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もしも爬虫類が少女になったら? 『爬虫類ちゃんは懐かない』擬人化で伝える爬虫類の生態

リアルサウンド

20/5/25(月) 8:00

 爬虫類は、人が日常生活の中で出会うことが多い生物ではない。そのため、懐かないのは当然だろう。集英社が運営している漫画アプリ『ジャンプ+』で連載されている『爬虫類ちゃんは懐かない』は、人の身体を得たものの“懐かない”トカゲたちと、飼い主である研究者との日々を描いた異種交流ストーリーである。

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■要望を通すために言葉を利用

 近年、動物や物を擬人化した作品は増えており、『けものフレンズ』や『刀剣乱舞』といった作品が人気を集めている。先日紹介した『東京ミュウミュウ オーレ!』も、動物の遺伝子を取り込んだ人間が、耳や尻尾といった部位を変化させ、動物固有の能力と特徴を得るというストーリーであるため、動物の擬人化を取り扱った作品の一種と言えるだろう。(参考:『東京ミュウミュウ オーレ!』はオリジナルからどう進化した? 青年が主人公になった新連載の魅力)

 『爬虫類ちゃんは懐かない』に登場するのは、ナンシーと名付けられた普通のヤモリの一種であるレオパードゲッコーと、ミシェルと名付けられた同じくヤモリの一種、ニシアフリカトカゲモドキなど。体長や尻尾、模様などはそのままに、身体と顔のみが人間のように変化した彼女たちは、飼い主である葉中が言葉を教え込んだことにより、会話をするようになった。

 そんなナンシーたちは、可愛らしく変化した見た目に反して性格はなかなかにきつい印象を持たせる。初めて発した言葉は、「お前さー まじこれ幼女監禁だからな」である。一匹ぼっちのナンシーが寂しそうだったために、共に飼育するようになったミシェルも、第一印象こそ素直で愛らしかったが、実際は葉中が言うことを聞くように猫を被っていただけだった。ケースの中で飼育されていたナンシーとミシェルは、見た目は人間に近くなったものの爬虫類としての自意識が強く、人間である葉中に要望を通すために言葉を利用する。そんな彼女たちの態度に困惑させられながらも、快適に暮らせるように工夫を凝らしていく葉中。変わらぬ愛を注ぎ続ける葉中の姿を通して、いつの間にか爬虫類の生態に魅力を感じるようになるのが本作の面白さだ。

 「懐く」を国語辞典で調べると、「慣れ親しむ。慣れて付き従う」と書かれている。なるほど、この作品の爬虫類ちゃんたちは、葉中に付き従ってはいない。しかし、ナンシーもミシェルもストーリーが進むにつれて、葉中の心配をしたり、相談に乗ったりと、対等の立場で接するようになっていく。ツンデレキャラクターにしてはツンの割合が高いようにも思えるが、彼女たちは葉中が注ぎ続ける愛に応えるようになったのである。爬虫類が懐くことはなくとも、懸命に世話をすることには意味があると感じさせてくれる作品だ。

 動物を擬人化することで、その生態をより身近に感じられるのがこの手の作品の魅力である。『東京ミュウミュウ オーレ!』では、イリオモテヤマネコやピンクイルカなどといった絶滅危惧種の動物と男子高校生が融合したことで、一般的にはあまり知られていない、珍しい動物への興味を促していた。『爬虫類ちゃんは懐かない』でも同様に、爬虫類をよく知らない読者でも親しみを持てるよう可愛らしい少女の姿で描かれている。葉中に注文を付ける台詞には、爬虫類が何を食べるのか、どのような環境を好むのかといった情報がふんだんに盛り込まれている。そのため、読み進めていくうちに爬虫類に対する苦手意識は薄れ、知的好奇心が刺激されていることに気づくのである。

■誉田優
フリーライター・記者。ドラえもんと共に育った生粋の漫画好き。

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