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南沙良×蒔田彩珠『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』対談 「2人なら大丈夫だと思っていた」

リアルサウンド

18/7/14(土) 10:00

 漫画家・押見修造による人気コミックを原作に、気鋭監督・湯浅弘章、脚本家・足立紳がタッグを組み映画化した『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』が7月14日に公開された。言葉を上手く話すことができず、自分の名前すら上手く言えない大島志乃(南沙良)と、ギターが生きがいなのに音痴の岡崎加代(蒔田彩珠)、2人の少女の姿を通して、誰もが経験したであろう青春の日々を瑞々しく描き上げた作品だ。

参考:『少女邂逅』は“瞬間”の尊さを教えてくれる 忘れがたい光景として胸に焼きつく“煌めき”

 今回リアルサウンド映画部では、W主演を務めた南沙良と蒔田彩珠にインタビューを行った。初の映画主演を果たした心境や、現場でのエピソード、互いの印象、今後の展望について話を聞いた。

ーー2人にとって映画初主演となった本作ですが、魅力や面白さはどんなところですか?

南沙良(以下、南):原作の漫画でもそうですし、映画になってもそうなんですけど、すごく生々しくてリアル。2人の奮闘が一筋縄ではいかないところが、素敵だと思っています。

蒔田彩珠(以下、蒔田):私もやっぱりリアルなところです。学生時代に誰もが経験したであろう悩みや、友人とギクシャクしてしまう感じなど、映画も漫画も見ていて胸が苦しくて。ご覧になる方が、「こんなことあったな」「まさに今の自分なのかもしれない」と思いながら観ていただけるのではないかと思います。

ーー高校生世代だけではなく、幅広い世代の方に響く作品だと思います。初主演が決まったときの気持ちはどうでした?

南:原作を読んだ時点で、志乃役をやりたいなと思っていたんです。なので、オーディションを受けて志乃役に決まったときはすごく嬉しかったんですけど、好きだからこそ、原作の持っているものを壊してしまわないかという不安がありました。

蒔田:私は今まで同年代の方とお芝居をすることが少なかったんです。なので、同い年の3人が中心になって作品を作っていくことがすごく楽しみでした。

ーーお互いの印象はどうでしたか?

南:彩珠とは、初めて会ったときに、何かグッと合うものを感じたんです。初対面では1人でいることを好むタイプかなと思っていたんですけど、全然そんなことはなくて。みんなに気を遣える、まさにムードメーカー的な存在でした。

蒔田:初めて会ったのはオーディションで、メモ帳を渡すシーンを演じたんです。沙良との掛け合いはテンポがすごく良くて、「ちゃんとキャッチボールができたな」という手応えがありました。私も最初は、沙良のことを人見知りなのかなと思っていたんですけど、撮影中もすごく明るくて、初めからあまり不安はなくて、沙良となら大丈夫だと思っていました。

南:2人で話をすることがいっぱいあったし、どんどん距離が近くなっていきましたね。

蒔田:私たち2人の距離が実際に縮まっていったのと同時に、志乃と加代の距離が縮まっていくんです。だから私たち自身が感じたリアルなものが、そのまま映画に映し出されていると思います。逆に、劇中で志乃と加代が離れてしまうシーンなどは、演じるのが難しかったです。

ーー原作コミックは役を演じる上で参考にしましたか?

南:自分と重なる部分がたくさんあると思ったので参考にしましたし、そこを大切にしました。私も小学生や中学生のときに、自己紹介が上手くできなかった経験があるんです。それをすごく思い出しましたね。

蒔田:私も加代と似ている部分はあります。メモ帳を渡すシーンと最後の舞台で歌うシーンは、特に漫画で描かれているものを大切に、忠実に再現したいなと思っていました。

ーー主演という立場や演じるのが等身大のキャラクターということで、これまで出演してきた作品との違いも大きそうでした。

南:やっぱり主演ということで、監督と話をして積み上げてきたものも全然違いますし、そこから生まれた想いとか、作品に対しての捉え方は違う気がします。

蒔田:自分たちが中心になって作品の流れを作っていくということが初めてでしたが、沙良とはオーディションでの手応えがあったし、萩原(利久)くんのことも作品を通して知っていたので、不安やプレッシャーはなかったですね。

ーー萩原さんら同世代の方たちが集まった現場はいかがでしたか?

南:楽しかったですね。萩原くんと彩珠がすごく場を盛り上げてくれて、笑いが絶えませんでした。

蒔田:たしかに萩原くんはすごかったね。私たちと同年代の女子のようなノリでした(笑)。自分の出演シーンじゃないのに、私たちのシーンの撮影にくっついてきた萩原くんが、盛り上げるだけ盛り上げて帰っていくみたいなこともありました。

南:そうそう(笑)。

ーー萩原さんは年齢的に2人より少しお兄さんですよね。

蒔田:4歳上ですね。私もちょうど4歳離れた兄がいるのですが、接しやすかったです。色々な現場で経験を積まれているからだと思うのですが、私たちのことや、スタッフさんたちのこともとても気にかけて下さっていて。1日中撮影をして疲れているときでも、「元気出せー!」って盛り上げてくれて、頼りになりました。

ーー劇中では、南さんは歌を、蒔田さんはギターを披露しています。2人ともかなり練習をしたようですね。

南:歌うことはもともと好きなんですけど、上手ではないので……。

蒔田:上手だよ(笑)!

南:(笑)。人前で歌うことが初めてだったので緊張しましたし、たくさん練習しました。彩珠と監督とカラオケに行って、ギターと歌を合わせたり。

蒔田:私は、初めてギターに触れたので、難しかったですね。コードが全然覚えられなくて、挫折しかけました。右手と左手が違う動きをするので、ひたすら練習していました。

ーー本作は2人にとってどんな意味を持った作品になりましたか?

南:私は自分の中にたくさんコンプレックスがあって、それをどうやって隠そうかとずっと考えてきました。でも、原作に出会って、撮影をして、完成した映画を観て……自分の中の好きじゃない部分に対して、どう向き合っていけばいいのかを考えるきっかけになりました。自分の嫌いな部分こそ、自分の中に還す場所を見つけることが大切なんだということを教えてくれた作品です。

蒔田:お芝居でも、人と関わる上でもそうだと思うんですけど、相手の話を最後まで聞くということが大切だと、改めて思わせてくれる作品になりました。志乃ちゃんは吃音で、最後まで気持ちを伝える前に話を遮られて、笑われてしまう。加代は自分が音痴で、笑われる辛さを理解しているからこそ、志乃の伝えたい気持ちを最後まで聞くということを大切にしようと思っている。でもそれは相手が吃音だからというのではなく、純粋に話をきちんと聞くことが大切なのだと感じているからだと思います。

ーーでは最後に、今後演じてみたい役柄や目標などがあれば教えてください。

南:明るくて可愛らしい女の子、中からキラキラを放っているような女の子の役はやってみたいですね。私は事務所に入ったきっかけでもある新垣結衣さんに憧れているんですけど、そのような、ひとつの型にはまらない女優さんになりたいです。

蒔田:私は満島ひかりさんが大好きで。どの作品も同じ人だとは全く思えないお芝居をされていて、かっこよくて憧れの存在なんです。一歩でも近づけるように、もっと色々な作品や役に挑戦して、経験を積み重ねていきたいなと思います。(取材・文・写真=折田侑駿)

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