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石田明と矢本悠馬が語り合う、“攻めと守りの生き方” 「攻守って本当に表裏一体」

リアルサウンド

18/10/27(土) 12:00

 片山まさゆきの麻雀漫画を実写化した映画『ノーマーク爆牌党』が、10月27日より劇場公開された。本作は、絶対王者に君臨する天才雀士・爆岡弾十郎に、雀士・鉄壁保が挑んでいく物語。リアルサウンド映画部では、爆岡を演じるお笑いコンビNON STYLEの石田明と、鉄壁役を務める矢本悠馬にインタビュー。互いの印象や、攻めと守りの生き方について話を聞いた。

【写真】劇中の石田明と矢本悠馬

■石田「僕はバラエティーも基本的に守備」

ーー自身と演じる役を比べて、共通する部分はありましたか?

石田明(以下、石田):僕は「麻雀界のカリスマ」と自ら豪語する破天荒な雀士で、終始カッコつけている役だったのですが、僕自身とは真逆でした。どちらかというと僕は鉄壁寄りの性格で。

矢本悠馬(以下、矢本):僕も自分とは真逆だなと思いました。僕が演じたのは、「アマチュア麻雀界のカリスマ」と言われている臆病者で、今どきの若い子みたいなキャラクターだったんですが、自分は爆岡側かなって。

ーーお互いに相手を「爆岡っぽいな」「鉄壁っぽいな」と思った部分はありましたか?

矢本:バラエティー番組での雰囲気を見ていると、石田さんが鉄壁タイプの人なんだろうなとは思っていました。石田さんがデリヘルを呼んだけど、人見知りをしすぎて、ピンポンされても出られなかったという話が印象的で(笑)。

石田:よく知ってるな(笑)。先輩に「お前はほんま女遊びせえへんから、一回デリヘル呼べ」って言われて、デリヘルを呼んだときに、緊張しすぎて、居留守したのですが、それでもずっとピンポンを鳴らされるから、ドアの下から2万円出して帰ってもらったことがあったんです。

矢本:そのイメージがあったから鉄壁寄りなのかなと。だから爆岡をどう演じるのかは楽しみにしていました。

石田:僕はバラエティーも基本的に守備。撮影中、誰よりも台本読んでるの知らんかった? コソコソ(笑)。

矢本:マジっすか? 僕、自分でずっと携帯で読んでました。

石田:僕はもう、コソコソ色んなところに台本隠して見てた。 

矢本:それは知らなかったです(笑)。

ーー石田さんは矢本さんが爆岡に似ているなと感じる部分はありました?

石田:堂々としているところですね。

矢本:それはよく言われますね。「大御所」とか「先生」と呼ばれます(笑)。

石田:ブレがないんですよ。役を演じているときも、前室でみんなといるときも、彼はどっしりとしているんです。自然と真ん中にいる感じが、嫌みもなくて。

■矢本「可愛い性格の欠片も持っていない」

ーー初めて共演して、お互いのイメージに変化はありましたか?

矢本:もともとのイメージとそれほど変わりませんでしたけど、もっと静かな人なのかなとは思っていました。お会いしてからは、クラスのムードメーカー的な人という印象を受けました。幼い頃から“お笑い脳”を持っている人なんだろうなと。

石田:僕、割と静かと思われがちなのですが、井上(裕介)がいると静かになるんです。中学、高校が井上と一緒で、僕はすごく静かだったんですよ。井上が全部俺のパワーを吸収する生き物だから(笑)、井上がいなかったら明るいんです。井上と一緒にいたら、あんま喋りたくならなくて。

矢本:それは井上さんに見られたくない部分があるからってことですか?

石田:いや、井上はとりあえず喋りたい奴だから、そういう人をよく見ていると「こんなん嫌やな~」って思うようになってきて、ずっと引いて見ている。井上がいなくなったらやっと自分のペースで喋れるんです。

矢本:すごく元気な人だと思いましたよ。

石田:矢本くんは、見てるまんまだなと思います。けど、やや男気強めかな。

矢本:あ~そうっすね、後輩とか共演者によく言われます。全く男気っぽいこともしていないし、出しているつもりもないんですけどね。

石田:普通の会話をしていても、男らしい部分が垣間見えるんですよね。今どきの若い子に少ない感じの、どちらかというと「ついて来いタイプ」やと思います。

矢本:思ってることはバサッと言っちゃいますね(笑)。ファンの方々には、繊細で可愛い性格だと思われているかもしれないけど、僕、可愛い性格の欠片も持っていないですよ(笑)。

ーー矢本さんは映画『ちはやふる』の「肉まんくん」やNHK連続テレビ小説『半分、青い。』の「ブッチャー」など明るい役柄を演じることが最近は多かったと思うのですが、鉄壁のような、うじうじしているような役は、どう意識して演じましたか?

矢本:明るい役は表現することが多いので、足し算の芝居が多いんですよね。アイデアを出して、どんどん足して演じることで、現場で反応がすぐ返ってくるので、満足感だったり、達成感は感じやすくて。けど、静かな役は「今、ちゃんと芝居できてるのかな?」と不安になることの方が多いかもしれないです。表情をあまり変えずに、お客さんに想像を委ねている芝居が増えていくので、今回はどうやって感情を操作すれば、そういう表現ができるようになるのか、挑戦することができて楽しかったです。

■矢本「攻守って本当に表裏一体」

ーー今回の『ノーマーク爆牌党』を含め、『ちはやふる』や『賭ケグルイ』(MBS・TBS)など、競技系の作品への出演も多い印象です。

矢本:「人生を懸ける」とまで言ったら大げさかもしれないけど、試合に勝つために向かって行くことには、ロマンがありますよね。鉄壁も爆岡も自分が好きな麻雀で負けることを許さないし、負けたら「もう俺、何のために生きいてるんだ」くらい人生を懸けているから。自分の価値観が如実に出るところもそうですし、練習してきたものやセンスも全部出てしまうから、勝負ものは面白いと思います。

石田:一つのことにそれだけ本気になっているのは、人間として魅力的だし、そういう人たちを傍から見られるのが、こういう映画の素晴らしさだよね。

矢本:『M-1』も面白いだけじゃないですよね、感じるものがあります。芸人さんの全てがそこに掛かっているんだなと思うと、見ていて泣きそうになるときがよくあって。そういうのがあるから勝負には目を奪われるし、人を狂わせるくらい集中させてしまう何かがあるんでしょうね。

ーー石田さんは、お笑い芸人とは別に芝居というものをどのような意識でやっているのでしょうか?

石田:もともとお芝居は好きでよく観に行きますし、脚本や演出もやらせていただくこともあるので、芝居をしている人に対してのリスペクトは強いです。映像で見ることは簡単なんですけど、一緒に現場にいて、現場で感じたものが映像でどう映るのか、がそうやって二度楽しめる部分だったり、それが自分にとっていい経験になるなと思ったりするので参加しています。

ーー爆岡と鉄壁の攻めと守りの生き方というのも、作品のテーマとして描かれていますが、お2人はどう考えますか?

矢本:どうですか? 守りの石田さん。

石田:自分の人生を否定するわけではないけれど、守りすぎて勝ち損ねたこともたくさんあるので、だからこそ爆岡というキャラに憧れる部分もありますね。けれど、守ってきたからこそ今もあるし。だからこそ思うのが、「あ、結局こいつら同じとこ見てんねんな」と。行き先は全く一緒なので、そこに近道で行こうとしているか、遠回りしてでも行こうとしているかの違いなのかなと思います。

矢本:アプローチの仕方が異なるだけで、攻守って本当に表裏一体だなと気づかされる作品でしたね。

石田:これから10年後、鉄壁の方が強いかもしれないもんね。

矢本:僕は爆岡に近い性格と言いましたが、僕の「攻め」は結構「守り」だなとも思っていて。普段の自分が、どっしりしていたり、はっきりしたことを言ったりするのも、攻めているようで守備表現だったりするんです。爆岡と鉄壁も、それぞれ別々の形で「攻め」と「守り」を繰り出していると思うので、その違いなども楽しんで観てもらえたらいいなと思います。

(大和田茉椰)

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