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EXOは日本のポップミュージックと世界を接続する風穴に? 最新作収録曲のサウンドを分析

リアルサウンド

18/11/17(土) 10:00

参考:2018年11月19日付週間アルバムランキング(2018年11月05日~2018年11月11日・ORICON NEWS)

 2018年11月19日付のオリコン週間アルバムランキングはバラエティに富んだラインナップ。TWICEやEXOといったK-POP勢の新作から、人気スマホゲーム『A3!』のキャラクターソング集、My Hair is BadやHEY-SMITHといった人気ロックバンドもいれば、『カゲロウプロジェクト』で知られるじんの久々のアルバム、はたまたThe BeatlesやQueenといった王道のクラシックロックまで。音楽性もコンテンツの文脈も入り乱れた、日本のエンタメ環境の縮図といった趣だ。

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 The Beatlesの『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』はリリース50周年を記念したスーパー・デラックス・エディションで、全6枚組の大ボリューム。2018年現在のサウンドにブラッシュアップされた新たなステレオミックスや蔵出しのデモ音源、未発表テイクも数多く含めた話題盤とはいえ、2万セット以上売り上げるのはビートルズ人気の巨大さの証拠だ。

 一方で注目はEXOの5thアルバム『Don’t Mess Up My Tempo:EXO Vol.5』だ。同作は11月17日付のアメリカのビルボードアルバムチャート(参考:Billboard 200)でも初登場23位を記録し、BTSを台風の目とするK-POP人気を追い風に躍進を続けている。とはいえ、ヒップホップ的なアティチュードとEDM以降のグローバル基準にのっとったサウンドで魅せるBTSとは違って、EXOはどちらかというとメロディアスかつメロウなR&Bを基調とした音作りに寄っているように思う(むしろこちらのほうがK-POPのボーイバンドにおいてはマジョリティかもしれない)。

 リード曲の「Tempo」は落ち着いたテンポの4つ打ちで展開するダンスミュージック。ジャージークラブというジャンルで頻繁に用いられるベッドのきしむ音(「ベッド・スクィーク」と呼ばれる)を大々的にフィーチャーしているが、「どんっどんっどっどっど」というクラーベを変形したようなキックドラムのパターンや、BPMで140前後のアップテンポといったジャージークラブの特徴は控えられているのが印象的。後半でテンポが半分になってからの流麗なコーラスワークも聞き所のひとつだ。

 アルバム全体を見渡しても、ボーカルのハーモニーが映える音数を絞ったシンプルなビートを中心としたプロダクションが中心となっている。仕上げにあたってもあまり高域を強調したりステレオ感を広げきるようなグローバルなポップス然としたものではなく、少し湿りけを残すような“大人”なフィーリングもある。オールドスクールなUKガラージ風のビートが心地よい「With You」や、4つ打ちの3拍目にアクセントが入るステッパーズのリズムの使い方が洒脱な「Bad Dream」はポップソングとしてもダンスミュージックとしてもバランスのとれた聴き心地だ。しっとりとしたバラードの「Smile On My Face」では彼らのメロウな魅力が全面に感じられる。

 シンプルで中毒性の高いフックを中心とするグローバルなポップスのメインストリームに、K-POP的な美学(凝った構成、湿ったメロウさ)を貫きつつ食い込んでいくのは頼もしい。と同時に、こうしたサウンドを奏でるK-POPのボーイバンドが日本で人気を博していることもまた喜ばしい。メンバーの魅力はもちろん、楽曲についても、メロディ重視の傾向があるJ-POPと親和性が高いことも要因かもしれない。BTSにせよEXOにせよ、あるいは他のK-POPアイドルたちにせよ、日本のポップミュージックと世界を接続する風穴のひとつとして、日本での活動のさらなる充実を期待したい。(imdkm)

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