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17世紀のインドが舞台の現代戯曲『タージマハルの衛兵』を小川絵梨子が日本初演

ぴあ

19/12/6(金) 10:00

『タージマハルの衛兵』の出演者。左から成河、亀田佳明

12月2日・3日のプレビュー公演を経て、12月7日(土)より東京・新国立劇場 小劇場で上演される『タージマハルの衛兵』。3本連続上演シリーズ「ことぜん」の第3弾となる今作は、成河と亀田佳明の二人芝居だ。同劇場の演劇芸術監督であり今作の演出を務める小川絵梨子に話を聞いた。

アメリカの劇作家ラジヴ・ジョセフによる今作は、1600年代、タージマハル建設中のムガル帝国が舞台。その建設現場で夜通し警備をする、幼なじみのふたりの衛兵を描く。

「話としてはとても寓話的。だからこそキャッチーな物語のうえに、大きなテーマを描くことができるんですよね。舞台は17世紀ですが、登場人物の言葉遣いは現代の言語で書かれている。だから日本語に訳しても、“ルールにのっとって生きていくかいかないか”というような、現代人の葛藤に近いものが見えるんです」

この戯曲を翻訳したのは20代のイギリス演劇研究家であり、シェイクスピア翻訳者・小田島雄志の孫でもある小田島創志。

「小田島さんには新国立劇場でいくつか下訳(完成前の草案としての翻訳)をやっていただいているんです。私が翻訳を務めた『かもめ』でもお願いをしていて、それがすごく読みやすかった。若い方にやっていただけるのは劇場としてもありがたいので、今回お願いしました」

その翻訳を元に、成河、亀田佳明と共に読み合わせや稽古を通じてテキストを練っていった。オファーの段階ではどちらがどの役か、決まっていない状態だったという。

「実は稽古前の読み合わせの何回目かで“こちらかな”と決まっていたんです。それをおふたりに伝えようとしたら“まだ言わなくていい”と言われて(笑)。役者さんって面白いなあと思いました」

舞台上に立っているのは終始たったふたり。しかも警備のシーンではふたりともほぼ動くことなく、お互いの顔も見ずに演技をしなければならない。

「私も稽古を始めて気づいたんですが、役者さんって動くことによってセリフが体に入る面もあるんですよね。それが動けないのは不安になるし怖いことだとおっしゃっていました。でもおふたりとも本当にすばらしい役者さんで、頼らせていただいています。演出をしているときには“今これを言うべきかな”とか“どういう言い方をすれば伝わるだろう”と悩むときもあるのですが、おふたりは遠慮なしに伝えても受け止めてくださるのが本当にありがたい」

ふたりが動かない警備のシーンと、思いがけない展開が起こるシーンとが入り混じる。その変化を表現するため、テクニカルな演出が取り入れられる予定だという。

「私は普段、水を使ったり舞台が動いたりといった機構を使うことがあまり多くないんです。ただ今回は外のシーンと内側のシーンを行ったり来たりする部分について、美術の二村周作さんが素敵なアイデアをくださった。その他照明、音響のみなさんも含めてスタッフの力を借りて、舞台の機構も含めて観る方が飽きない作品になると思います」

「ことぜん」シリーズの掉尾を飾る今作。「個人」と「全体」について考えるという大きなテーマを持ちつつも、作品自体は演劇の面白さに満ちている。

「『ことぜん』というと難しそうと思うかもしれませんが、作品自体はまったく難しいものではないので。気楽に観ていただければ、ストーリーが立ち上がってくるはずです。一緒に旅を楽しんでくださればと思います」

12月23日(月)まで。

取材・文:釣木文恵

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