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『ニッポンノワール』最終回は賛否両論に 『3年A組』から一貫した武藤将吾のメッセージ

リアルサウンド

19/12/16(月) 11:00

 賀来賢人が主演を務めるドラマ『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』(日本テレビ系)の最終回が、12月15日に放送された。

参考:『ニッポンノワール』最終回まで残された数々の謎 賀来賢人の覚醒と黒幕の正体とは?

 事件の発端となった山小屋にて、ガスマスクを追い詰めた清春(賀来賢人)。「お前の正体暴いてやるよ」そう言って清春がマスクを外した先にいたのは、仮死状態から生き延びていた才門(井浦新)の姿だった。極秘プロジェクトには、清春が受けていた人格矯正肉体改造のほかに精神支配プログラム、つまりマインドコントロールがあることを才門は打ち明ける。

 そのプログラムは、「Look at Me!」というワードをスイッチに清春にも暗示としてかけられていた。そして、才門はガスマスクを被ったのは、2回だけ。ガスマスクの真犯人は別にいると話す。アルティメットプログラムを完成させる新薬と10億円を手にするため、山小屋に突入してきたのは、咲良(夏帆)と克喜(田野井健)を人質にした真犯人の名越(工藤阿須加)だった。

 決め台詞の「パーティーピーポー!」は自身が作ったキャラ。薫(広末涼子)、10億円強奪事件の強盗団4人、ニッポンノワールの中心人物である政明(大和田伸也)、ベルムズのリーダーで南武(北村一輝)の息子だった・陣内凪人(落合モトキ)……数々の殺害を行ってきた名越は本性を現す。その姿は至って冷静、しかし、薄気味悪い表情からは、どす黒いオーラ、狂気を放っている。肉体改造を受け、化け物のような姿となった清春と名越による肉弾戦。壮絶な戦いの末に、清春は勝利を手にする。それは清春が父親だと知った克喜の見ている前で。“警視庁のガン”とも呼ばれた欠陥だらけのチャーミングな男が、克喜のとっての父親、ヒーローになった瞬間だった。

 清春が自身に新薬を投与したのは、12月15日22時30分。最終回は現実の時刻とシンクロし展開していった。23時、新薬が適応しなければ1時間も持たずに死ぬことが明かされる。名越とのバトル後、清春は23時20分に「笑えねえ」というセリフを残し倒れることになるのだが……。

 ここで、注目したいのがTwitterに投稿された「【公式】MIND VOICE」アカウントによる清春と名越の戦いを映した映像だ。咲良は『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』に登場した魁皇高校の生徒に与えられたヒントから、インパクトのあるライブ配信という手段でニッポンノワールの正体を白日の下に晒すことを選んだ。ドラマでは真実と知った3年A組の生徒が拡散に協力しているが、実際のTwitterでも6000RTを超える反響を巻き起こしている。才門は、魁皇高校に立てこもった教師・柊一颯(菅田将暉)がネットに向かって必死に今の社会を訴えていたことに、段々と活力を呼び覚まされあがいてみるのも悪くないと生き伸びた理由を語っていた。

 そして、才門が清春に獲得させたかったのは、人間らしさ。名越の銃弾で絶命した才門、ほかにも本城(篠井英介)、喜志(栄信)、宮城(細田善彦)、清春は多くの死を見届けてきた。名越に清春が叫ぶ。「こんなクソみたいな世界でもな。最後の瞬間まで自分を信じて! 貫いて! 死にざまこそが生きざまだった!」。

 「お父さん!」と呼びかける克喜も、人体実験の呪縛を乗り越え、人間らしさを手に入れた人物。その姿に清春も背中を押されていた。

「知らねえことだらけで、知ってると思ってたことでさえ誰かに吹き込まれてんのかもしれねぇ。いつの間にか全部それを受け入れちまってる」
「俺たちは未完成。完璧な人間なんていない。誰でも過ちは犯す。間違いをなかったことにするんじゃない。抗うんだよ、自分の力で! あいつがそれを教えてくれた。今度は俺の番だ。自分次第でこの世界はいくらでも変えられる」

 清春の叫びは名越、その勇姿を見届けている克喜、咲良への言葉であるが、同時に我々視聴者に向けられたメッセージであるように思える。脚本家・武藤将吾による『3年A組』からリンクしたサーガとも言える壮大な物語。巧みな考察劇の末にあったのは、周りに流されることのない自分らしさで世界は変わるという、『3年A組』から一貫したメッセージだった。(渡辺彰浩)

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