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King & Prince『Mazy Night』カップリング4曲をクロスレビュー 歌とサウンドの充実した個性に迫る

リアルサウンド

20/6/12(金) 6:00

 6月10日にニューシングル『Mazy Night』をリリースしたKing & Prince。サウンド、MV、振り付けなど、あらゆる面において鮮烈な印象を与えたダンサブルな表題曲「Mazy Night」については、先日公開された『King & Prince、イメージを刷新する大胆でクールな「Mazy Night」の魅力 楽曲、ダンス、MVから徹底分析』(https://realsound.jp/2020/06/post-553086.html)を読んでいただきたいが、今回は充実したカップリング曲たちに注目したい。初回限定盤Aには「Love Paradox」、初回限定盤Bには「今君に伝えたいこと」、通常盤には「Full Time Lover」「ゴールデンアワー」と、パッケージごとに異なる楽曲が収録されており、すでにKing & Princeのライブに欠かせない存在となっている曲から、真っさらな新曲まで様々だ。そんなカップリング4曲の魅力を探るべく、4名のライターそれぞれの視点から、1曲ずつじっくりと紐解いていきたい。(編集部)

(関連:King & Prince『Mazy Night』徹底分析

青い恋心が滲む「Love Paradox」

 作詞作曲を担うMUTEKI DEAD SNAKE(作曲は児山啓介と共作)は、前シングル『koi-wazurai』収録の「君は、綺麗だ。」以来、2作目となるタッグ。軽快なブラスセクション、踊るようなギターのカッティング、場面に応じて役割を変化させるストリングスなど、サウンドはジャニーズらしく豪華で緻密。その編曲を手掛けたのは生田真心だ。長年アレンジャーとしてSexy Zoneにも関わってきた彼の遊び心が伝わってくる。

 一方で歌詞は、相手のことが好きなのにその逆の行動をとってしまう心理(曲中の表現によれば〈青い恋心〉)を、ポップで明るくまとめ上げている。〈不器用〉で〈素直になれない〉ある種の“未熟さ”を抱えた主人公像は、まだデビューして間もない若い彼らだからこそ活きる設定だ。〈君に近づきたいのに 距離は遠ざかるばかり/回り回って こんな日々を笑えるかな いつか〉というシンプルかつ爽やかな2サビのフレーズは、図らずもコロナ禍の状況を象徴するような一節でもある。ストレートに男女のほろ苦い恋の歌としても、あるいはアイドルとファンの関係の歌としても、そして2020年を生きる我々を明るく照らす歌としても聴くことができるだろう。(荻原梓)

歌唱の個性を活かした「今君に伝えたいこと」

 音楽ユニット、C&KのKEENが作詞作曲を担当した「今君に伝えたいこと」は、C&Kの真骨頂ともいえるミディアムバラードに仕上がっている。ピアノで奏でられるメロウなイントロは、ドラマチックな世界観を演出。聴く人を惹き付けたところで、髙橋海人の甘い歌声がグッと心を掴む。いつも側にいる女性に恋心を伝えることはできないーーそんな不器用な男性の悔しさを、Bメロを担当した永瀬廉が感情を込め見事に表現した。

 それぞれの魅力的な歌声が詰まったハーモニーを味わうことができるよう、サビの部分は伴奏を抑えめに。サビ終わりから2番にかけて、女性コーラスを入れることでより繊細な心情を表現している。2番の歌い出しは、優しい高音が特徴の神宮寺勇太。ハスキーボイスの平野紫耀と圧倒的な歌唱力を誇る岸優太が、迫りくる切なさを歌う。特に涙を誘うのが、後ろ向きだった歌詞が最後のサビで〈どうせ愛なんて/二度と思わないから〉という希望的な言葉に変わる瞬間。King & Princeらしい爽やかな要素を残しつつ、愁いを帯びた大人な一面を感じることができる。歌詞で描かれたストーリーが、まるで目に浮かぶような彼らの表現力に驚かされるラブソングだ。(苫とり子)

掛け合いを楽しめる「Full Time Lover」

 楽曲タイトルや歌詞の通り、まさにフルタイム(=四六時中)で意中の相手に“ゾッコン”だという弾ける恋心を歌ったご機嫌なラブソング。音楽ジャンルとしては、軽快かつキャッチーなバブルガムポップに分類されるだろうか。音の輪郭が徐々にくっきりとなるイントロのギターや、爽やかな風が吹き抜けるような中性的な歌声のハーモニーから、「What Makes You Beautiful」などで一世を風靡した、デビュー当時のOne Directionを思い浮かべる人もいるかもしれない。

 また、ライブ披露時を考えると〈I want you Monday, Tuesday……〉というサビのフレーズは、ファンとの一体感を高めるのに打ってつけだろう。この部分は客席からも大合唱が起きるに違いなく、それに対してメンバーが〈You’re my Full Time Lover〉と華麗に応えるシーンも今から鮮明に思い浮かんでしまう。

 さらに、この曲で特徴的なのが、要所に挟まれるラップパート。3rdシングル『君を待ってる』収録曲「Wake me up」に続き、神宮寺勇太がラップの“切り込み隊長”として先陣を切っている。しかし、他のメンバーもまた、2番以降でラップやファンキーなアドリブを披露していく。彼らのラップの“掛け合い”も聴きどころになっているので、誰がどのパートを歌っているのかも意識しながら楽しんでほしい。(一条皓太)

ファンとの繋がりを歌う「ゴールデンアワー」

 ファンにとって多くの思い出が詰まった名曲「ゴールデンアワー」が通常盤のカップリング曲として収録された。キャッチーなメロディも印象的な同曲は、2018年の1stコンサートツアー『King & Prince First Concert Tour 2018』の初日、8月10日横浜アリーナ公演にて初披露。メンバーの神宮寺勇太の発案で、6人とティアラ(King & Princeのファンの総称)の絆がテーマとなっており、以後2ndツアー『King & Prince CONCERT TOUR 2019』をはじめ、『ザ少年倶楽部』(NHK-BSプレミアム)などでも披露されている。

 注目したいのはKing & Princeの歩みとファンへの想いが綴られている歌詞。〈誰よりも大切な存在が/目の前にいるこの瞬間を祝おう〉〈素晴らしい景色を大切な君に見せたい〉など、メンバーからファンへの感謝と熱いメッセージが込められているのだ。“メンバーと気持ちを共有することができる”“歌詞に共感できる”と、一番好きな曲として同曲を挙げるティアラも多い。またコンサートでは、アリーナトロッコやスタンドトロッコに乗ったメンバーが客席のファンの近くまで行き、パフォーマンスする姿が披露されている。このことからもファンに常に寄り添っていたいというメッセージも感じることができ、メンバーとファンを繋ぐ曲としてコンサートを重ねるたびにファンの間に広く浸透している。満を持してのリリースとなる同曲を聴きながら、再びライブ会場で輝く彼らの姿を見られる日に想いを馳せたい。(北村由起)

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