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『トップナイフ』永山絢斗、椎名桔平ら天才医師の心の傷 医者と患者の交流が見どころに

リアルサウンド

20/1/19(日) 12:10

 人は誰しもが傷を抱えている。体に、そして心に。そうしてそれは、傷を治す立場にいる医者たちも例外ではない。非常に重層的な構造で、患者と医者、あるいはその家族まで、医療に関わるすべての人間が抱える“傷”の正体に迫ろうとする『トップナイフ ー天才脳外科医の条件ー』(日本テレビ系)。骨太な群像劇の色が強まってきた第2話の放送では、医局に助けを求める2人の患者と黒岩(椎名桔平)のもとを訪ねる謎の女性の存在によって、脳神経外科医たちがひた隠しにしている心の傷が炙り出されていく。

参考:永山絢斗と濱田マリが心通わす場面写真はこちらから

 「本日、女難の相あり」。今出川部長(三浦友和)の目に入ったそんな占いが暗示するように、外からは3人の女性がやってきて、内でもこれまた3人の女性ーー深山(天海祐希)、幸子(広瀬アリス)、真凛(森田望智)が奮闘する第2話。

 10年前から、顔面にひどい痛みを感じる“三叉神経痛”を患いながらも、どこの病院に行ってもその原因を掴んでもらうことができなかった患者・桑原和子(濱田マリ)。彼女は孤独な痛みに耐えかねて、3度も自殺未遂に及んでしまう。そして搬送されてきた東都総合病院では、西郡(永山絢斗)が担当につくことに。この西郡が、はじめは自殺未遂と聞いて敬遠していた患者のその病気の正体に気づき、徐々に心を通わせていく姿が印象的だった。ある女性に電話をかけ、「あなたは痛みから逃げたの」と責められる場面もあった。手術中に手が震えだしてしまう姿は、人間味のなかったキャラクターにも、抱えている心の傷があるのだと気づかされる瞬間だ。

 一方もうひとりの天才脳外科医・黒岩のもとにもある女性(内田慈)の影が。6歳の息子を連れてきた彼女が言い放った「あんたの子どもだから」という言葉に果たして多義はあるのか。黒岩の女癖の悪さが、どのように心のパーソナルな部分を炙り出していくのかは、今後の注目ポイントだろう。ひとつ言えるのは、心の傷は普通にしているとハタからは見えないということだ。“フレゴリの錯覚”という、誰を見ても特定の人物だと思い込んでしまう病を抱えてしまった女性(松本若菜)にしても、誰にも気づかれずに、病だとも気づかず苦しんでいた。どれだけひどい痛みを感じていても、他人がその辛さに真に寄り添うことは叶わない。

 しかし、自分がもつ心の傷と照らし合わせて共感することができるのが、人間の特徴である。脳神経外科医はその心に寄り添い、痛みを取り除いてくれる存在。そして一方で医者は病気を治すプロでありつつ、彼らにも心のうちに癒えない傷があって当然である。その傷を治すのは、もしかしたら患者の存在なのかもしれないということ。そんな医者と患者の心の交流が、本作の見どころとなっていくことは間違いないだろう。

 第2話のラストには深山のもとにも娘と思われる少女が現れる。発言者は不明だったが、「誰かさんのせいで私の人生めちゃくちゃだよ!」と深山に向けられた言葉もあり、やはり彼女も心に傷を抱えている存在であるとわかる。病院内では“氷の女”“女帝”などと呼ばれ、過去にはさまざまな医者を辞めさせてきたことで恐れられる存在ではありながら、幸子をフォローしたり、病院が抱える問題には正義感強く立ち向かったり、人への思いやりを強く持っているように思われるのが、深山瑤子の現在の姿だ。その姿は過去の深山とは何かしら違うはずだ。過去に抱えた傷が、彼女にどう影響を及ぼしているのか。強い女性を体現しようとする彼女が抱える心の傷、その一転した“弱さ”を物語るストーリーは、本作の主軸になっていくことだろう。 (文=原航平)

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