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映画『へんしんっ!』ラジオCM風の音声予告公開 斎藤工や森達也ら、著名人からのコメントも

ぴあ

21/5/14(金) 6:00

『へんしんっ!』 (C)2020 Tomoya Ishida

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第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2020」グランプリに輝いた『へんしんっ!』が6月19日(土)に公開される。この度、第2弾となる予告編が解禁、併せて著名人からのコメントも紹介された。

本作は体とからだ、人とひと。ちがうをつなぐ、こころとは。本作は驚きの、歓びのドキュメンタリー。電動車椅子を使って生活する石田智哉監督は「しょうがい者の表現活動の可能性」を探ろうと取材をスタート。演劇や朗読で活躍する全盲の俳優・美月めぐみ、ろう者の通訳の育成にも力を入れているパフォーマーの佐沢静枝といった多様な「ちがい」を橋渡しする人たちを訪ねる。

東京・ポレポレ東中野、ほか全国の一般般劇場では、日本語字幕、音声ガイドありの「オープン上映」を行う。石田監督が探究したものを表現するため、「日本語字幕」をスクリーンに投影し、「音声ガイド」を劇場内のスピーカーから流す。それを観客みんなで観ることによる気づきや発見をシェアしたいとの思いから、このかたちを「バリアフリー上映」ではなく、「オープン上映」と名付けられた。

※ユニバーサルシアター シネマ・チュプキ・タバタでは、音声ガイドは劇場内のスピーカーではなく、イヤホンから流れる。

発表された第2弾予告編は、石田監督自身がナレーションを手掛けた「ラジオCM風の音声予告編」(※音声のみ)という挑戦的な内容。ぜひ耳を澄ませて、想像しながら楽しんでほしい。

寄せられた著名人からのコメントは以下の通り。

斎藤工(俳優 / 映画監督)
映画人として私の遥に先を行く石田監督は映画と言う媒介を通して、我々が対極にあるであろうと思い込んでいる事を見事に中和させ、進化させ、気が付くと観るモノの心の形をさりげなく変身させてくれている。

齋藤陽道(写真家)
ささいなことかもしれないけれど、今一度、思い出してほしいことがある。それは、しょうがいのある「主役・石田智哉」は、「監督・石田智哉」でもあるということ。えてして重度のしょうがいをもつ人は、どれほど映画の内容が良かろうとも、受け身の「被写体」でしかないことが多かった。しかし、本作では「当事者」が「監督」であり、かつ「主役」でもある。つまり撮影・編集された映像のすべてが「当事者」としての意識の元に組まれたということであり、そうした造りにおいてすでに本作は唯一無二なのだ。自分とは異なるからだの他者と話をして、直接触れて向きあうことで、いやおうなく変わってしまうことへの戸惑いと喜びが、そっけなく、淡々と、過激に、つむがれている。なんて愛おしい。

坂上香(ドキュメンタリー映画監督)
監督は、イマドキの優しい大学生。身体しょうがいという“個性”を持っている。ただ、それだけのこと。でも、それが、大きな障壁になる社会。と思いきや、石田監督は周囲に頼りまくって映画を作った。私は、エンディングのダンスを見て、涙がこぼれた。個性が触れ合うことで、その先に行けそうな気がしてーー。

寺尾紗穂(文筆家 / 音楽家)
現代人が失った言葉の無い原初的な触れ合い。ラストのダンスはそんな接触のいくつもの連なりだった。相手の領域への侵犯のようにみえながら、それは控えめな愛に満ちていた。

中川美枝子(「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」スタッフ)
「私」の物語を見つけて表現することは、決して簡単なことではありません。自分事なのだから、他人に託すわけにもいかないし、かといって一人だけで描き出せるものでもないのです。「受け身」でもなく、「暴君」でもなく、自分に素直になってみる。それは、弱さと迷いを仲間に共有しながら、「面白い!」を追求し続けることなのかもしれません。

廣川麻子(NPO 法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク理事長、東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野)
人を見る時、わたしたちはカテゴライズしてしまう。ろう者、全盲、車椅子ユーザー、男性、女性、学生、教授、ダンサー、通訳…。本作は字幕や音声ガイド(が流れていることを表現する字幕マーク)を体験することでカテゴリを超え、人と人が出会い、語り、触れる。他者を「知る」旅路は無限であり、豊かな世界がそこにあった。

ブレイディみかこ(ライター)
踊ることが表現で、ケアが他者と踊ることなら、ケアとは表現だ。眉間に皺を寄せて考えていたら、「ハッピーな顔して何を見てるんだ」と家人に言われた。はっ。こっちもへんしんしていたらしい。

松森果林(聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐユニバーサルデザインアドバイザー)
舞台が終わった後の石田監督に注目してほしい。瞳、視線、指、胸、身体、空間すべてがひらかれている。他者との対話による信頼関係に、無防備な身体を預けることによって自分のからだを発見していくプロセスは受け身の身体から表現する身体へと変身する。自己と深く関わっていくことは自由になることだ。「へんしん」とは変身し続けることなのだろう。

森達也(映画監督・作家)
観終えてまず思う。自分はちょっとすごいものを観た。いや観たじゃない。何だろう。感じた。いやこれも微妙に違和感がある。観た。聴いた。感じた。気づいた。体感した。 …思いつく述語のすべてがぴったりと適合しない。ふわふわ。だけどずっしり。他に言葉が見つからない。でもこれだけは言える。かつてない映画体験だ。

『へんしんっ!』
6月19日(土)よりポレポレ東中野、シネマ・チュプキ・タバタにて公開
他全国順次

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