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庵野秀明の過去・現在・未来を紐解く圧巻の1500点! 『庵野秀明展』国立新美術館にて開催中

ぴあ

第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景

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総監督を務めた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『シン・ゴジラ』の大ヒットも記憶に新しい監督・プロデューサーの庵野秀明の原点とこれからを紐解く展覧会『庵野秀明展』が10月1日(金)に開幕。12月19日(日)まで国立新美術館で開催されている。展覧会の開幕に合わせて、開幕前日の9月30日(木)には『庵野秀明展』と庵野秀明が総監督を務める『シン・仮面ライダー』との合同記者会見が行われ、『シン・仮面ライダー』のキャストも発表された。

幼少期から現在までの軌跡を膨大な資料で辿る

1960年に山口県宇部市で生まれた庵野秀明は、幼少期より特撮映画やアニメーションに心を惹かれ、学生時代に自主映画を制作。1988年に『トップをねらえ!』で初監督を務めた後は数々のアニメ作品を手掛けるようになる。そして、1995年『新世紀エヴァンゲリオン』で世界中にブームを巻き起こし、現在までも第一線で制作を続けるクリエイターだ。

本展は庵野が影響を受けた1960年代以降のアニメや特撮作品や、彼が参加した作品などを、膨大な資料とともに紹介。庵野秀明とその作品を多角的な視点でたどっていく。

第1章「原点、或いは呪縛」展示風景より

第1章「原点、或いは呪縛」で紹介されるのは、庵野が幼少時から慣れ親しんでいたアニメや特撮の立体造形物や制作資料。『ウルトラマン』や『仮面ライダー』などのスーツやマスク、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』の原画など、それらだけでも展覧会が開催できるほどの貴重な資料が大量に展示されている。

第1章「原点、或いは呪縛」展示風景。『ウルトラマン』、『帰ってきたウルトラマン』のスーツや資料
第1章「原点、或いは呪縛」展示風景。『機動戦士ガンダム』資料

庵野は愛してやまない特撮、アニメを自分で制作しようと高校時代より8ミリフィルムで自主制作映像を制作しはじめる。第2章「夢中、或いは我儘」の冒頭では、庵野が中学、高校時代に庵野が描いていた油彩画を展示。エヴァシリーズで印象的なモチーフとして登場する電柱の描写がすでに見られることに注目したい。

第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。中学・高校時代の油彩画
第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。中学・高校時代の油彩画
第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。庵野秀明の実家に残っていた私物一式

大阪芸術大学に進学した庵野は、気の合う仲間たちとともに自主制作活動にさらにのめり込む。彼が制作した第20回日本SF大会(DAICON Ⅲ)のオープニングアニメや実写映画は高い評価を受け、プロのアニメーターとして『超時空要塞マクロス』や『風の谷のナウシカ』など、数々の作品に参画。また、1988年の『トップをねらえ!』を皮切りに数々の作品で監督も担当し、その評価はさらに高まっていく。

第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。DAICONⅢ オープニングアニメーション(1981年) 資料
第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。DAICON FILM版『帰ってきたウルトラマン』(1983年) 資料
第2章「夢中、或いは我儘」展示風景。『風の谷のナウシカ』(1984年)巨神兵登場シーンの資料

1995年に制作した『新世紀エヴァンゲリオン』は、庵野の評価を不動のものにした。第3章「挑戦、或いは逃避」では、TVシリーズから新劇場版4部作までの膨大な資料を展示。なかでも、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のために制作されたミニチュア模型は圧巻だ。スタッフは、このミニチュアを使って画中のコンテなどを制作していたという。特撮に思い入れのある庵野ならではの発想だろう。

第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景。TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』企画書
第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景
第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のためのミニチュア模型

第3章では、アニメと並行して庵野が取り組んだ実写作品の資料も展示。庵野にとって初の実写作品となった『ラブ&ポップ』(1988)や『式日』(2000)、『キューティーハニー』(2004)などを経て、2016年には『シン・ゴジラ』が大ヒットを記録。そして、第4章「憧憬、そして再生」では、公開を控える『シン・ウルトラマン』、『シン・仮面ライダー』の資料や小道具などが紹介されている。

第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景。(上)庵野秀明 シン・ゴジラ ラフイメージ (下)前田真宏 シン・ゴジラ コンセプトアート
第3章「挑戦、或いは逃避」展示風景。『式日』(2000)資料展示
第4章「憧憬、そして再生」展示風景。『シン・ウルトラマン』資料展示
展示の最後は、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、『シン・仮面ライダー』がお見送り

展覧会は、庵野が「僕らがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい」という思いで立ち上げたATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)の活動などを紹介する第5章「感謝、そして報恩」で締めくくられる。庵野秀明ファンだけでなく、すべての特撮・アニメファンが心ときめかす展示にあふれた展覧会。展示数が非常に膨大なため、半日程度の鑑賞時間を見込んで会場に足を運んでみよう。

池松壮亮と浜辺美波がみた『庵野秀明展』

開幕前日の9月30日(木)に行われた『庵野秀明展』と『シン・仮面ライダー』の合同記者会見。この日、主演の本郷猛を池松壮亮、ヒロインの緑川ルリ子を浜辺美波が演じることが発表され、サプライズで登壇。庵野秀明とともに会見に応じた。

仮面ライダーの生誕50周年を記念し制作される『シン・仮面ライダー』は、庵野秀明自らが脚本も担当した新作。展覧会にも、『シン・仮面ライダー』で登場予定のマスクのほか、50年前に使用されていた1号マスクなど「仮面ライダー」にまつわる品々も展示されている。

第4章「憧憬、そして再生」展示風景。『シン・仮面ライダー』資料展示

すでに展覧会会場も見て回ったという池松は「会見前に駆け足で見たのですが、展示されている点数が膨大で全く時間が足りませんでした。庵野さんの頭の中を覗いている感じ」と興奮気味。さらに「もう一度改めて訪れます」と再訪をアピールした。浜辺も「ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーがならぶ空間に圧倒されました。(シン・エヴァンゲリオンの)ミニチュアもあって楽しかったです。原画もたくさんあり、どうしたらこんな表現を思いつくんだろうと考えながら鑑賞しました」と語った。

庵野秀明

庵野は、「展示されているものは資料のほんの一部。いまが一番少なくて、これから残った資料を持ってくるのでどんどん増えていくはず。展覧会を初日に訪れた人は、後半にもう一度来ていただくと、その変化がわかるはず」と、展覧会のさらなる発展も示唆していた。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『庵野秀明展』
2021年10月1日(金)~12月19日(日)、国立新美術館にて開催
※事前予約制
https://www.annohideakiten.jp/

『シン・仮面ライダー』
2023年公開予定
脚本・監督:庵野秀明
©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」制作委員会

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