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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

安室奈美恵ベストが25万枚超えで1位獲得 アーティストが”ブレないブランド”を持つ意味とは?

リアルサウンド

14/6/11(水) 17:00

2014年06月02日~2014年06月08日のCDアルバム週間ランキング(2014年06月16日付)

 やっぱりチャートにフレッシュなネタは欲しいもの。もっと新作、話題作カモン!……と前回書いて、来ました! 今週は新作の嵐! なんと10位圏内に6作品が初登場! さぁて、このテンションどこまで引っ張ろうかなぁと思いつつ、そろそろ皆さんツッコミの準備できてますよね。安室奈美恵に松田聖子、aikoや平井堅が並ぶチャートに果たして「2014年の鮮度」はあるのか!?

 昨日、久しぶりにセンター街を歩いたら「Sweet 19 Blues」がガンガン流れていて、一体ここはいつのシブヤだ? と軽いトリップ感を覚えたわけだが、当時の若者から本気で「総理大臣になってほしい」などと言われていたTKのその後の波瀾万丈を考えてみれば、安室の強さ、「いい曲」「いいパフォーマンス」「いいイメージ」を保ち続ける持久力はタダゴトではないと理解できる。テレビに出ることはほとんどなくなり、よりストイックなダンス・パフォーマンスに徹していった「ライブ重視型」のアーティスト。カラオケ向きの曲がどんどん減っていき、決して「バラードの女王」とは呼ばれることもない彼女の、初めてのバラード・ベストが発売直後に25万枚以上を売り上げるのである。

 この時代、25万枚という数字はAKB48かジャニーズ級の売れっ子アイドルにしか叩き出せるものではない。今回のバラード・ベストも、90年代に「アムラー」と呼ばれた女子高生たちが今オカンになって買い直しているわけではないだろう。購買層を世代や生息地や趣味嗜好で推測することは不可能。しいて言うなら、安室の安定感を信じきっている音楽ファン、というくらいか。衰えを知らないルックスと歌唱力、もはや流行で判断されることもなく、単純にいいものだと誰もがわかっている「安室のブランドイメージ」に対価を払うのだと思う。保守的といえば保守的だが、しかし「ハイブランドとしての安室」を脅かす存在は、今のところ見当たらない。

 「2014年らしさ」があるのかどうかよくわからない今週だが、代わりに言えるのは、ほとんどが確固たるブランドを築いたアーティストであることだ。松田聖子はミセス向け、aikoは永遠の乙女でいたい大人ガーリー向け。アラサー女性にオトナのシックを啓蒙するのが平井堅で、ギャルバンの狂騒とは異なるエレガンス&アヴァンギャルドなゴシックを展開するのがBUCK-TICK……。

 こうやって当てはめていくと、ターゲットを明確にして独自のライフスタイルを提唱していく女性ファッション誌を読み比べているようで妙に面白い(男性リスナーを無視しているようで申し訳ない)。というわけで結論。アーティストがブレないブランドを持つことは、これほど強く、また語り甲斐や比べ甲斐のあることである。
 
■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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