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新しい地図が『ななにー』で伝えた、心をすり減らさず“自分の感情をコントロールする”大切さ

リアルサウンド

20/4/6(月) 6:00

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による、月1レギュラー番組『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)#25が、4月5日に放送された。放送開始より2年間、毎月第1日曜日の17時スタートだったところを、今回より15時スタートに変更。Mattや速水もこみち、渡辺直美などを招いて、さらにパワーアップした“SNSバラエティ番組“を届けてくれるはずだったが、残念ながら今回は新型コロナウイルスの感染拡大予防のために、ゲスト出演は見送りに。予定を大幅に変更して、2時間の生放送と、過去の夏休みスペシャル企画+ライブ映像の再放送という構成になった。

(関連:香取慎吾が届ける「いっしょに がんばりましょう」の精神 『キットカット』新CMから考える

 生放送部分では3人のみが登場し、感染予防のために距離を取ってトークを開始。こうして3人の元気な姿をリアルタイムで見られることが、まずホッとさせてくれる。新型コロナウイルスの感染が、身近なところまで広がっているのを感じさせるニュースが続く中、3月29日に日本中が悲しみにくれた志村けんさんの訃報。志村けんさんは、彼らがアイドルとしてお笑いを始めたタイミングでも、ヒゲダンスを曲を用いるなど、強い影響を及ぼしていたと振り返る。『カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ』『ドリフ大爆笑』などを小さいころから見てきたこと。そして、数々の番組で共演したことを語り、「コントとお笑いの教科書」「信じられない」「本当に寂しい」と偲んだ。

 そんな悲しいニュースが連日聞こえてくる中で、視聴者がどのように過ごしているのか、SNSバラエティという特性を活かして尋ねる場面も。実際に、各家庭にはマスクがどのくらいあるのか。学童保育や病院、配達業やスーパーなど、社会に求められて“働かなければならない人“たちがどんな思いで、現場に向かっているのかというコメントを読み上げていく。また、3人もどんなふうに家での時間を過ごしているのかをシェア。何よりも心が疲れてしまわないように、「自分の感情をコントロールする」大切さを呼びかけた。

 外出自粛が続く中で、外に出ている人を見て突発的に「何、外に出歩いているんだ」と憤るのではなく、私たちの生活を支えるために「働かなければならない人かもしれない」と想像しようと声をかける。そして、閉じこもって気持ちまで鬱々としてしまいそうなときには、ストレッチなど身体を動かすことで、ストレスを解消してみてはどうかと、ライフハックを伝授。また、1人で寂しいときにはYouTubeのライブ配信などで、誰かと一緒の時間を過ごすこともできると笑いを交えながら伝えてくれた。まさに香取が出演している『キットカット』のCMにあるコピー、「#いっしょにがんばりましょう」な精神が垣間見える放送となった。

 この新型コロナウイルスの脅威によって、私たちが試されているのは「感謝」することなのかもしれない。モノが溢れている日常も、便利なサービスも、いつでも会いたい人に会えることも、行きたいところにどこでも行き来できることも……そんな豊かな生活は、多くの人のマンパワーによって支えられているのだということ。当たり前だと思っていた平和な世の中は、自然的に成り立っているものではなく、1人ひとりの「努力」によって築き上げられているものだと気付かされる。

 それが断絶せざるをえない今、その不便さを嘆いて心をすり減らすのではなく、むしろ今こそ自ら感謝を発信して、お互いの心を潤すこと。目に見えないウイルスとの戦いは、今まで見てこなかった想いを想像する力にかかっている。ネガティブな情報に振り回されず、愛情深く世の中を見つめ、自分も誰かも守っていくために何ができるのかを考え、行動すること。3人のやさしいトークを聞いているうちに、改めて人にやさしくあろうと思わされた。

 防御は最大の攻撃。“家にいる“というシンプルな行動も、今できることの1つ。草なぎのように、録りためているビデオを見るのもいいだろう。稲垣が出演したドラマ『スカーレット』も香取が出演した音楽番組『SONGS』(共に、NHK総合)も、まだ未視聴であることをツッコまれてしまった草なぎのマイペースっぷりには、思わず頬が緩む。

 また、もともとインドア派だった香取は、YouTubeを見ながら身体を動かすようになったという。すると、すかさず稲垣が「前、スタッフが慎吾に渡した『ビリーズブートキャンプ』のDVDとか家にあると思うよ」と懐かしい話題もポロリ。「それ、いつのー?」と苦笑する、そんなさりげない会話にも、変わらぬ日常の尊さを思い出させてくれる。

 さらに、事前収録された稲垣の『インテリゴロウ』のコーナーには、ピース又吉直樹が登場。新作『人間』をきっかけに、ひとりベースボールで遊んでいた少年時代やクセのあるウェービーヘアなど、共通点を見出した2人の会話も大いに笑いを誘った。もちろん本も家で過ごす時間を有意義にしてくれる大切なアイテムになる。又吉が発案した「新しい地図」をテーマにした小説のあらすじを、自分なりに小説化しても面白そうだ。さらに、それをイメージした歌、アート……と、彼らがこれまでにくれた様々なエンタメをヒントに、今度は私たちが発信していくということもできそうだ。

 まだまだ先の見えない外出自粛モードの生活。だが、今こそユーモアを忘れず、「ありがとう」「がんばりましょう」を贈り合う日々を。ありがたいことに、そのヒントは彼らの長いキャリアにたくさん込められている。(佐藤結衣)

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