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SEKAI NO OWARI、最新作『Lip』『Eye』チャートイン 相次ぐ2枚組アルバムリリースを考える

リアルサウンド

19/3/9(土) 8:00

参考:2019年3月11日付週間アルバムランキング(2019年2月25日~2019年3月3日・ORICON NEWS)

 2019年3月11日付のオリコン週間アルバムランキングではSEKAI NO OWARIの4年ぶりとなる2枚のアルバム『Lip』と『Eye』がそれぞれ1位と2位を獲得。7万枚台なかばを売り上げている。そして3位にはヒプノシスマイクの最新リリースが登場した。6.3万枚とSEKAI NO OWARIに肉薄する売り上げは、さすが最大の「覇権コンテンツ」といったところ。ほか、K-POPのボーイズグループ勢に並び、SUPER★DRAGONやDREAM MAKERといった日本の男性グループが存在感を見せている。発売3週目となるONE OK ROCKやあいみょんがどこまでトップ10を維持するかも今後気になるところ。

(関連:SEKAI NO OWARI、平手友梨奈出演MV撮影振り返る「実際の月をバックに踊っていただいた」

 さて、今回ピックアップするのはSEKAI NO OWARIの最新作。筆者はすでに当サイトへレビューを寄稿しているが、改めてまとめれば、4年間シングルやコラボレーションといったかたちで築いてきたバンドとしての成長がサウンドに反映された意欲作だ。ぜひその真価は実際にアルバムを聴いて確かめてほしいところだが、残念なことにサブスクリプションで解禁されていない。先駆けて過去のカタログをすべて解禁し、Spotify限定のスタジオライブ音源『Spotify Sessions』もリリース、先行曲の配信も行っていたため、てっきり同時解禁されるものと思っていただけに少し拍子抜けしてしまった。彼らを追いかけてきたファンだけではなく、もっとライトなリスナーにこそアピールするところのある内容だけに、ちょっともったいないように思う。未聴の方は、MVが公開されている「スターゲイザー」「Food」「LOVE SONG」などをチェックしてほしい。

 売り上げベースで見ると、ポップサイドと銘打たれた『Lip』のほうが2,000枚ほど多く売れているようだが、どちらが優勢と言い切るほどの差ではない。内容の点から言えば、『Lip』はややメロディアスでとげが少ないことは確かで、辛辣な内容の詞が多く登場し、激しいダンスサウンドが次から次へとやってくる『Eye』はダークに感じられる。とはいえ、だからこそ終盤の「すべてが壊れた夜に」やラストの「スターゲイザー」が輝く、ポジティブさも持っている。当然ながら「ダーク/ポップが好きだから」と片方だけ聴けばいい、と単純には言い切れない、悩ましい2枚だ。

 話変わって3月7日のこと、サカナクションが6年ぶりとなるオリジナルアルバム『834.194』を4月24日にリリースする旨を発表した。SEKAI NO OWARIと同じく、というか彼らを凌ぐブランクを経てのアルバムで、2枚組の大ボリュームになることも共通している。4月にリリースを控えたAimerの約2年半ぶりとなるオリジナルアルバムも『Sun Dance』と『Penny Rain』の2枚にわかれることがすでに発表されている。

 ミュージシャンのクリエイティビティが1枚のアルバムという単位に収まらない、ということは歓迎すべきことだ。一方で、CDというパッケージのあり方や、そこに由来するアルバムにまつわる固定概念が、ミュージシャンのやりたいことと齟齬をきたしつつあるしるしのようにも感じられる。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが2018年作『ホームタウン』でとった「フルアルバム+EP」という変則的なリリース形態も、ユニークな試みである一方、CDの融通のきかなさへの抵抗のようでもあった。

 SEKAI NO OWARIのリリースからはじまり、リスナーの利便性、幅広いリーチ、ミュージシャンのクリエイティビティに対する影響など、サブスクリプションサービスにまつわる考えごとは相変わらず止まらない。(imdkm)

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