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成田凌が踏み出した新たな一歩 『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』劇場版にバトン繋ぐ

リアルサウンド

18/7/29(日) 14:20

 フライトドクターがドクターヘリに乗れない。そんなジレンマを抱えた医師・灰谷俊平(成田凌)の成長に前を向く勇気をもらった視聴者も多かったのではないだろうか。ドラマ版と映画版の橋渡しを担った『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』(フジテレビ系)が7月28日に放送された。同ドラマは2017年7月期に放送されたドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-THE THIRD SEASON』(以下、3rd season)の総集編に加え、作中では描かれていなかった部分を再度撮り下ろした特別編となる。7月27日に公開された映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』に繋がる空白の3ヶ月を描き、7月23日より5夜連続での放送がスタートしたスピンオフドラマ『コード・ブルー -もう一つの日常-』と合わせて描くことで、映画版での登場人物の背景をより強固なものとした。

 『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』で特に焦点が当たったのは、前述の通り、灰谷俊平である。灰谷は、ドクターヘリの着陸失敗の事故を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)となり、ドクターヘリに乗ると震えが止まらなくなってしまう。それによりしばらくドクターヘリから遠ざかりながら、精神科の医師・二宮栞(泉里香)の元でPTSDの治療に励むこととなった。事故の一件に加え、ヘリに乗れないことにさらに負い目を感じ、抜け出せない苦しみの中に落ちてしまった灰谷。眠るときは睡眠薬に頼り、業務中も不安が拭えず異様なほどに何度も確認作業をしてしまう灰谷に、他の医師や看護師も困惑する。そんな中で、同期であるフェローの横峯あかり(新木優子)は灰谷の力になりたいと影から寄り添うのであった。最初は灰谷のことを気にかける様子のなかった名取颯馬(有岡大貴)も、自身のキャリアの中で足りないと感じていた“思いやり”を持つことを学び、灰谷を気にかけるようになる。藍沢耕作(山下智久)や白石恵(新垣結衣)を筆頭にフェローを見守る先輩ドクターたち、同期フェローの支えもあり、灰谷が再び歩き出すまでの姿は映画へとバトンを繋ぐ大きな役割を果たす。

 同ドラマでは灰谷だけではなく、横峯、名取とそれぞれのフェローがかつて乗り越えてきたエピソードが少しずつ盛り込まれていく。さらに、その中で藤川一男(浅利陽介)の事故の様子を描き、映画版でフィーチャーされる登場人物や映画版での演出がより映えるような編集となっている。同ドラマの放送中に流れた映画版の劇中映像では、PTSDを乗り越えドクターヘリに乗れるようになった灰谷の姿を見て、安堵の表情で頷く白石の姿もあった。加えて、今回『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が伝えるテーマの一つに“想いを伝える”ということがある。映画版ではそれぞれの登場人物が抱える“想い”に着目し、それを“伝える”ところまでを重視した構成となっていた。しかし同ドラマではその“想い”に辿り着くまで心の動きを強く意識した編集となっていたように感じられる。特に顕著なのが、灰谷の一件を気にかける、横峯、名取、白石の姿である。本人への働きかけや言葉かけは少ないものの、こっそりカウンセリングルームで二宮に話を聞く横峯など、影から応援する気持ちの強さを感じずにはいられない展開となった。そして同ドラマの最後に起きた事件は、そのまま映画版へと繋がるようにしっかりバトンを渡し、映画への期待を感じさせる作りとなった。

 スピンオフドラマ『コード・ブルー -もう一つの日常-』、『コード・ブルー特別編 −もう一つの戦場−』と合わせて観ることで3rd seasonでは描ききれなかったフェローたちの成長が顕著となる。それを受け、映画版で彼らがどのように頼もしくなったのか、そしてフェローを見守る先輩ドクターたちのキャリアはどのようになるのか。彼らの決断を見届けて欲しい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
土曜プレミアム『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、安藤政信、椎名桔平
脚本:金沢達也、安達奈緒子
演出・プロデュース:野田悠介
協力プロデュース:増本淳、若松央樹
(c)フジテレビ

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