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『エール』小山田先生の策略が明らかに 志村けんさんが役の憎たらしさを好演

リアルサウンド

20/6/3(水) 12:45

 売れっ子作詞家・高梨一太郎(ノゾエ征爾)と組んで、詞に曲をつけるも鳴かず飛ばずの結果となり、ついに契約解除の危機を迎えた裕一(窪田正孝)。ただし、『エール』(NHK総合)第48回では、その状況がまたしても周りからの支えもあり好転していく。

 「船頭可愛いや」が売れずに、契約解除を言い渡された裕一は、それでもなお何の根拠もなく、音(二階堂ふみ)に迷惑をかけまいと「大丈夫! 何とかするから!」と告げる。古山家はすぐに何とかすると言っては、確かにその状況を2人で乗り越えてきた。

【写真】環(柴咲コウ)を前にして上がってしまう裕一(窪田正孝)

 しかし、その状況を変えるきっかけを作ったのは、やはりこれまでも裕一のピンチを救ってきた音であった。音はよい曲なのに売れないことに疑問を持ち、環(柴咲コウ)に「船頭可愛いや」を聴いてもらうことに。その曲を気に入った環は「私が歌ってもよいかしら」と裕一や音にとっては願ってもないことを提案してくれたのだ。

 環は「船頭可愛いや」に対して、「西洋音楽をベースにしながら、流行歌としての親しみやすさも兼ね備えている」とこの上ない言葉を伝え、裕一と音は喜び感極まる。実は環もオペラの世界で認められるようになったきっかけは、プッチーニ(世に広く認められている人)が見つけてくれたからだった。今度は環が裕一にとってのプッチーニになるというのである。

 裕一は早速再度レコードを録音し直すために、廿日市(古田新太)にお願いをするが、話は意外にもそう簡単には進まない。その原因には小山田(志村けん)の反対があった。

 類い稀な才能を持つ裕一が自らの地位を脅かすことを小山田は恐れ、色んな理由をつけてレコードの再発売を反対していたのだ。小山田の登場にSNSは盛り上がり、「小山田先生」がトレンド入りを果たした。小山田がコロンブスレコードの赤レーベル(流行歌)に裕一を推薦したことは、裕一が得意とする西洋音楽が軸となる青レーベルで、レコードが発売されないようにする彼の策略だった。

 志村は優しく懐が深いお人柄で多くの人に慕われていたが、今回演じた小山田は若い芽を摘もうとする偉大な作曲家で、志村の人柄とは真逆の役柄とも言える。それにも関わらず、見事に役の憎たらしさや裏で何かを考えていそうな雰囲気をしっかりと自分のものにして役になりきっている。

 環までもが動き出すことで、無事にレコードの再販売が決定、結果大ヒットとなり裕一の曲がついに世間のあらゆる場所で流れることになった。何かに導かれているかのように、裕一には奇跡が次々に起こる。でもそれには必ず自分以外の人が関わっているのだ。

 「わかる人にはわかる音楽」から「世間にも受け入れられる音楽」へ。彼の音楽と人柄は何か他の人を惹きつける何かがあるのだろう。

(岡田拓朗)

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