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堀未央奈×山戸結希が語る、『ホットギミック』にかける思い 堀「自分の中で何かが変わった」

リアルサウンド

19/6/28(金) 12:00

 『溺れるナイフ』『21世紀の女の子』の山戸結希監督最新作『ホットギミック ガールミーツボーイ』が6月28日に公開された。累計発行部数450万部を超える相原実貴の『ホットギミック』を実写映画化した本作は、変わりゆく東京の街を舞台に、1人の純粋な少女と彼女に恋をする魅力的な3人の男性との関係性を描いた青春恋愛映画だ。

参考:乃木坂46 堀未央奈、内緒で側転の練習? 主演作『ホットギミック』は「共感しながら観て欲しい」

 今回リアルサウンド映画部では、主人公の成田初役で映画初出演にして初主演を務めた乃木坂46の堀未央奈と、メガホンを取った山戸監督にインタビューを行い、お互いの印象から本作にかける思いまで、話を聞いた。

ーー堀さんにとっては今回の『ホットギミック ガールミーツボーイ』が映画初出演にして初主演作となります。

堀未央奈(以下、堀):初めての映画出演で、しかも主演というのは、自分の経験値や技術的な面で、不安な気持ちがありました。ただ、過去に乃木坂46の「ハルジオンが咲く頃」のMVでお世話になっていて、私自身もこれまでの作品にすごく惹かれていた山戸監督とご一緒できるということで、すごく嬉しくて楽しみでした。実は、漠然と「いつか山戸監督の作品に出てみたい」という思いもあったんです。

ーーそうなんですね。では今回その願いが叶ったということですね。

堀:しかも主演だなんて、自分には贅沢すぎると思いつつ、でもやるからには期待を超えていきたいと強く思いました。私にとって、山戸監督の『溺れるナイフ』が衝撃だったんです。「悲しい」とか「嬉しい」といった感情で泣いてしまうのは、ある意味分かりやすいというか、理由のある涙だと思うんですけど、『溺れるナイフ』を観た時は、なんとも言えない、言われたくなかったことを誰かに的確に指摘された時に出てくるような涙が溢れてきたんです。私がこれまで出会ってきた映画の中にそういった作品がほとんどなかったので、すごく衝撃でしたし、どんどん進んでいく話に自分も追いつきたい、もっと時間を一緒に過ごしていきたいという気持ちになりました。

山戸結希(以下、山戸):素敵なご感想をありがとうございます。「ハルジオンが咲く頃」のMVでご一緒した時に、堀さんは人としてすごく真摯な方だなということをほとばしるように感じて、その存在が自分の胸の中に強く残っていたんです。今回、東映さんと『ホットギミック』を作るとなった時に、記憶の矢が刺さっていた堀さんのことがすぐに頭に浮かび、「これは堀さんなんじゃないか」と直感的に感じて、私のほうから堀さんを主演に提案させていただきました。

ーー『ホットギミック』という作品だったからこその堀さんだったわけですね。

山戸:そうですね。成田初という女の子のことを考えている時に、自然と「堀さんとお話ししてみたいな」と思ったんです。

堀:一番最初に、山戸監督と2人だけで話す機会がありましたよね。

山戸:はい。その時に、この作品でどういうことを目指しているのか、どういう人に届けたいのかという私の考え、そして初を演じることが堀さんの未来にとって良いことなのであれば是非ご一緒したいという、文面だけでは伝わらない思いを、直接お話しさせていただきました。そこで、何か最初の一歩を踏み出すような温度感でお話できた手応えを感じました。

堀:映画を作っていくということもそうですけど、女性としての感情だったり、今思っていること、これからどうしていきたいかなどを、2人だけの空間でお話できて、私自身も「頑張らなくちゃ」と一気に意識が高まりました。

ーー今回堀さんが演じた成田初は、初めての恋愛をきっかけに悩み、苦しみながらも、自分自身を見つけていく高校2年生の女の子という設定です。

堀:山戸監督にMVを撮っていただいた「ハルジオンが咲く頃」の時の自分と初ちゃんは、感情だったり立ち位置だったりがすごく似た者同士だなと、今の22歳の自分から見てそう感じました。なので、その時の自分の感情を思い出しながら初ちゃんを演じていました。ある意味やりやすかったですし、演じることによって新たに発見することもありました。今の私は、わりと物事をハッキリと言うようになったので、当時のような優柔不断な部分は少なくなりましたが(笑)。

ーー(笑)。

堀:自分の思いを言えなかった時期とか、言わない方がいいのかなと決めた時期とか、10代はいろいろありましたから。でも、それはきっと特別な経験ではなくて、女の子なら誰しもにあると思うし、感じることもたくさんあると思うので、観客の皆さんにそこをどのように感じてもらえるかが楽しみです。

ーー山戸監督は撮影を通して、堀さんにどのような印象を抱きましたか?

山戸:メデイアを通じて見る華やかな姿ももちろん素敵だなと思っていましたし、カメラを通してだと映り得ないような、もっと繊細なものを堀さんに感じていました。言葉は少しおかしくなってしまいますが、それは“繊細な力強さ”と言えるかもしれません。最初にお会いした時に感じた、その“繊細な力強さ”を、カメラを通じてスクリーンに映すことが大切だろうと思っていたんです。実際、そのベクトルが強化されて、想像以上に素晴らしい形で、堀さんが作品に映り込んでいるという確信があります。

堀:ありがとうございます。私自身、大きなスクリーンで完成した作品を観て、そのまま全身に入ってくるような感覚がありました。演じているのは間違いなく自分なんですが、まったく自分ではないような……。本当に初ちゃんとして映画の中に生きられた気がしました。それは山戸監督とスタッフとキャストの皆さんのおかげなので、すごく嬉しかったです。

ーー確かにこれまでに見たことのないような堀さんの一面が見れた気がしました。

堀:私自身もその実感はあるんです。普段はメイクもバッチリして、キラキラの衣装を着てアイドル活動をしていますけど、今回はすっぴんに近い状態で、衣装も派手ではないものを着ているので、見た目的に大きく違うと思います。それに加えて、中身的にも、今まではあまり表に出さないようにしていた負の感情や、見せたくない自分、伝えたいけど伝えたくない言葉など、自分の中で隠していたいろんなことが『ホットギミック ガールミーツボーイ』では爆発しています。自分が爆発させないと、観ていただく人に何も届かずに終わってしまうし、寄り添って演じてくださったキャストさんや支えてくださったスタッフさんに対してもそんなんじゃ自分はダメだという覚悟が常にあったので、全部さらけ出しました。まったく違う自分というよりかは、本当の自分を、初ちゃんや山戸監督に引っ張り出してもらったんだと思います。

ーー山戸監督にとっては、この『ホットギミック ガールミーツボーイ』はどのような作品になりましたか?

山戸:ティーンムービーを撮らせていただく限り、必ず表現しなければいけないことがあると考えていますので、基本的な部分は変わりません。ただ、キャストさんやスタッフさんとその精度を高めてゆけたらという思いのもと、作品ごとに様々な試みをしてきた中で、20代の終わりにこうやって『ホットギミック ガールミーツボーイ』を紡ぎ出せたという実感がありますね。自分の内面では、一貫しつつも、よりよくなるように努力している気持ちではおり、おひとりおひとり、皆さんが重要な役割を駆け抜けてくれました。

堀:他のキャストさんもみんな口を揃えて言っていたのが、山戸監督にはものすごく優しさがあって、常に手を差し伸べてくれるということでした。なので、心強くて信頼もできるんです。そのおかげで、お芝居もできたし、自分の中で何かが変わっていくのをひしひしと感じることができました。私はそれがすごく嬉しかったんです。私にとっては何もかもが初めての体験だったので、そういう感情になるのも初めてだったんですけど、今後またお芝居をさせていただく機会があったら、その時にまた「山戸監督はこういう形で撮ってくださっていたんだな」と気付けると思うので、それがまた大きな楽しみでもあります。(取材・文=宮川翔)

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