい方はもう時代遅れです。

なんとなんとの大団円まで、2時間44分。しかし、それにしても、こんな終わり方になるとは、きっとみなさん、驚かれると思います。クレジットが流れる途中で、トイレにいそぐのか席を立つ人もちらほらいましたが、やっぱり、007は最後の最後、あのメッセージまで見なければ!

【ぴあ水先案内から】

中川右介さん(作家、編集者)
「……ヒーローものアクション映画のタブーを破った、大問題作でもある。この物語の是非をめぐっては論争になるだろう……」

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堀晃和さん(ライター、編集者)
「……『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞に輝く撮影監督リヌス・サンドグレンの映像を意識してほしい。端正な構図、鮮やかな色彩を通じてボンドの雄姿が網膜に焼き付けられる……」

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