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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

劇団桟敷童子『獣唄』

村井國夫を迎えて桟敷童子が超悲劇『獣唄』を上演

ぴあ

19/12/3(火) 0:00

ダイナミックな芝居づくりで観客を圧倒する劇団桟敷童子の新作『獣唄』が、本日12月3日より開幕する。

桟敷童子の舞台の醍醐味を、言葉ひとつで言い切るのは難しい。視界全体をみっちりと埋め尽くす、壮大な舞台セットの上を、縦横無尽に動き回る役者たち。観る者の気持ちをむんずとつかみ、ぐるんぐるんと振り回す物語。感情全開でぶつかり合う熱演につられ、気づけば涙腺も全開になって、幕が下りると半ば呆然としながら、観客たちはふらふらと立ち上がる。

根底に流れるのは、失われゆくものへの悔恨と人間の生命力だ。過ぎ去った、幸福だった時代を遠く眺めながら、登場人物たちは今日を生きる。流れる涙が頬を温める。その温もりで、明日を生きる。

今年で20周年を迎える彼らのモットーは「劇場を訪れるすべての人々に見え、そしてすべての人々の心に存在すること」。抽象的なセリフや描写で、ふんわりと着地点をぼやかすようなことはしない。徹底的に劇空間にこだわり、一週間から半月ほどの時間を費やして、劇団員が舞台セットを作る。今回も、かつて倉庫だった大きなスタジオを、別世界へと作り変えた。

“超悲劇”と銘打つ物語の舞台は昭和初期、戦争の影が忍びよる貧しき山村。高価な珍種の蘭の発見に、村人たちは望みを託す。唯一の蘭採取人である繁蔵には、絶縁状態にある3人の娘たちがいた。しかし長女が父と同じ道を選び、止まっていた父娘の時間が動きだす……。

繁蔵を演じるのは、村井國夫。百戦錬磨の大ベテランが、襲い来る悲劇を打ち砕こうと立ち上がる父親像を演じる。せっかく演劇を観るのなら、劇世界に心身まるごと没頭したいあなたに贈りたい一本だ。東京・すみだパークスタジオ倉にて12月15日(日)まで。

文:小川志津子

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