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【おとな向け映画ガイド】

今週は、ぶっとび人生!『ビーチ・バム』、恋のリブート?『ラブ・セカンド・サイト』をおすすめ。

ぴあ編集部 坂口英明
21/4/25(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(4/29〜5/1)に公開される映画は12本。コロナ禍の緊急事態宣言を受けて、予定していた『アーヤと魔女』が延期になり、映画館も休館が相次いでいます。ご鑑賞の際は、作品や映画館の公式ホームページで上映時間などをご確認いただいたうえで、お楽しみください。今回は次週公開の予定の作品も含め、ぴあ水先案内人がオススメする2本を紹介します。

狂乱こそが人生さ
『ビーチ・バム まじめに不真面目』



最高にぶっとんだ映画です。こんなにおおらかで、ポジティブで、人生謳歌な映画はちょいとないんじゃないでしょうか。

主人公は、フロリダ・キーウエスト島で酔いどれ生活をおくる詩人ムーンドッグ。夜はバーをはしごし、やりまくり、昼間はハウスボートでのんびり、四六時中ラリっていて、時々、タイプライターを抱えて、なにやら打っている。そんな日々です。どうやら、別の場所に住んでいる妻が大富豪で、その財力で遊び呆けているようです。髭面、レスラーのようなロングヘアー、サングラスをひょいとあげ、老眼鏡をかける姿は、ちょいワルどころか、かなりのアウトロー・オヤジ。

演じているのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー賞主演男優賞を獲得したマシュー・マコノヒー。まさにはまり役です。ムーンドッグとつるむ仲間たちが錚々たるメンバーなのにも驚きます。ラッパー界のレジェンド、スヌープ・ドッグや、歌手で作家のジミー・バフェット、『テッド・バンディ』主役のザック・エフロン…。監督はかつて『ガンモ』『KIDS/キッズ』で「アンファン・テリブル(恐るべき子ども)」と称されたハーモニー・コリン。

チーチ&チョンの『Up In Smoke(スモーキング作戦)』なんかが好き、キーウエストという言葉にときめく、不良性感度が高い、人生は楽しくなきゃ、と考えるおとなの皆さんの映画です。

首都圏は、4/30(金)からキノシネマ横浜みなとみらい他で公開。中部は、5/7(金)からセンチュリーシネマで公開。関西は、5/7(金)からシネ・リーブル梅田他で公開。

【ぴあ水先案内から】

立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)
「……R-15指定のどんちゃん騒ぎは、「まじめに不真面目」という日本で用意されたサブタイトルもぴったりで、ガンガンなり続ける曲のチョイスも申し分ない。……」
https://bit.ly/3xdk1YF

岡田秀則さん(国立映画 アーカイブ主任研究員)
「……ブノワ・デビエという撮影監督を引っぱってきたことで、ハーモニー・コリンの映画は「蛍光する映画」になった。時に毒々しい人工色で覆われるその世界は、この世の風景ではないようにも見え、それでいて人物たちの虚無もくっきり映し出している。……」
https://bit.ly/3xdam4p

細谷美香さん(映画ライター)
「……彼に寄り添う白猫ちゃんが危険な目にあわないかちょっと心配になりますが、いつも超然としていてめちゃくちゃかわいいです。」
https://bit.ly/3n9QASC

恩田泰子さん(讀賣新聞記者)
「……途中までは全然納得いかないが、だんだん愉快になってくるのは、私たちを縛る「常識」をラストの大花火に至るまで、徹頭徹尾ひっくり返してくれるから。たった一つ、「愛」だけは揺るがないけれど……」
https://bit.ly/3gxc3DT

妻ともう一度
『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』



妻と喧嘩して、一夜明けたら別の人生になっていたー。昨日までは、人気SF作家だったはず。ところが、何かがちがう。妻はいないし、自分はどうやら普通の中学校教師のようだ。状況が飲み込めないまま、街にでると、バスの広告に妻の華々しい写真が。どうなっているのだ!

最初の15分で、カップルのなれそめから危機までを実にコンパクトに描きます。高校時代にピアニスト志望だった妻と出会い、恋におち、やがて結婚。妻はしがないピアノの教師、勉強そっちのけでSFを書いていた自分は売れっ子小説家になった。ふたりの関係には亀裂が入りはじめ…。そして、パリが吹雪に見舞われた夜、アクシデントがおきます。迷い込んだ別の世界では、妻は自分を知らない、しかもスターになっている、この試練のなかで、彼は愛をとりもどせる?

フランスで大ヒットとなった『あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン監督によるオリジナル・ストーリー。映画サイトでは、2010年代公開のロマコメ映画ランキングで1位に選ばれた作品です。

主人公ラファエル役はカンヌ国際映画祭でショパール・トロフィーを受賞し、フランスでいま注目されるひとり、フランソワ・シビル。妻オリヴィアを演じるジョセフィーヌ・ジャピがチャーミングです。ノートルダム大聖堂やエッフェル塔、オデオン座、と舞台となるパリの美しさも絶品。役者、シチュエーション、使われるクラシックの名曲、ロマンティック・コメディはこうでなくちゃ、夢見ごこちになれる映画です。

【ぴあ水先案内から】

春日太一さん(映画史・時代劇研究家)
「……何より、新たな世界で再び二人が出会い、関係を築いていく姿にはハラハラさせられるのと同時に、その多幸感には尊さすら感じた。……」
https://bit.ly/2RJUoyn

波多野健さん(TVプロデューサー)
「……主人公ラファエルの親友フェリックス役のバンジャマン・ラヴェルネがすごくうまくて笑わせてくれた。この人のおかげでこの映画の楽しさが2段階くらいアップした感じ……」
https://bit.ly/3x8RCmy

中川右介さん(作家、編集者)
「……タイトルバックの数分で主人公夫婦の10年間を描いてしまう。これだけで一本の映画になりそうな密度で、見事だ。惹き込まれた……
https://bit.ly/3tGk0KL

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……フランソワ・シビルとジョセフィーヌ・ジャピはずっと見ていたいと思えるほど魅力的で、彼らの表情に一喜一憂しながら自分の人生と照らし合わせてしまう摩訶不思議な説得力は、ふたりが共演をきっかけに交際をスタートさせた互いへの吸引力のせいかもしれない……」
https://bit.ly/3tLgRcG

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