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西川進、松田”FIRE”卓己、かどしゅんたろう……引っ張りだこの凄腕サポートミュージシャン5選

リアルサウンド

14/5/26(月) 8:00

 サポートミュージシャンと言えば、多くのアーティストを支え、様々なジャンルの楽曲に適応していかなければいけない。テクニックはもちろん、その順応性も問われるだろう。音楽知識だって必要だ。だが、昨今の日本の音楽シーンではそれ以上にセンスや感性が問われる場合も多くなってきている。個性的なアーティストなら、個性の強いプレイヤーがいたほうが面白くなるのかもしれない。パンクな楽曲であるのなら、器用なプレイヤーにパンクっぽく弾いてもらうよりも、本物のパンクバンドに頼むほうがそれらしくなる。専門プレイヤーとしてのスタジオミュージシャンではなく、どこそこのバンドのギターが誰々のサポートをやるという形が増えてきているのも現状だ。また、プレイのみならずそのセンスからプロデュースやアレンジ、コンポーザーとして活躍するミュージシャンも多い。

 今回はアーティストを支えつつも、それに負けない、従来のスタジオミュージシャンのイメージを覆すような個性的なサポートミュージシャンを紹介していく。

感情直結型ギタリスト・西川進

椎名林檎 – ギブス*PVには出演していません。

 個性的なサポートミュージシャンという道を切り開いたのはこのギタリストの影響が大きいだろう。マッシュルームカットの感情直結型ギタリスト。

 1986年に自身のバンドでデビュー。サポートワークとして名を馳せたのは椎名林檎の作品だろう。『無罪モラトリアム』『勝訴ストリップ』の多くの楽曲でギターを弾いており、「ギブス」で聴けるような豪快なファズギターは彼女の楽曲におけるサウンドイメージを作り上げた大きな要素である。以降、矢井田瞳、阿部真央、小南泰葉…「オルタナティブロックの女性シンガーソングライターと言えば、すすむんギター」というほどの確固たる地位を築いている。そんな強烈で個性丸出しのプレイが印象的だが、いきものがかりやアンジェラ・アキ、はたまた井上陽水から堂本剛まで上げればあげるほどその幅広さに驚くばかりだ。

 ギタリストとしてのみならず、Buono!、Syrup16g、LM.Cなど、アイドルからJ-Rock、ヴィジュアル系までのプロデュースワークも多岐に渡る。また『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門ギターの中の人であり、supercellを始め、アニメや動画サイト方面でも人気の、まさに現在の日本の音楽シーンで最も忙しいギタリストである。

西川 進「ココロに麻酔」Studio Trip Ver. with DJ cool-k & VJ you!!

 思いきりネックを立てたギターの構えが独特で、1曲でピックをダメにする強烈なピッキングはライブでピックの削りかすが舞っているのを確認出来るほどだ。

 また、若手ミュージシャン/プレイヤーの育成にも力を入れており、自身の会社で様々なサポートミュージシャンの斡旋や、Skypeを使った一般向けのギタースクールも行なっている。

ワイルドセクシーベーシスト・松田”FIRE”卓己

SUGIZO / DO-FUNK-DANCE (Official)

 アースシェイカーのthe MARCY BANDや、KERA率いるザ・シンセサイザーズなど、様々なジャンルのバンドに参加しながら、矢井田瞳や絢香、安室奈美恵、秦基博、そしてSUGIZO、MORRIE (Creature Creature)など、ジャンル問わず大忙しのベーシスト。

 ロサンゼルスのM.I.仕込みの音楽素養、野性的でうねるグルーヴ、芸術的なテクニカルプレイはワイルドさ漂う風貌と相俟って色んな意味で日本人離れしている。

Canon Rock -JerryC Version-(松田”FIRE”卓己 on Bass)

魅せられてしまうドラマー・かどしゅんたろう

堂珍嘉邦 – Reload [Live at Zepp DiverCity TOKYO]

 MR.ORANGEなどのバンドを経て、本格的なセッションドラマーとしての道を歩む。平野綾、水樹奈々を始めとする声優アーティスト、TAKUYA(ex.JUDY AND MARY)、森重樹一らのロックアーティスト、はたまたデトロイト・メタル・シティ、BABYMETALにまで参加し、その器用さと順応性、そしてなによりも卓越したテクニックに定評がある。

 大きく振りかぶったキレのあるショット、歌うドラミング、思わず見とれるド派手なプレイで、サポートながらも堂珍嘉邦、藤澤ノリマサなど色んなアーティストファンの中に“かどしゅんファン”が多く存在している。先頃、バロックのサポートとして、ベース・TOKIEとともに参加が発表されたが、解散前のバロック(〜kannivalism)を支えたのは、かどしゅんのドラムだった。

野生のベーシスト獣犬・Ju-Ken

VAMPS – AHEAD

 長身で奇抜な髪形と長い顎髭など、そして何よりもその激しいステージングが、サポートなのにメンバーより目立っていることで有名なベーシストである。

 hide with Spread BeaverのDIEバンド、アリキックやKIYOSHIバンド、そしてnitro(food)を経て、Oblivion Dustにサポート参加。以来ギタリストK.A.Zとの親交は深く、Spin Aqua、そしてVAMPSでは正式メンバーと言っても過言ではない存在になっている。

 派手なルックスとアクションに目が行きがちであり、GACKTや布袋寅泰などロック色の強いアーティストに好まれる印象が強いが、歌を支えるベースとして堅実的なプレイヤーとしても定評が高く、福山雅治や中島美嘉など、その幅は多岐に渡っている。

轟音で繊細なギタリスト・名越由貴夫

Chara『タイムマシーン』*PVには出演してません

 15年ぶりにまさかの活動再開を遂げるオルタナ・ジャンク・ノイズ・ハードコアバンド、Co/SS/gZ(COPASS GRINDERZ/コーパス・ グラインダーズ)のギタリスト。

 その強烈すぎたコアな音楽性とは到底結びつかなかった、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル(1996年)』のYEN TOWN BANDへの参加で一躍脚光を浴びる。以後、CHARAとの関わりが深く、彼女の代表曲である「タイムマシーン」は名越とコーパス時代の盟友・吉村秀樹を含めた3人の共作である。

 コーパスはベースレスのトリプルギターという特異な編成で、名越はオクターバーやワーミーペダルを使い、ギターの音域をオクターブ下げるベースのような役割であった。そのため、特徴的なオブリガードや効果的なエフェクトを使用した繊細なフレーズを得意とする。それはCHARAを始め、UAやSalyuなど、音数の少ない儚げな女性シンガーのサポートワークで聴くことが出来る。

 長い髪に隠れたミステリアスな容姿と、ステージアクションの少ない寡黙なギタリストの印象が強いが、近年長渕剛のサポートメンバーに起用されたことにより、らしからぬ?アグレッシブな姿を見せている。

長渕剛 – SUCCESS (「ARENA TOUR 2010-2011 TRY AGAIN」より)

 矢沢永吉がメンバーオーディションで、若手プレイヤーを集めたバンドを結成したことが話題になったが、今回紹介した中でも、長渕剛が名越由貴夫を起用したりと、大御所アーティストたちが個性を求めている動きが非常に興味深いところである。

 ふとクレジットをみたときに、自分の好きなアーティストに同じギタリストが参加していることに気が付くときがある。ソロアーティストなのにやたら耳につくギターが聴こえたり、たまたまテレビの歌番組で見かけたドラマーが気になったりすることもあるはずだ。サポートミュージシャンから繋ぐ音楽シーン、そうした経緯で新たな音楽に出会うのも面白いだろう。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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