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DISH//、快進撃予感させる新シングル『Starting Over』 新進気鋭の作家陣迎えて歌う“再スタート”

リアルサウンド

18/7/21(土) 10:00

参考:2018年7月23日付週間シングルランキング(2018年7月9日~2018年7月15日・ORICON NEWS)

 最新のオリコン週間シングルランキングによればKis-My-Ft2『LOVE』が週間売上175,655枚を記録して1位を獲得し、2位にはDISH//『Starting Over』、3位にナオト・インティライミ『ハイビスカス/しおり』が続く結果となった。

 特に2位のDISH//については、週間売上44,848枚を記録し前作『勝手にMY SOUL』(約26,000枚)を大幅に上回る初動を見せている。彼らはつい先日、これまでの楽曲をサブスクリプションサービスで一挙解禁したばかり。比較的容易に楽曲にアクセスができるようになったのにも関わらず、こうしてフィジカル売上げが落ちずに、むしろ大きく伸ばしている事実は注目すべきだ。新作『Starting Over』は通算12枚目となるシングルで、MBS/TBS系アニメ『ゾイドワイルド』のオープニングテーマとなっている。もちろんサブスク解禁が今作の売上げ向上の要因につながっているとは限らない。しかしこうした事例が共有されることで、二の足を踏みがちな日本の音楽業界が少しずつ変化していくのに期待したい。

(関連:DISH//、4人体制初ツアーで“不変”の誓い 北村匠海「これからも変わらず突き進んでいきたい」

■新進気鋭の作家陣と組み“再スタート”を歌ったシングル
 DISH//は4人組のダンスロックバンド。3月にベースの小林龍二が脱退し新体制となってから初のリリースである。「Starting Over」、つまり“再スタート”を意味する表題曲は、アップテンポで疾走感のある夏らしい爽やかなサウンド。そこからは、4人になってもなお健在な彼らの勢いを感じ取れる。また今回は、前作シングル曲「勝手にMY SOUL」に続く“新井弘毅×DISH//”の好タッグだ。

 デビュー当初は小倉しんこうによる作曲が多い印象であったが、徐々にさまざまな敏腕作曲家や有名なアーティストを迎え入れてコラボレーションを図ってきた。印象強いのが前山田健一が楽曲提供した「JK//」。前山田特有のハイテンション感とDISH//の元気いっぱいなイメージとが上手く融合した快作であった。そういったコラボを通じて、バラエティ豊かに己のイメージを更新し続けてきた。

 今作の編曲にはTomi Yoも共同で参加している。前々作『僕たちがやりました』収録のカップリング曲の「猫」(作詞作曲:あいみょん、編曲:Tomi Yo)以来となるTomi Yoと、ここ何枚かのシングルに関わっている新井弘毅とともに新進気鋭の作家陣と組み、DISH//の再スタートを歌った楽曲と言えそうだ。

■過去を振り返る冒頭~Aメロ
 冒頭の高速のドラミングからは彼らの歩むスピードの速さを、ピアノロックなサウンドには無邪気だった昔の自分を回顧する心象風景を、〈どんなこともできそうな気がしていた〉といった歌詞からは自分の無力さに痛感する様子が忠実に描かれる。疾走感のなかにどこか切なさのあるサウンドだ。

■シンプルで短いBメロ
 AメロやCメロ(サビ)と比べると非常に短いのが〈目を背けたくなったけど〉のワンフレーズのみのBメロ。このようにBメロをシンプルにしたことでどういった効果が生まれるか、については解釈の分かれるところだろう。一般的にサビに到達する直前にネガティブに振っておくことでサビでのカタルシスを増す効果があるが、その“振り”を最小限にとどめておくことで曲全体の印象を明るいままに保っておく効果はあるかもしれない。

■現在地を確認し、力強く未来を歌うCメロ
 鐘の音が祝福を演出する。全編にわたるストリングスの響きはどこか切ない。ボーカルが声色をここで少し荒げる。〈僕らは少しも強くないかもしれない〉〈何度でも前へ前へ 君と〉と、自分たちの無力さを痛感し、でも“君”とならまだ進んでいける、と力強く叫ぶ彼らの姿にはグループの現状が強く反映されているように思う。シンフォニックなアレンジを取り入れてボーカルは感情たっぷりに歌い上げる、BiSH「オーケストラ」以降のバンドサウンドである。

 ダンスロックバンドという形態においてベースの脱退は音楽性にどう影響するかというポイントについては、ほとんど影響はなかったと言ってよいだろう。あえて言えば、今までのDISH//作品と比べても全体を通してよりポップに、よりストレートに進化している点は、新体制・DISH//が示した新しい道筋かもしれない。単にバンド然としたサウンドではなく、「歌」そのものに重きが置かれた作りである。そして、彼らの明るいイメージにもうまく合致している感がある。

 10枚以上シングルを出してきた彼らだが、意外とこういった曲を歌ってこなかったのではないか。現在の好調ぶりを呼び寄せた“新井弘毅×DISH//”の組み合わせは、彼らにとって小倉しんこう以来となる黄金コンビと言えるかもしれない。彼らの今後の快進撃の予感を感じさせるリリースだ。(荻原梓)

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