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“漫画実写キャラ”から“等身大の青年”まで幅広い表現力 ドラマを軸に振り返る山崎賢人の歩み

リアルサウンド

20/4/30(木) 6:00

 『グッド・ドクター』(フジテレビ系)の再放送で注目を集めている山崎賢人。確かな演技力で視聴者の心を掴んでいる。本作は『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)が新型コロナウイルスの影響で放送延期になったことで急遽再放送となった。山崎は本作でサヴァン症候群を抱える小児科の医師という難しい役を演じた。

【写真】『デスノート』Lを演じた山崎賢人

 山崎といえば、少女漫画の主人公のような端正なルックスと丁寧な芝居で多くの視聴者を虜にしている。もともとはティーン向け雑誌『ピチレモン』(学研プラス)で数少ないメンズモデルとして活躍。その後『熱海の捜査官』(テレビ朝日系)で俳優デビューを果たし、“学園内で数少ない男子生徒の1人かつ美少年”という役柄を演じた。さらに『弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(日本テレビ系)や『水球ヤンキース』(フジテレビ系)で学園モノに出演するようになり、連続テレビ小説『まれ』(NHK総合)でヒロインのパートナーを演じ一気に知名度を上げたのだ。

 映画では『L・DK』、『ヒロイン失格』、『orange -オレンジ-』、『オオカミ少女と黒王子』など立て続けに少女漫画原作の作品でヒーロー役を勝ち取り、正統派イケメン俳優のイメージを強く打ち出した。現在では映画『キングダム』での10キロの減量による徹底した役作りへの賞賛の声や、『グッド・ドクター』で見せる繊細な芝居に「感動した」などの反響も多く聞こえ、演技派俳優としての歩みを進める。今回は山崎のキャリアの中でも特に注目したいテレビドラマについて紹介したい。 

■『デスノート』(2015年/日本テレビ系)

 『デスノート』は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された人気少年漫画『DEATH NOTE』が原作のテレビドラマ。そこに名前を書いた人間を死なせることができる「デスノート」を手にした少年・夜神月を主人公にした物語で、テレビアニメ、映画、舞台化もされるほどの人気作だ。山崎は、犯罪者を抹殺し理想の世界を作り上げようと暴走する月を止めようと奔走する、世界一の名探偵・Lを演じた。前述の通り、テレビドラマだけでなく、映画、アニメ、小説、ミュージカルなど、幅広く展開された人気作品ゆえ、Lにはある程度固定のイメージがあった。個性が強く、扮することさえ難しいLを、山崎は器用に再現した。『キングダム』でも主人公の再現度の高さに言及する声が多かったように、山崎は漫画原作のキャラクターを自然に、魅力的に演じる力に長けている。松山ケンイチが演じた映画版『デスノート』のような印象的な座り方こそなかったものの、服装、髪型、メイクから始まり少し猫背気味な立ち姿や台詞の言い回しなどで山崎なりのLを作り上げた。さらに、窪田正孝演じる月との熾烈を極めた対立シーンは、思わず息をするのを忘れるほどの熱量を感じる。

■『陸王』(2017年/TBS系)

 『陸王』で山崎が演じたのは、100年以上続く老舗足袋業者「こはぜ屋」の長男・宮沢大地。家業を手伝いながら就職活動を続けているが、思うようにいかず悶々とした日々を過ごす青年である。そんな中、父親であり社長の宮沢紘一(役所広司)が経営を立て直すためにランニングシューズの開発を目論む。苦難の道のりを歩む父親の姿、それを支える周りの人たちの情熱や義理人情に触れて、大地は変わっていく。

 物語前半での大地というキャラクターは、あまり生き生きとした人物ではなかった。第3話で大きなターニングポイントをむかえ、父親に向ける感情に変化が訪れると、大地という役も大きな魅力を持つようになる。大地が関わるシューズのソール素材の開発が成功の兆しを見せ、今まで反発してきた父親にその頑張りを褒めてもらうシーンでは、涙を流し心の底ではうれしく思いながらも、素直に気持ちを表せない、大地の難しい心情を見事に演じきった。好かれる役ばかりに徹する訳ではなく、人間の負の感情もリアルに表現することにより、まさに役者としての器用さを発揮した作品になった。ここから山崎演じる大地は、感情表現が豊かになり一気に輝きを増す。シューズ開発という目標に向かって挑むキラキラとした目が印象的だ。

■『トドメの接吻』(2018年/日本テレビ系)

 不気味なキス女にキスをされると死んでしまい、過去にタイムリープを繰り返すという一風変わった物語の『トドメの接吻』。山崎が演じた歌舞伎町のホストクラブのNo.1ホスト、エイトこと堂島旺太郎は、過去に起きた事件をきっかけに金に固執するクズ男という役柄だ。キスをする謎の女・佐藤宰子役は門脇麦が演じ、旺太郎が追いかける資産家令嬢・並樹美尊を『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)の新木優子、ストリートミュージシャン・春海一徳役で出演する菅田将暉は主題歌の「さよならエレジー」を担当。ストーリーの過激さと共に、菅田がドラマ主題歌を務めことも話題を呼び、本作はタイトルに“接吻”とあるだけに、様々な女性とキスをする山崎の色気に悶絶する視聴者も多かった。最終回では旺太郎と春海のキスシーンもあり、プライベートでも仲の良い菅田と山崎の濃厚でコミカルな“接吻”シーンは必見だ。

 これらの作品に続いて、『グッド・ドクター』が山崎のキャリアに加わる。さらに公開待機作にはNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』や映画『劇場』などがあり、どれも楽しみにされている話題作だ。少女漫画のヒーローを演じ正統派イケメンと呼び名の高かった時期を脱皮し、山崎はさらに難しい役へと挑戦し続ける。どんな時もまっすぐ役と向き合う姿勢から手を緩めず、体当たりで演じていることが彼の魅力の一つだろう。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記
※『L・DK』の「・」はハートマークが正式表記

(Nana Numoto)

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