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青柳翔、町田啓太、鈴木伸之らが演技力をぶつけ合う 映画『jam』は劇団EXILEの“新たな原点”に?

リアルサウンド

18/11/4(日) 12:00

 「劇団EXILEが全員で集まる機会が減っているなか、久しぶりにみんなと一緒に仕事ができた作品」。そう青柳翔が語るように12月1日に公開される映画『jam』は、青柳翔、町田啓太、鈴木伸之、秋山真太郎、八木将康、小澤雄太、小野塚勇人、佐藤寛太、野替愁平の劇団EXILE9名が総出演するメモリアルな作品だ。

参考:町田啓太が語る『西郷どん』小松帯刀役への挑戦 「二度とできない経験をさせてもらいました」

 さらに「自分自身、俳優としても歌手としても成長できたかなと思える作品になっていると思います」と青柳は続ける。この作品は、登場人物の人生が交差するだけではない、彼ら自身が培ってきた実力をぶつけ合う、ジャムセッションのような作品でもある。

 本作は、『天の茶助』や『Mr.Long/ミスター・ロン』など、国内外で注目を集めるSABU監督による完全オリジナル新作。場末のアイドル演歌歌手、恋人を救おうと必死な男、そして刑務所から出所した復讐鬼という3人の男の人生を通じて、因果応報を描き出す。

 場末のアイドル歌手・ヒロシを演じるのは、自らも歌手として活躍する青柳だ。持ち前の歌唱力を存分に発揮し、予告編でも伸びやかな歌声を披露する。だが、その眼差しはどこか空虚。力強い歌声や意気揚々と語るセリフとは裏腹に、目の光が感じられない。多くのファンに愛されながらも、どこか人間味のない表情は青柳が見せる新たな顔だ。

 『HiGH&LOW』シリーズでは強気でミステリアスな雰囲気を醸しながらも、時折チャーミングな一面を垣間見せるキャラクター・九十九(つくも)を演じて人気を博した青柳。映画『Mr.Long/ミスター・ロン』では、スター、チャン・チェン、イレブン・ヤオと共に熱演を繰り広げた。

 『ドラマW 食い逃げキラー』(WOWOW)、『東京センチメンタルSP~御茶ノ水の恋~』(テレビ東京系)、『グッド・バイ』(テレビ大阪・BSジャパン)、『主婦カツ!』(NHK BSプレミアム)、『あなたには渡さない』(テレビ朝日系)、『プラスティック・スマイル』(NHK BSプレミアム)など、今年だけでもこれだけのドラマに出演。バイオレンスアクションから、ノスタルジックなヒューマンドラマ、そしてファンタジーまで、作品ごとに新境地を開拓している印象だ。

 一方、重傷を負った恋人のためにひたすら“いいこと”をしようと奔走する男・タケルを演じる町田も、2018年は『ドラマ10 女子的生活』(NHK総合)、大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)、『ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京系)、『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)、『中学聖日記』(TBS系)と話題作への出演が続いている。ちょっぴりずうずうしくて、どこか憎めない『女子的生活』の後藤というキャラクターを、「普段の僕に近いような、ダラダラした感じの役」と語る町田。彼自身の人の良さがにじみ出るような役柄が、実によく似合う。

 『西郷どん』の小松帯刀役を演じる際には、撮影前に小松帯刀の出身地・鹿児島を訪れ、墓前に手を合わせる律儀な一面も。資料を読み込み、現地の人とのコミュニケーションも積極的に取るなど、気さくさと誠実さを感じさせるエピソードも披露。

 端正な顔立ちと真っ直ぐな性格を併せ持つ好青年な町田にとって、本作で演じるタケルはまさにハマり役。良かれと思った行動によって、次々に周りを巻き込んでいく。人間味あふれる町田だからこそ、嫌味なくそれぞれの人生を手繰り寄せるキーマンとなることができるのだろう。

 そして、刑務所帰りの復讐を誓う男・テツオを演じるのは、鈴木伸之だ。鈴木は、先日バラエティ番組『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演し、「Wikipediaの人物のところ、食欲旺盛の4文字だけなんです」と飾らない発言で、大きな話題を呼んだばかり。明石家さんまが思わず「サインに書け、それおもしろい。座右の銘に食欲旺盛」といじりたくなる、劇団EXILEきっての愛されキャラだ。

 本作ではその愛らしさを封印し、復讐に燃える寡黙な男に挑む。185cmと恵まれた肉体を活かした、ダイナミックなアクションが大きな見どころだ。2016年から『HiGH&LOW』シリーズで繰り返し乱闘シーンに挑んできた経験の賜物だろう。

 2017年に『あなたのことはそれほど』(TBS系)で子煩悩なパパでありながら、ズルズルとW不倫の道にハマってしまうモテ男の有島を演じて注目を集めると、映画『東京喰種トーキョーグール』では真逆のキャラクター・亜門で、その演技力の幅広さを見せつけた鈴木。高所恐怖症でありながら、30メートルもの高さまで吊り上げられるワイヤーアクションもこなし、甘いマスクと肉体派という大きな武器を併せ持つ俳優の階段を着実に上っている注目株だ。

 そんな青柳、町田、鈴木を中心に描かれる物語を盛り上げるのは、悪党役の秋山真太郎、八木将康、小野塚勇人、小澤雄太、そしてラーメン店主役の佐藤寛太、そしてヒロシの付き人役の野替愁平だ。脇を固める演者が、作品の世界観を支える要。物語に溶け込む彼らの演技は、劇団EXILEが実力派俳優集団である証だろう。

 劇団EXILEが発足して11年。歩みは各自異なるが、演技一つひとつに9人の歩みが滲んでいる。以前、秋山がLDHファミリーの俳優たちと対談を繰り広げる番組『Actor’s Dialog』(LDH TV)で、青柳がゲストに登場した際、こんなやりとりがあった。「役者っていう仕事って、たまに何なんだろうって思う時ない?」という秋山の問いかけに、青柳は「そうっすよね。なんかだんだん技術とか凝り固まって……でも本当に大切なのって、ピュアさじゃないですか」。それぞれの道でキャリアを積み重ねてきたからこそ、全員が集結するこの作品で、改めて演じる面白さを再確認できたのではないだろうか。

 劇団EXILEが所属するLDHといえば、EXILEを筆頭に、グループでのアーティスト活動がメインだが、時によって個の活動に集中し、再度グループとして集結した時に、よりパワーアップした姿を何度も見せてきた。アーティストと俳優というジャンルは違えど、同じ遺伝子を受け継いでいる劇団EXILEにとって、『jam』は新たな原点となる作品かもしれない。(文=佐藤結衣)

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