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国立劇場『通し狂言 平家女護島』本日開幕

ぴあ

18/10/1(月) 0:00

国立劇場の歌舞伎公演『通し狂言 平家女護島』が10月1日(月)に幕を開ける。平家全盛の世、まつりごとをほしいままにする平清盛と、平家に翻弄され苦悩する人々を描いた近松門左衛門の傑作だ(1719年初演)。

平清盛へのクーデターを起こそうとして島流しとなった僧・俊寛を描く〈鬼界ヶ島〉の場はつとに有名で、通称『俊寛』として単独で上演されることが多い。だが今年は清盛生誕900年ということもあり、清盛自身が登場する〈六波羅清盛館〉〈敷名の浦〉の各場も合わせて23年ぶりに通しで上演される。俊寛と彼を取り巻く人々の立場や関係が立体的になるため、『俊寛』を観たことのある人はもちろん、歌舞伎は初めてという人も楽しめるだろう。

何しろこの演目のドラマチックなことといったら歌舞伎の中でもトップレベル。〈清盛館〉では、鬼界ヶ島に流された俊寛の妻・東屋を、清盛がしつこく口説こうとするなど、清盛の横暴ぶりが描かれる。東屋は清盛を毅然とはねのけるが、色よい返事をしなければ夫の命がないと脅かされ、苦しい決断を迫られる。〈鬼界ヶ島〉では、俊寛とともに流された仲間のひとり、丹波少将成経と島の娘の海女千鳥が結ばれ、ひとときのめでたさに酔う俊寛。そこへ赦免状を携えた上使が都から船でやってきて、皆「これで都へ戻れる」と喜ぶのもつかの間、告げられた事実はあまりにも残酷なものだった。大詰の〈敷名の浦〉では、清盛がついに後白河院をも亡き者にしようとする。だがこの世の物ならぬ存在が清盛を襲い…という まさかのクライマックス。いさましく華やかな大立廻り、さらに鬼界ヶ島の岩場、赦免船に御座船と、舞台装置も大がかりで迫力たっぷりだ。

清盛と俊寛という敵同士&両極端なふた役に挑戦するのは中村芝翫だ。清盛のスケールの大きい悪と、情と義の間で揺れ動く俊寛。このふた役をどのように切り替えるのか。また、愛らしくけなげな海女千鳥をこれまで何度もつとめてきた片岡孝太郎が、今回初めて東屋に。近寄りがたいほどの気高さ、風情をどうにじませるか。いずれも腕の見せどころだ。

国立劇場 大劇場にて10月25日(木) まで。

文:五十川晶子

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