家族を想うとき
19/12/13(金)
『家族を想うとき』 (C)Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2019/photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019
宅配の仕事を背景にした非雇用者の問題は、格差が広がる一方の日本でももちろん他人事ではありません。ケン・ローチ監督は、配管工として働いていた経歴を持つ俳優を主人公にして、家族の幸せのための労働が家族の時間を奪っていくという矛盾を、袋小路に追い込まれていくシーンを積み重ねて描いています。バス停で声をかけてくれる人の存在や、介護先の人と心を交わす瞬間は尊いものだけれど、誰かの善意や思いやり、家族の愛だけで乗り越えるには、もう問題はあまりにも大きすぎる。労働者に寄り添い続けてきたケン・ローチ監督の、「今、世界にあふれている悲痛な叫びを映画にしなければ」という切迫した思いが伝わってくるような痛烈な人間ドラマです。
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