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いま、最高の一本に出会える

稲垣吾郎×鈴木聡が語る、佐山雅弘の音楽とジャズが舞台にもたらすライブ感

リアルサウンド

19/8/17(土) 8:00

 稲垣吾郎主演の舞台『君の輝く夜に~FREE TIME, SHOW TIME~』が8月30日から9月23日、日本青年館ホールにて上演される。

 過去3回、稲垣をはじめとした実力派俳優たちの演技とジャズミュージシャンの生演奏で作り上げた大人のための贅沢でお洒落な舞台『恋と音楽』シリーズ。これを手がけた喜劇作家でオリジナルミュージカルも手がける鈴木聡と、ジャズピアニストで作曲家の佐山雅弘が再びタッグを組んだ稲垣主演の舞台『FREE TIME,SHOW TIME~君の輝く夜に』が昨年京都で上演され、好評を博した。しかし、上演後、佐山は急逝。今作の上演には、素晴らしい楽曲を数々作り、『恋と音楽』シリーズの音楽面を支えてきた佐山への哀悼の意が込められているという。

 リアルサウンドでは今回、主演の稲垣吾郎と鈴木聡にインタビューを行う機会を得た。そもそも鈴木聡はジャズ好きとして知られている。それは彼が主宰する劇団ラッパ屋の初期の公演名『ジャズと拳銃』『スターダスト』『小百合さんのビル・エバンス』『星空のチャーリー・パーカー』『シャボン玉ビリーホリデー』などからもうかがうことができる。また、「劇団ラッパ屋」という名前も鈴木が高校時代に通いつめた国立市のジャズ喫茶「喇叭(ラッパ)」に由来。『恋と音楽』シリーズや本作におけるジャズとミュージカルの調和には鈴木のジャズに対する造詣の深さがある。一方、稲垣吾郎もまた、ジャズとは縁のあるアイドルだった。SMAPの『007~Gold Singer~』のクレジットを見ると、マイケル・ブレッカー、オマ―・ハキム、ヴィニー・カリウタ、ウィル・リー……ジャズ~フュージョンのビッグネームが名を連ねている。90年代半ば、すでに稲垣はそれらの作品でジャズミュージシャンたちの演奏をバックに歌っていたのだった。

 時を経てミュージカル作品をともにすることになった稲垣と鈴木。佐山雅弘の音楽、ジャズが作品に与える影響から、稲垣の音楽に対する飽くなき探究心など多岐に渡る話を聞くことができた。聞き手はジャズ評論家の柳樂光隆氏。(編集部)

(関連:稲垣吾郎、ブレることのないハイブリットな魅力 『ななにー』“さすが吾郎ちゃん“なバースデー回

■鈴木聡×稲垣吾郎×佐山雅弘、ミュージカル誕生の背景

――『恋と音楽』シリーズに佐山雅弘さんが関わることになった経緯を教えてください。

鈴木:2008年に北九州の劇場で、僕が演出、地元の俳優さんたちが演じて、佐山さんが生ピアノを弾くというリーディング(=朗読劇)のイベントがあったんです。その時に僕は佐山さんと初めて会ったんですよね。そこで佐山さんとどんな音楽をつけようかって話しているときに、佐山さんがピアノを弾きながらお互いにアイデアを出し合って、ものすごく早く話が進んで。僕は僕で音楽が好きだし、佐山さんは佐山さんで芝居が好きなんですよ。だから、お互いに波長が合ったんですね。それで「稲垣吾郎くんでコンパクトなミュージカルをやろう」って時にまっさきに佐山さんでやりたいなと思いついたんですよね。でも、『恋と音楽』の前に『ぼっちゃま』(鈴木書き下ろしの舞台。稲垣が出演、佐山が音楽監督&ピアノを務めた)があって。これはストレートプレイの芝居だったんですね。白石加代子さんも出てくれて。

稲垣:ちょっとラッパ屋(鈴木主宰の劇団)さんテイストのね。僕が鈴木さんの世界観の演劇に出していただいて、その時に佐山さんも出ていたんですよね。

鈴木:震災の年でしたね。2011年。僕は何とか佐山さんを舞台に引っ張り出したいなと思っていたんですよ。

稲垣:『ぼっちゃま』の時、佐山さんは演者として出ているんですけど、ただセリフはほとんどなくて、アパートの隣の部屋に住んでいるピアニストって役でね。

鈴木:進駐軍のキャンプに出入りしているピアニストっていう設定だからいつもジャズのスタンダードナンバーを弾いているの。

稲垣:その劇の中でジャズが流れるんですけど、それが必然として使われていたんですよね。

鈴木:セリフはないけど、ピアノで芝居をしていましたね。あと表情ですね、びっくりしたり。それでなんとなく吾郎くんと馴染みができてね。

稲垣:『恋と音楽』が2012年スタートだから、『ぼっちゃま』の次の年ですね。それがきっかけで今に繋がっています。

鈴木:その時に僕と佐山さんで考えていたのは日本のコンパクトなミュージカルをやりたいってことなんですよ。ミュージカルって言うとものすごく大掛かりな『レ・ミゼラブル』のようなイメージがあると思うんですけど、僕は小さなバンド、しかもジャズのバンドが演奏していて、セリフと音楽に関係があって、セリフの延長みたいに歌があって、出来れば演技と音楽がその場でセッションするみたいなミュージカルができないかなって思っていたんですよ。僕は大掛かりなミュージカルはちょっと照れくさくて、もっと等身大のミュージカルができないかなって佐山さんに話したら、そのアイデアを面白がってくれて。そこでスタートしたって感じですね。

――その構想を聞いて稲垣さんはどう思いましたか?

稲垣:まず自分がミュージカルをやることに対して、驚きと戸惑いがありましたね。それまでミュージカルは経験がなかったので。もちろん歌も歌ってきているし、演劇もやってきているんですけど、ミュージカルって全く別のジャンルですから。それにミュージカル独特の良さでもあり個性なんですけど、さっき鈴木さんがおっしゃっていたような照れくささを感じていたので、最初は抵抗があったんですよ。でも、そこは鈴木さんの描く世界観ですし、信頼関係であったりとか、今までに何本も作品をご一緒させていただいているので、だったら新しい新境地というか、新しい自分に出会うことができるかもしれないと。ファンの方やお客さんも喜んでくださると思ったし、ひとつのエンターテイナーの形として、自分の中で新しいものが生まれるのではないかという期待に変わっていきました。最初はみんな多少戸惑ったと思うし、それを徐々によりよいものに変えていって、パート3『恋と音楽 FINAL~時間劇場の奇跡~』まで来た形だと思います。鈴木さんもパート1では迷いがありましたから。

鈴木:お互いにね。佐山さんもね。

稲垣:手探りでね。パート1は当時、宝塚歌劇団を退団されたばかりの真飛聖さんがヒロインだったんですよね。

鈴木:真飛さんが宝塚を退団してから最初の舞台だった。

稲垣:しかも、(花組トップスターで男役で人気だった)真飛さんの初めての女性役だったんですよね。だから、みんなが挑戦だったんですよ。僕は結果的にやってよかったと思いますし、鈴木さんがおっしゃっていたような等身大のミュージカルってこれまであまりなかったので、大人っぽくて洒落てると思っています。僕も大きなグランドミュージカルみたいなものをやる自信は未だに無いです。『恋と音楽』は僕にとっては演劇や芝居の感覚ですね。そこにミュージカル要素が加わったという感じなので、これをやってミュージカル俳優になったという感じはないです(笑)。

鈴木:最初のうちはね、やっぱり何で歌うのかを考えましたよね。ミュージカルが苦手な人がよく言うじゃないですか「何でいきなり歌うの」って。それを正当化するために『恋と音楽』シリーズの3本はミュージカル界の人たちの話にして。吾郎くんの役は1本目『恋と音楽』はミュージカルの作曲家、2本目『恋と音楽Ⅱ~僕と彼女はマネージャー』はミュージカル俳優のマネージャー、3本目 『恋と音楽 FINAL~時間劇場の奇跡~』はミュージカル俳優なんですよ。他に出てくる人はミュージカルが好きな人たちの役。だからすべての役は歌うことが自然な人たちなんですよ、そういう設定にしないとなんか不自然になるんじゃないかって思いこんでましたね。

――そこまで考えるくらいにミュージカルに照れがあったんですね。

鈴木:はい(笑)。

稲垣:でも、今回の『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』では初めてそういった設定から離れたんですよね。

鈴木:3本やるうちに「あ、いいんだ」って思い始めたんですよね。それは吾郎くんや佐山さんと一緒にやってきたことも大きくて。何も説明もなく歌い始めても大丈夫だって思ったんですよ。

稲垣:みんなが少しずつ慣れていきましたね(笑)。

鈴木:だから今回はセリフと歌をあまり区別しないで書いた感じがします。

稲垣:あとは、順序で言うとショーに芝居を乗せたって感じもありますよね。

鈴木:それもあるね。

稲垣:曲があって、鈴木さんがテーマに合う詞を書いて、ショーがあって、その間に芝居を入れて埋めていくというか。どっちが先かって話なんですけど、僕はやっていてそんな印象を受けました。もちろん1幕と2幕の間にショータイムがあるのが大きいんだけど、ショーの合間に芝居をサンドしている感じが今回の作品のすごく洒落てるところだと思います。ミュージカルを書かなきゃって感じじゃなくてね。

鈴木:1曲1曲がショーナンバーになっているってことでしょ。エンターテインメントになっている。

稲垣:そう! 振り切っちゃっているというか。

鈴木:今回は佐山さんも振り切っちゃってるからね。

稲垣:だから、パート1とか2までは恐る恐るやってる感じがするんですよ。

鈴木:僕も佐山さんもこれでいいのかな、これでいいのかなって、そう思いながらやっていたなって思う。

――3人ともずっと手探りだったんですね。

稲垣:そうですね。でも、それが時間ですよね。時の流れであって、お客さんと共に成長出来ている感じ。そこは正に舞台って感じですね。

■生バンドの演奏で歌うことの楽しさ

――稲垣さんは最初に佐山さんとお仕事をしたときに彼の音楽にはどういう印象をもちましたか?

稲垣:僕はずっと歌謡曲を歌っていましたけど、ジャズのような音楽も気にはなっていたし、ちょこちょこ聴いたりもしていたんです。ちょっと夜落ち着きたいときとか、一人でいるときとか、年齢とともに気分によってはジャズに浸りたかったり、クラシックが聴きたくなったり、ボサノヴァ、シャンソン……そういうものに少し興味が芽生えてきたころだったので、佐山さんとの出会いはすごくいい出会いだったと思うし、そこで音楽のことは鈴木さんや佐山さんにいろいろ教えていただき、今に至ります。

――なるほど。

稲垣:ただ自分がそこで歌いこなしていかなきゃいけないっていうのは未だに自信がないんですけど、佐山さんは音のオートクチュールをやってくれていて、僕に合うように、キーを合わせたりだとか、僕が歌いやすいようなメロディで作ってくれたりしたんです。僕にぴったりなものをオーダーメイドで作ってくれるので、歌いやすいし楽しい。僕はずっとグループで音楽をやってきたので、自分だけのキーで歌えるわけでもなかったんですよ。特にアイドルグループの曲だったら、歌ったり踊ったりして盛り上げるためにキーも高い。派手に見せなきゃいけなかったりしますし、ハイテンポだったり、音符も多かったりするので、難しいですよね。でも、「歌」ってそこだけじゃないんですよね。特にジャズには違った難しさがあるし、僕はまだジャズのことはわからないですけど、シンプルな中に面白さや難しさがあることにも少し気づけてきています。僕に初めてジャズを教えてくれたのが佐山さん、鈴木さんなのはすごく良かったなって思いますし、これからもっともっと深めていきたいです。

――『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』の音楽のことをもう少し教えてもらえますか?

稲垣:今回の『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』はジャズだけじゃないんですよ。佐山さんの音楽のベースはジャズピアニストが作る曲って感じなんですけど、70年代や80年代の歌謡曲のような曲があったり、安寿ミラさんと二人で歌うシャンソンみたいな曲があったり、いろんなジャンルがあるので、やっていてすごく楽しいんです。今の自分が無理をせずに等身大として、自分の中で表現できる歌って意味では佐山さんが一番ですね、僕の中では。あとは生バンドの演奏で歌うということは大きなことですね。グループでポップスを歌っているようなチームだとなかなかないじゃないですか。生だと、その日のコンディションによって変わったりもするし、やってて楽しいですね。お互いに感じあえるし、響きあえるというか、そこで人が弾いているというのは大きいですよ。

――ジャズミュージシャンは譜面をそのまま弾くわけじゃないですよね。だから、音楽に関しては毎日違うものが出てくるとも言えると思うんですが、そういう部分はどうですか?

鈴木:佐山さんなんていきなりイントロを変えたりするから皆さん困ったりね(笑)。

稲垣:特に宝塚の安寿さんや中島(亜梨沙)さん、以前の真飛さんも、宝塚のミュージカルはきっちり指揮者もいて譜面通りなのかな。決められた尺の中できちっとやることが彼らの美学ですよね。でも、ジャズミュージシャンの美学は、アドリブ性であったり、同じことをやらないことですよね。僕も戸惑いはありましたけど、宝塚出身の方もけっこう焦る感じはあったみたいですね。

鈴木:いわゆる芝居や演技ってセリフは決まってるし、段取りは決まってるし、多くの演劇にはほぼアドリブなんてないんですよ。だけども、それを毎回生き物に、ライブにしないとダメなんですよね。今生まれてるものにしないといけない。セリフを散々練習しているんだけど、それを今、生まれた感じにしようとみんな努力をしているんですね。それはジャズのセッションで今、音が生まれることと同じことでもあるんです。だから、その瞬間をクリエイトしようって思いでみんなが一致していれば、演技と音楽がセッションするようなことができるんじゃないかなと僕も佐山さんも考えていて、『君の輝く夜に』ではそれに近いことができたんじゃないかなと思いますけどね。

稲垣:同じものを毎日やると、ひとつのルーティーンや段取りとしてやっていく安心感があるし、そこに乗りたくなっちゃう。でも、一番大切なことはお客さんは初めて見るわけだから、役者としてはその場でのライブ感をずっと追い求めていくということなのかなと。演劇ってそこで生まれたかのようにやるものだし、演技がうまい人ってそういうことができる人だから。もしかしたら、役者としては、きちっとしたオケピの方々よりも、佐山さんたちのジャズバンドのフィーリングはむしろやりやすいかもしれないと思いますね。

鈴木:このバンドは佐山さんだけじゃなくて、みんながそういう人なんだよね。

稲垣:ピアノのイントロで完全に違うものを弾いたりされるとやっぱり焦るんですよね(笑)。演技をしているときは耳も研ぎ澄ましていて、物音がするだけでドキッとするじゃないですか。いつもと同じ匂いと音と空気みたいな状況になっていかないと膨大なセリフを間違えてしまうこともあって。

鈴木:緊張感の高いシーンは特にね。

稲垣:相手の位置が一歩ズレるだけで僕らは気付きますから。

鈴木:僕はね、佐山さんに「そこは同じフレーズを弾いてください」って言ったことは何度かあるよ。でも違うのを弾いちゃうんだけど(笑)。

稲垣:『恋と音楽』はいつもその繰り返しですよね。週明けとか休み明けにテンポが変わってたりね。乗ってくるとテンポが上がってきたりとか、元気な人の楽器がデカいとか、パーカッションばっかり聴こえるとか(笑)。そんな中でもバイオリニストの(高橋)香織さんの安定感はクラシック畑だからでしょうか?

鈴木:(参加ミュージシャンの一覧を見て)いや、このおじさんたちが自由すぎて(笑)。

稲垣:(笑)。でもバカボン(鈴木)さんはきちっとしてる。

鈴木:ベースはやっぱりね。

稲垣:でも、パーカッションはいつも違いませんか? 仙波(清彦)さんはいつもテンポも違う。ドラムでテンポが違うってすごいよね(笑)。

鈴木:(三好)3吉(功郎)さんはどうだっけ。

稲垣:ボサノヴァっぽいギターに合わせて僕が「アローン・アゲイン」という曲を歌うシーンがあるんですけど、休み明けに「ちょっとテンポ落としていいかな?」とか言う時がありますね。でも、それが気持ちいいんですよね。プロのギター1本を伴奏に歌うことなんてなかなかないことだから、贅沢ですよ。

――お2人ともその場で起こる変化をすごく楽しんでいるんですね。

稲垣:もちろん。僕らが楽しむってことは一番の前提ですよね。

鈴木:あとね、この人たちはね、何があってもどうにかなるなって感じなんだよね。

稲垣:俳優さんたちもそうですよね、安寿さんも北村(岳子)さんも大ベテランですから。成熟したプロが集まっているから、こういう遊びができるのかなって。僕はそこについていくのは必死ですけど、でも、胸を借りてというか、中途半端じゃない人たちがおふざけもしているっていうところのおしゃれな感じが伝わればいいかなって思いますね。

――成熟しているからこそできる自由さがあるミュージカルなんですね。

稲垣:もちろん。すごいバンドとすごい俳優とすごいスタッフでこじんまりしたことをやっている面白さがあると思いますね、この舞台には。

■稲垣吾郎、音楽のルーツ

――最後に稲垣さんの音楽の話も伺いたいんですが、いいですか?

稲垣:もちろん、もちろん。

――僕もそうなんですが、稲垣さんのことを特別な存在として見ている音楽ファンが少なくないと思うんですが、その自覚はありますか?

稲垣:それってもしかして若いころからフィッシュマンズに曲を書いてもらったりとか、そういうことですか?

――そうです! あと、20年くらい前に『bounce』というフリーマガジンに稲垣さんが選んだ「無人島にまで持っていきたい愛聴盤」という記事があったのは覚えていますか?

稲垣:覚えてます。若い時になかなかのセレクションをしているんですよ。The Isley Brothersの「Summer Breeze」とか、The Velvet Undergroundの「Sunday Morning」とかね。「Summer Breeze」はいいですよね、今でもよく聴きます。

鈴木:趣味がいいんだ。

稲垣:いや、この頃は気取ってたんですよ。

鈴木:背伸びしてたって感じ?

稲垣:もちろん。背伸びですよ、でも、背伸びだけど嘘じゃないから。

――ラインナップをメモしてきたんで、どうぞ。

稲垣:デヴィッド・ボウイ「Ziggy Stardust」、フランスのポップスの歌手ルナとかね。面白いんですよね、このルナって。最近久しぶりに聴きました。実はね、もっとリアクション出来たら良かったと思うんですけど、この記事を最近見ちゃったんですよ。ラジオを聞いてくれているファンの方が送ってくださって、2カ月くらい前に。

鈴木:すごくマニアックだね、これ。吾郎くんってこんな音楽が好きだったんだ。

稲垣:周りにそういう人が多かったんですよ、DJとか音楽が大好きなファッションデザイナーとかもいたし。あと、坂本龍一さんにかわいがっていただいたりして、いろんな音楽を教えてもらいました。渋谷系が流行ってた頃だったから、オザケン(小沢健二)くん、カヒミ・カリィさん、小西(康陽)さんとかに夜の街で会ったり。僕はアイドルだったけど、そういった人たちが周りにいて、一緒に遊んでたんですよ。この頃はフリッパーズ・ギターとかも聴いていたし、洋楽も聴いてましたね。

――デヴィッド・ボウイが好きなんですよね? さっきの記事でもボウイ・ファンという話がありました。

稲垣:デヴィッド・ボウイには一度はお会いしたかったですね。僕は『SMAP×SMAP』でジェームス・ブラウンからレディ・ガガ、ジャズティン・ビーバーまでいろんな方に会うことができました。でも、デヴィッド・ボウイには会えなかった。会うことが全てではないんだけど、すごく好きで、尊敬する、憧れの人ですよね。ビジュアルも含めて、ファッションもそうだし、いろんなものを好きになったきっかけになった人でもあったから。デヴィッド・ボウイはずっと好きですね、今でも聴きます。

――そういう音楽はどういうきっかけで知ったんですか?

稲垣:全部友達からの影響ですね。20代のころ、カルチャー好きの友達が多かったのが僕のルーツだと思います。フィッシュマンズに曲を書いてもらったのも、フィッシュマンズの大ファンだった友達がいて、彼が聴いていて僕も好きになったから、それをスタッフに話したら楽曲提供が叶った形です。今になって『恋と音楽』をやってからジャズとか、『No.9 -不滅の旋律-』をやってからベートーヴェンとかクラシックとかも好きになって、僕の中で今音楽はすごく面白いですね。最近の新しい音楽だと、BiSHって知ってます? 「楽器を持たないパンクバンド」というコンセプトの女の子たちで、欅坂46とももいろクローバーZを足したような印象を受けました。ももクロのけなげで一生懸命で応援したくなる感じがあるから、ももクロファンの鈴木さんは好きだと思いますよ! この前、『7.2 新しい別の窓』(Abema TV)の生放送で共演したんですよ。音楽も歌詞もすごく良かったのと、本人たちがすごく力強いんだけど、壊れやすい感じもあって、魅力的でしたね。だから、今の音楽もハマって聴いてたりしますよ。貪欲ですね、音楽に関しては。

――ラジオ番組『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)でもよく新しい音楽をかけてますよね、最近でもTHE NOVEMBERSとか。

稲垣:THE NOVEMBERSはフィッシュマンズを教えてくれた友達の影響なんですよ。LAD MUSICIANってブランドのデザイナーの黒田雄一くんと仲が良くて、彼の影響を受けたのが大きいんです。彼の周りにテイ・トウワさんとかがいたり、DJをやっている人がいたり、そういう人たちがみんな繋がっていて。僕の音楽のルーツはそこなんですよね。

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