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LDH『LIVE×ONLINE』、配信だからこそ味わえたライブ感 “目撃”の総量が増える楽しみについて考える

リアルサウンド

20/7/21(火) 12:00

 7月2日から7日間、LDH所属の全7グループによって日替わりで行われた配信ライブ『LIVE×ONLINE』。本来であれば「LDH PERFECT YEAR 2020」として、多種多様かつ大規模なイベントが多数開催されるはずだった今年。LDHは年内に予定されていた全168公演の中止を発表した。そして、LDHによる新しいエンタテインメントの試みの一つとして行われたのが、この『LIVE×ONLINE』であった。

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 結論から言うと、それはとても希望に満ちた幕開けであった。筆者はFANTASTICS、EXILE THE SECOND、GENERATIONS、THE RAMPAGEの4組のライブを鑑賞したが、それぞれがグループの持ち味を生かした素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。

 この『LIVE×ONLINE』を鑑賞する際の筆者は、傍から見ると非常に見苦しい状態にあることが多かった。大声で叫んだり、机や椅子や自らの膝などを叩いたりといった激しい感情表現は序の口。振付やボーカリングの細かい部分について実況を入れながら、「上手い」「最高だ」等の形容詞を繰り返したりもする。静かになるのは泣いている時のみ。それほどまでにそれぞれのライブに没頭してしまったのだ。

 この鑑賞方法が身についた経緯には、自分の趣味が大きく関係している。何を隠そう(?)筆者は、フィギュアスケートの大ファンでもあるのだ。ショーや試合に直接足を運んだこともあるが、基本的にテレビでフル観戦し、大いに騒ぐのが自分の楽しみ方である。

 もちろん肉眼で目の当たりにする選手達の一世一代の演技には凄まじいものがある。テレビで観るそれとは感動も迫力も正直比較にならない。ただ、テレビ観戦には別の大きな楽しみがある。それは、“目撃”できるものの総量が増える(ように感じられる)ことだ。

 試合には、当日に観ていた者にしか分からない「空気」というものがある。選手の僅かなコンディションの差や演技順など、様々な要素により試合結果が大きく左右されるため、時にとんでもない番狂わせが起きたりすることもある。だからこそファンとしては、それらの要素も含めてなるべく逃さず見届けておきたい。その観点からすると、肉眼では追いきれない微細な動きまでしっかりと捉えられるテレビ観戦は有利なのだ。生中継では、一分一秒先の未来すら分からない。だから私は毎度必死にテレビ画面と向き合う。祈りの形をした手に痛いほどの力を込め、「がんばれ」「上手い」「大丈夫、いけるよ」と、届くはずのない声をあげながら。

 何が言いたいのかというと『LIVE×ONLINE』はそんな私を、しっかりと“目撃者”にしてくれたのだ。

 『LIVE×ONLINE』では、ドローンの流れるようなカメラワークや画面分割を利用してメンバー全員の動きを捉えられる時間を多く作り、“目撃”の総量を積極的に増やしてくれた。それだけでなく、メンバー達がカメラに帯同しながらパフォーマンスしたり、複数のステージを交互に使用しテンポよく畳みかけるような展開を作ったりと、音楽番組で多用されるような演出も巧みに取り入れ、バリエーション豊富に楽しませてくれた。また配信ライブはその特性上、映像を組み込んだ演出に多大な効果と可能性を期待できる、という点も特筆しておきたい。『LIVE×ONLINE』でもそれは活かされており、これまでのライブでも醍醐味の一つであったパフォーマーのソロダンスや映像とのコラボレーションについては、これまで以上のドラマ性と臨場感が感じられた。

 さらに、生のライブでは席の都合で観る方向を迷ったり、様々な影響によって集中が削がれたりすることも少なくないが、配信ライブにはそれがない。ただ画面を見つめ続ければ、そこが最上の特等席となる。無論、今後も「生で観たい」というファンの願いは変わらないだろう。しかし同時に「配信ライブでしか味わえないライブ感」というのもまた、存在するのではないだろうか。少なくとも『LIVE×ONLINE』には、それだけの可能性が大いに感じられた。

 7日間のトリを飾ったTHE RAMPAGEのアンコールの際、ボーカル・吉野北人は涙で声を詰まらせてしまった。それを悟りながらパフォーマンスを続けるメンバー達の表情は、とても優しかった。『LIVE×ONLINE』がなければ有り得なかったあの尊い瞬間を、私達は確かに“目撃”することができた。

 LDHと『LIVE×ONLINE』はこれから先もさらに進化したライブエンタテインメントを届けてくれるだろう。“ライブ”に熱狂できる日々は、まだまだ続くのだ。(日高 愛)

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