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【re:START】キーパーソンInterview

野村達矢(一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長/株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション代表取締役社長)【中編】

特別連載

1-2

20/5/30(土)

業界が起こしたアクション

(※この取材は5/12にオンラインインタビューで行われました)

[re:START]キーパーソンインタビュー。一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長、野村達矢氏の2回目は、エンタテインメント業界の起こしたアクションと変化の兆しについて聞いていきます。

── 社会や政府に対しても積極的なアクションをされていますよね。

野村 3/4に「#春は必ず来る」という声明文を発表しました。そこでは、今はライブをできないけれども、感染拡大防止に最大限努めて、1日でも早くウイルスに打ち勝って、またエンタテインメント空間でお会いしましょう、というような内容を伝えさせていただきました。とにかく感染拡大防止に注力する時だということを率先して伝えたわけです。そして3/17に、音制連(一般社団法人 日本音楽制作者連盟)を代表して私と、音事協(一般社団法人 日本音楽事業者協会)の堀義貴さん(株式会社ホリプロ)、ACPC(一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会)の中西健夫さん(株式会社ディスクガレージ)の3団体揃ってお声がけさせていただいて、ライブエンタテインメント議員連盟の方々に集まっていただきました。そこで、エンタメ業界の現状がどのようなものであるのかというのをお話させていただきました。多くのマスコミの方々にも関心を持っていただき、ニュースとして広まることで大きな反響をいただきました。その時に報告したのは、ロック/ポップスというジャンルに限って試算しても、3月だけで450億円の損失で、中止・延期された公演が1550公演にも上ると。(※コラム【B】参照)さらに、私は参加していませんが、3/24にACPCの中西さんや、ぴあの矢内廣さんが中心となって首相にエンタメ業界の現状報告をされました。

── どの業界よりも早く、ほとんど全面的に活動自粛をし、かつその困難な状況を積極的に訴えたにもかかわらず、正直言って政府のエンタテインメントや文化に対する態度は冷たいものだと感じました。そこはいかがですか?

野村 特定の業界に対して補償をするわけにはいかない、というのが最終的な政府の回答でした。そして「不要不急」の最初にくるのがエンタテインメントだった、というこの国の態度がはっきりと示されましたよね。これはよく引き合いに出されますけど、ドイツのメルケル首相や文化相の声明が、心に響くものとして多くの人々に受け入れられたし、実際に表現に携わる人たちの勇気となりました。文化というものに対する考え方の違いがヨーロッパと日本とでは如実に違うものだということが鮮明になりましたよね。

── そうした国の態度が鮮明化したからこそ、こちら側(エンタテインメント側)としての課題も浮き彫りになったという側面もありますよね?

野村 そうですね。やっぱりエンタテインメントというものが当たり前にある日常は素晴らしいんだよ、必要なんだよ、ということをちゃんと主張していかなければいけないんだなと思いました。それと、政府に対するロビー活動をこれまで積極的に行ってきたわけではなかったんですよね、我々の業界は。そういったこともある程度は必要だなと改めて思いましたし、アーティストやエンタテインメントに関わる人それぞれが政治を身近に感じて、それについて思ったことを発言する大切さというのも今回の新型コロナウイルスをきっかけに変わっていくのではないでしょうか。やっぱり、星野源さんの『うちで踊ろう』に首相が乗っかったあの動画が象徴的な気がするんですけど、やっぱりエンタテインメントの理解のされ方って、この国の政府にとってはそんなものでしかないんだなと、みんなが思ったはずなんです、あれを見て。だからあれほどの反発があったわけで。そうやって意識が政治に向くことで、選挙に行く人が増えたりして、結果、エンタテインメントや文化の向上のために一人一人が行動しているということにつながっていくような気がしていますね。

── 実際に「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッター上での投稿が拡散したのも、多くの芸能人や著名人の方々の賛同がきっかけとなりました。

野村 今まではアーティストやタレントに対して事務所が政治的な発言などを控えるように言う、という暗黙のルールみたいなものがあったんですよね。でも今回のことでそこの意識が違ってきているような気がしますね。

── 4/7に政府が緊急事態宣言を発表し、4/16に全国に拡大、「STAY HOME」という言葉とともに、自粛期間へ突入します。その期間がエンタテインメントの重要性を多くの人に認識させたように思います。

野村 やっぱり衣食住が足りてるという状態だけで人間的な生活の喜びが満たされるのかと言えば、そうではなくて、そこには喜んだり楽しんだり、場合によっては悲しんだりということがあって初めて人間らしい生活ができるんだということが今回の自粛期間で証明されたんじゃないかなという気がしています。

── 本当にそうですね。では、最終回となる次回は、ポスト・コロナ時代のエンタテインメント、ライブエンタテインメントの今後についてお聞きします。

TEXT:谷岡正浩

コラム【A】

新型コロナとエンタメの流れ

1/16

日本で初の感染者確認

2/15

大阪ライブハウスにて感染者確認

2/26

政府からスポーツ、文化イベント等の自粛要請

2/26

「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」中止

2/29

大阪ライブハウス クラスター発生

3/4

♯春は必ず来る スタート

3/17

一般社団法人 日本音楽制作者連盟)、一般社団法人 日本音楽事業者協会、一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会の3団体と、ライブ・エンタテインメント議員連盟が協議

3/24

「第5回新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」に出席し、新型コロナウイルスによるライブ・エンタテインメント業界への影響についての報告

3/30

TOKYO 2020(東京オリンピック・パラリンピック)2021年7/23~へ延期発表

4/7

緊急事態宣言発令/埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県

4/17

緊急事態宣言発令/全都道府県

5/25

緊急事態宣言解除


コラム【B】

新着エッセイ

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