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おばけ

20/7/6(月)

なぜか大阪弁をだらだらと話す宇宙の星々が、ひとりの地球人のささやかな映画作りを見つめている。そしてその映画の中では、地球人が丹精込めて工作したらしい小さな品々がチラチラと瞬いている……。もはやスケールが大きいんだか小さいんだか分からない。 いや、スケールが測定できないこと自体、とてつもなく巨大な何かに接触したのかも知れない。そう、触れたことのないものに触れ得た喜び、それが『おばけ』という映画だ。分かることは、これが孤立無援の人間の物語であり、それを作った人間もまた誇らしく孤立を生きているだろう、ということだ。 『おばけ』は2019年のぴあフィルムフェスティバル(PFF)でグランプリを受賞した。審査員の満場一致だったという。PFFは未来の日本映画を背負う作り手を発掘してきたが、それが商業劇場にかかる大きな映画を指すとすれば、この受賞は事件だと言ってもいい。映画界が歓迎するかどうかと関係なく、孤立からしか生まれないクリエーションが支持されたからだ。 アニメーション映画『音楽』もそうだったが、映画の作り方からして独創的な作品が、続々と世に出てゆくのは喜ばしい。私たちは、監督・中尾広道がこつこつ次の作品を作ってくれるなら、3年ぐらいは平気で待つだろう。

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