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Perfume、「Challenger」MV完成までの軌跡 11歳小学生の“挑戦”に対する思いが映像に

リアルサウンド

20/4/2(木) 12:00

 Perfumeの楽曲「Challenger」のミュージックビデオ企画案を募集する『Perfume “Challenger” MUSIC VIDEO PLAN CONTEST』で、11歳のHirotoさんによる企画『つながり~過去を超え・今を生き・未来を創る~無限の可能性を秘めた僕らはチャレンジャー』がグランプリを受賞した。

(関連:Perfume「Challenger」MV完成までの軌跡

 「Challenger」は、昨年9月にリリースされたベストアルバム『Perfume The Best “P Cubed”』の1曲目に収録された楽曲である。実は、この曲のオリジナルは今から16年前に作られており、当時Perfumeのプロデュースを打診された中田ヤスタカが、彼女たちのマネージャーに“参考曲”として聴かせたことが、現在に至るタッグの始まりだったという。そのオリジナル曲をPerfumeの“今”に書き換えリアレンジした「Challenger」は、ヤスタカとPerfumeが出会うきっかけになった曲であると同時に、これからのPerfumeにとっても大切な曲。そのMVを「皆さんと一緒に創りたい」との想いから、本コンテストはスタートした。

 「私たちは、楽曲を聴いた(MVの)監督から出てくる感想や、そこから浮かぶアイデアを本当に楽しみにしています」と、本コンテストの概要を発表するビデオの中で、あ~ちゃんは言う。

 「私たちの作品を観たり聴いたりして、このチームに入りたいという夢や憧れを持ってくれている皆さん、これからの夢でいっぱいのキラキラとした皆さんに、是非新曲を聴いて想像してほしい。そのアイデアを、私たちを通して形にしてほしい」(あ~ちゃん)

 また、かしゆかは本コンテストについて「(「Challenger」は)何か新しいことにチャレンジする人を応援したい気持ちが詰まった曲なので、ぴったりの企画」とコメント。参加資格についてはのっちが、「全員です! 映像に関わったことがあってもなくてもみんな大丈夫。もちろん年齢性別問いません。どんな企画でも構いません。皆さんの想いさえあればそれを込めてどしどし応募してきてください」と呼びかけると、「5歳の子でも、60歳の大人でもいいというわけですよね?」とかしゆかが付け加えた。

 昨年9月21日から応募が始まると、世界各国から実に1,000組以上の応募があったという。それをメンバーはもちろん、映像監督の関和亮やPerfume制作スタッフが選考。最終プレゼンテーションには13組の“チャレンジャー”が残った。本コンテストの特設サイトへ行くと、その全ての企画内容を見ることができる。YouTubeを使って解説するものや、絵コンテにカット割まで細かく作り込んだもの、見どころをQ&A方式でまとめたものなどフォーマットは様々で、どれもチャレンジャーたちの並々ならぬ熱意を感じさせる。

 個人的には、ヤスタカの自宅レコーディングスタジオに設置された電話ボックスのような録音ブースを“キューブ”に見立て、そのドアがZepp、武道館、コーチェラへと無限に世界が広がっていく“どこでもドア”になっているという、カワバタヒロノリさんが企画した『チャレンジャーレコーディングボックス(通称:どこでもボックスピーキューブド)』が印象に残った。

 そんな中からグランプリに選ばれたのが、Hirotoさんによる『つながり~過去を超え・今を生き・未来を創る~無限の可能性を秘めた僕らはチャレンジャー』だ。最終プレゼンテーションには父親も同行していたが、企画内容をパネルでまとめ、審査員席に座るメンバー3人、関監督、Perfumeの振付を手がける演出振付家・MIKIKOの前で、物怖じすることなくプレゼンする様子は圧巻だった。

 実際、グランプリの選考は満場一致で決まったという。「『これを撮りたいんです』という強い想い、私たちへの愛が伝わってきた」と、発表動画の中であ~ちゃんが振り返ると、「こっちの心を揺さぶるような温度を感じる言葉だった」とかしゆかも同意する。現場の様子についてのっちは、「本当にHirotoくんから出てきた言葉だったし、お父さんも『私の息子がこんなに素晴らしい表現をするなんて』と驚いていた」と明かした。

「もう何度も何度も自分の中で考えて、一人で考えて、いっぱいいっぱい書いて、彼の中から出てきたものだから、本当に心を揺さぶられて、みんな大泣きでした(笑)」(あ~ちゃん)

 最終プレゼンテーションに立ったHirotoさんは、MVのアイデアについて“2つのつながり”をテーマにしたと話す。

「一つは、『人と人とのつながり』で、もう一つは過去・現在・未来という『時間のつながり』。この2つのつながりがあるから、僕たちは色んなことにチャレンジしていけるのだと思います」(Hirotoさん)

 また、曲のタイトルである「挑戦」については「大きな夢に向かっていくこと、高い壁を越えようとすること、新しい場所にたどり着くために闇の中に突き進むことも『挑戦』です。でも、そんな大きなことだけが『挑戦』ではないと僕は思います。嫌なことがあった日は、次の日のことを考えただけでため息が出る時もあります。これは子供でも大人でも同じだと思います。それでもみんな毎日頑張っていると思うと、1日1日が『挑戦』の連続で、全ての人がチャレンジャーなのだと思います」と語った。

 そんなHirotoさんのアイデアを基に、関監督によって完成したのが「Challenger」のMVだ。オープニングでは、手足を鎖で縛られた3人が映し出される。Hirotoさんによればこれは、“過去”に縛られている状態を表現している。その鎖から解き放たれた3人は、“辛かったり、苦しかったりした過去から解き放たれ、未来に一歩を踏み出したチャレンジャーたち”となる。映像の中に登場する数々のキューブは、“人”や“時間”を表したもの。

「縁があれば自分のキューブとぴったり合うキューブに出会うことができます。そしてその出会いによって何倍もの力が生まれ、未来への道が広がっていきます」(Hirotoさん)

 途中、キューブの連なりによってできた別々の道を3人が歩くシーンがあるが、それについてHirotoさんは、「誰もが違う人生を生きていて、違う場所で、それぞれのことに挑戦し続けていること」を表しているという。

「そして3人が一緒に集まる場面は、どんなに違う場所にいても、みんな同じ今という時間を生きていることを表しています。硬い絆で結ばれたかしゆか、あ~ちゃん、のっちの3人が、デビュー15年という過去を超えて、次の未来に力強く進んでいく姿を、このミュージックビデオで観られたら嬉しいです」(Hirotoさん)

 「Challenger」という楽曲の本質を、見事に捉え映像化する企画を創り上げたHirotoさん。将来の夢について聞かれると、「まだ今のところあんまり決まってないんですけど、この曲のようにチャレンジして、どんどん範囲を広げて行けたらいいなと思います」と答えていた。いつか彼が、再びチームPerfumeと“つながる”未来が訪れるのだろうか。(黒田隆憲)

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