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花澤香菜、早見沙織、上田麗奈……『鬼滅の刃』で重要キャラ担う女性声優たちの目覚ましい活躍

リアルサウンド

20/10/21(水) 6:00

 10月16日、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』がついに公開された。原作漫画も終了し、現在、物語としてはこれ以上の続きが作られていないなかで、それでもなお2020年を盛り上げ続けている『鬼滅の刃』。劇場版の公開3日間での興行収入は約46億円、動員数は342万493人を記録し、日本国内で公開された映画の歴代記録を塗り替え、まさしく大ヒットしている。

 その人気を支えたのは、関連グッズや主題歌、Netflixなどの配信サービスの影響もあるが、アニメ『鬼滅の刃』に出演した声優らが様々な活動を通して、多くの人に周知されてきたということも決して見過ごせない。

 先日、竈門禰豆子を演じた鬼頭明里をピックアップした記事も掲載されたが、今回はアニメ『鬼滅の刃』にて重要なキャラクターを演じる女性声優のうち、花澤香菜、早見沙織、上田麗奈の3人に目を向けてみようと思う。

花澤香菜(甘露寺蜜璃役)

 花澤香菜は日本国内外に住まうアニメファンはもちろんのこと、実は中国での人気も非常に高い。2012年頃、ネットユーザーを中心に中国でも広く知られるようになった花澤は、出演する多数のアニメ作品のヒットも手伝い、人気が急上昇。年越し番組にも2年連続で出演しており、中国語での歌やダンスも披露している。今年7月に声優の小野賢章との結婚が発表されると、ニュースなどで報じられ、その注目度は絶大だ。

 花澤は、天性ともいえようウィスパーボイスを武器にし、2009年には大ヒットアニメ『化物語』で千石撫子役を演じ、その声色の魅力を存分に示して見せた。当初は幼いがゆえにおぼつかなかった演技力も、年を経るごとに格段の進歩をみせ、2012年に演じた『PSYCHO-PASS サイコパス』での常守朱役で見せたクールかつ負けん気の強いヒロインや、『てーきゅう』の板東まりも役での関西弁でぶっとんだギャグキャラなども演じている。

 ウィスパーボイスがゆえに「か弱い」「クール」なキャラクターを演じていると想像されやすいが、力のある硬い声を発したり、アグレッシブでアクの強いキャラクターも演じられるよう、役の幅を徐々に広げてきた。その後も様々なヒロイン、サブヒロイン役を任され、今では女性声優界を代表する存在へと成長していった。

 また、2012年からはソロシンガーとしても活動。今年の年初に行われる予定だったツアーは新型コロナウイルスの影響もあり中止、代わりに『KANA HANAZAWA Acoustic Live 2020「かなめぐり2」オンラインライブ』が10月18日に開催されたばかりだ。

花澤香菜 『大丈夫』(Short Ver.)

 そんな彼女が『鬼滅の刃』において演じるのは、恋柱こと甘露寺蜜璃だ。甘露寺は、非常に女性らしい一面をもちながらも、その肉体は男性にも負けぬほどの剛力を誇っており、柔らかさと強さを併せ持った存在である。同じように「柔らかさと強さ」を併せ持った今の花澤が甘露寺を演じるというのは、演者とキャラクターを重ねてしまいそうになる。今後、もしアニメの続編が制作された場合には、どのような演技を見せてくれるのか、非常に気になるところだ。

早見沙織(胡蝶しのぶ役)

 甘露寺蜜璃よりも先にアニメ本編に登場し、不思議な佇まいで見るものを惹きつけるのが、蟲柱こと胡蝶しのぶ、そして彼女を演じてるのが早見沙織だ。2007年にデビューして以来、彼女も多くのヒロイン役を務めてきた。

 穏やかさと柔らかさが混ざり合った深い声色で、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の雪ノ下雪乃役のような、クールで落ち着いたキャラクターを演じることが比較的多い早見。さらに『賭ケグルイ』の蛇喰夢子役のような狂気さを持ったキャラクターをはじめ、映画『聲の形』で演じた西宮硝子役では先天性の聴覚障害を患い、発声を伴ったコミュニケーションがうまくできない女子高校生という非常に難しい役どころを演じるなど、高い演技力を持った声優として評価を高めてきた。

 2015年のアーティストデビューから5周年を迎えた今年には、ミニアルバム『シスターシティーズ』『GARDEN』の2枚をリリースしている。特に『GARDEN』では、5曲中4曲の作詞・作曲を早見が担当(ボーナストラックは除く)。編曲は富田ラボらに任せつつ、テンションや温度感が異なる5曲をそれぞれ歌い分け、歌唱力の高さも示している。ソウルミュージック〜シティポップ的なサウンドテクスチャーを保ってきた早見の音楽は、熱情を込める彼女の歌声によってより映えていくのだ。

早見沙織「garden」MUSIC VIDEO

 原作漫画を読んでいる方はご存知かと思うが、胡蝶しのぶの振る舞いには激しさと和やかな一面を行き来するような言動が散見される。時として抑えられない殺意を秘め、にこやかに笑って見せる彼女の二面性は、早見の演技とも相まってミステリアスな人物として表現されていた。胡蝶しのぶはその後のストーリーでも活躍する場面があるので、アニメ化を心待ちにしたい。

上田麗奈(栗花落カナヲ役)

 そんな胡蝶しのぶの継子であり、主人公の竈門炭治郎の同期でもある栗花落カナヲを演じるのが、上田麗奈だ。アニメ『てさぐれ! 部活もの』で園田萌舞子として出演した際には、合計18人の姉妹を一人でこなし、アニメファンに強い印象を残した。その他アニメでは『プリパラ』の黄木あじみ役、『SSSS.GRIDMAN』の新条アカネ役、ゲーム作品では『アイドルマスター ミリオンライブ!』で高坂海美役を演じるなど、声色も性格も異なるキャラクターを演じ分ける技術を持った若き女性声優だ。

 2016年にはミニアルバム『RefRain』を発表しソロアーティストデビュー。今年3月には2ndアルバム『Empathy』をリリースした。『Empathy』は、『RefRain』でも共同作業したTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのメンバーだけでなく、ORESAMA、田中秀和、広川恵一、加藤達也といったアニソンシーンで活躍するクリエイター以外にも、LUCKY TAPESのKai Takahashiと気鋭のソロシンガー、笹川真生も参加した作品だ。それまでに歌ってきたキャラクターソングとはちがい、落ち着いた楽曲が多く、彼女本来のクリアな声を楽しめる一作になっている。

上田麗奈「あまい夢」 MUSIC VIDEO

 当初、『鬼滅の刃』オーディションでは胡蝶しのぶや竈門禰豆子などを受けていたが、スタッフサイドからの指名によって栗花落カナヲを演じることになったと、本人は語っている。ストーリーの始まりこそ、言葉少なに、感情の抑揚が少ないカナヲの役は、見る人が違えばぶっきらぼうに見えたり、ひどく冷たく見える瞬間もあるだろう。原作完結までのアニメ化も期待されるなかで、後々のストーリー展開で変わっていく栗花落カナヲに、上田はどんな感情と表情を吹き込むのだろうか。

■草野虹
福島、いわき、ロックの育ち。『Belong Media』『MEETIA』や音楽ブログなど、様々な音楽サイトに書き手/投稿者として参加、現在はインディーミュージックサイトのindiegrabにインタビュアーとして参画中。
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