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『チェンソーマン』アニメ化はバトル上での演出に期待? MAPPAとの相性から紐解く

リアルサウンド

20/12/14(月) 17:00

 12月14日、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた漫画『チェンソーマン』の連載が終了し(第2部が『少年ジャンプ+』で掲載)、同時にアニメ化されることが発表された。

 SNSを中心として大きく話題になっていたタイトルの最終回と、同時に発表された嬉しいニュースにSNS上は大盛り上がりし、日付が変わったばかりの深夜には関連ワードが軒並みTwitterのトレンド入り、夜が明けてからはYahoo!ニュースの主要トピックにまで取り上げられている。

 『ファイアパンチ』の藤本タツキによるヒーローパンクアクションという本作。物語のイントロはこうだ。「チェンソーの悪魔」であるポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジは、親が遺した借金返済のため、ド底辺の日々を送る中、裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、 悪魔の心臓を持つもの「チェンソーマン」として蘇る。

 一見、王道の異能力ファンタジーにも見える本作は、なぜここまで話題となったのか。漫画やアニメーションに詳しいライターの倉田雅弘氏は、本作の『週刊少年ジャンプ』における立ち位置を以下のように語る。

「設定自体は、悪魔の力を宿した少年がデビルハンターとして悪魔を狩っていくという、異能力バトル漫画の王道ともいえるものなのですが、過激な暴力描写や意外な展開の連続で、刺さる人には強烈に刺さる作品です。前作『ファイアパンチ』の際に藤本タツキさんは、アンチ・ジャンプ的なことをやりたい、と仰っていましたが、王道路線の上にそうしたテイストが加わって、『週刊少年ジャンプ』誌上では異質な存在感を放っています。同時期にジャンプで人気を博した『鬼滅の刃』『呪術廻戦』と同じ路線のようで、その読後感は対照的とも言えます」

 劇場版が歴代興行収入1位を目前にした『鬼滅の刃』に、TVアニメも放送中の『呪術廻戦』、劇場版第3作の制作も発表された『僕のヒーローアカデミア』と、アニメと漫画の両輪で盛り上がっている『週刊少年ジャンプ』。その中でも『チェンソーマン』の熱の高さは異質を放っているという。

「藤本さんは『週刊少年ジャンプ』のWebアプリ『少年ジャンプ+』で前作『ファイアパンチ』の連載が始まった時点で、その強烈な内容からSNSを中心に注目されていました。また担当編集者の林士平さんが、SNSやインターネットを使って作品を広めることが上手い方というのもあり、『チェンソーマン』が『週刊少年ジャンプ』で連載が始まったとき、ファンの間では藤本さんが満を持して表舞台へ出ていくといった印象だったと思います。回を重ねるに連れて、意外な展開や過激で異質な表現に加速がかかり、いわゆる濃い読者の熱も高まっていきました。彼らがその回その回の衝撃をSNSに書き込むことで、次第に『単行本ではなく連載をリアルタイムで体験したい』というファンが増えていったように感じます。Webの配信で読んでいる人も目立ち、連載の最後の方では『週刊少年ジャンプ』が発売される毎週月曜の深夜0時にTwitterのトレンドに上がることも多かった。それで作品を知った人が、またSNSで『チェンソーマン』について拡散し、さらにファンが増えていくといった具合に作品が広がっているんです」

 今回、アニメーション制作を担当するのは、『呪術廻戦』も手がけているMAPPA。アニメーション会社としては「クリエイターのこだわりにとことんまでつきあおうとする会社」だと倉田氏は分析する。

「MAPPAは、作画クオリティについては定評のあるアニメ制作会社マッドハウスの創設者のひとり、丸山正雄プロデューサーが、『この世界の片隅に』を制作するために2011年に設立した会社です。さらに元をたどれば丸山プロデューサーは、旧虫プロダクション出身で手塚治虫先生という、ものすごいこだわりを持って仕事に取り組む人と一緒に仕事をしている。MAPPAは、こうした丸山さんと『この世界の片隅に』の片渕須直監督というこだわりの強い人たちと、一緒に仕事がしたいという覚悟のある人たちが集まって作られた会社なんです。実際に現在の社長を務める大塚学監督はインタビューで、『「面倒くさいことを言う人の、面倒くさい希望をあえて叶える」という精神』を丸山プロデューサーから受け継いだと明かしています(引用:ドロヘドロ、ゾンビランドサガ…アニメスタジオ・MAPPA、ヒット作の裏にある“手のかかること”をやる精神【インタビュー】|アニメ!アニメ!)。要は、クリエイターの良い意味でのこだわりにはとことんまでつきあおう、というのがスタジオの理念となっている。過去の作品をみても『この世界の片隅に』『うしおととら』『BANANA FISH』『どろろ』『ドロヘドロ』『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』といった多くの漫画作品を、熱心なファンをも納得するような高いクオリティでアニメ化しているのは、こだわりのあるクリエイターが集まってくる土壌と、そのこだわりに応えることができる体力をアニメスタジオとして持っているからだと言えます」

 現在『呪術廻戦』を制作しているMAPPA。『チェンソーマン』との相性はどうなのか。倉田氏は、以下のように占う。

「前述のインタビューで大塚社長は『どうしても目的意識が見いだせない作品は、お断りさせていただくこともあります』と語っていますが、制作発表にあたりMAPPAが出した『『チェンソーマン』をやりたかった。スタジオの威信をかけて作る価値がある』との声明を読むと、期待は否応なく上がってしまいますね。『チェンソーマン』の大きな魅力のひとつであるバトルや悪魔の描写やストーリー展開が、どのように映像化されるのか楽しみです。特にバトル上での演出には注目したいです。最近のアニメでは『呪術廻戦』第7話の五条先生の領域展開・無量空処のシーンや、『鬼滅の刃』第19話のヒノカミ神楽のシーンなど特徴的な演出を施したバトルシーンは放送の直後に話題になり、人気爆発のターニングポイントにもなりました。『チェンソーマン』でも、こうしたバトルの演出は見どころになるでしょうね。お互いに挑戦的な資質を持つMAPPAと『チェンソーマン』という組み合わせから、どのような化学反応が生じるのか、期待しながら放送を待ちたいです」

■作品情報
TVアニメ『チェンソーマン』
原作:藤本タツキ(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
制作:MAPPA
(c)藤本タツキ/集英社・MAPPA
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式Twitter:@CHAINSAWMAN_PR

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