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Twenty★Twenty、ジャニーズ事務所所属75名のチャリティ活動への真摯な想い 「smile」レコーディング映像から感じたこと

リアルサウンド

20/8/16(日) 12:00

 8月12日、ジャニーズ事務所所属タレント総勢75名によるユニット「Twenty★Twenty」のチャリティシングル『smile』がリリースされた。特典映像には、ビデオクリップのほか楽曲の世界を絵で表現したリリックビデオ、レコーディングドキュメンタリーを収録。映し出されたリアルな表情には、櫻井和寿(Mr.Children)から託された楽曲、そしてチャリティ活動に向き合う彼らの、真摯な想いが感じられた。

V6、KinKi Kids、嵐…それぞれが届ける歌声

 まず登場したのはV6。坂本昌行の歌唱力、表現力はさすがのもので、狭いレコーディングブースをもステージに変えてしまう。ユニゾンにおいてもとりわけ映える井ノ原快彦の声には、かつてのJ-FRIENDSを思い起こさせる安心感があった。丁寧に言葉を紡ぐ長野博と、Coming Centuryの甘い声。これぞV6だとしっくりくる。25年間、皆が聴いてきた声だ。ビデオクリップでは、三宅健の誠実な表情も印象的だった。

 KinKi Kidsのレコーディングの様子、その表情は、対照的で実に興味深い。ステージでのふるまいと同じく、力いっぱいに歌い上げる堂本光一と、瞳を閉じ、情景をイメージするようにゆるやかに優しく歌う堂本剛。アプローチは異なれど、「届けたい」という想いが、それぞれに強く感じられた。

 嵐は、スタッフとコミュニケーションをとりながら、ときに笑顔をのぞかせ、楽しげな雰囲気でレコーディングを進める。細かな調整を行いながら、テイクを重ねてゆく。なかでも大野智の歌声はやはりクリアで美しく、余韻が耳もとを去らない。

NEWSからKis-My-Ft2まで、個性溢れるレコーディング

 NEWSのレコーディングでは、それぞれが確かな想いを込めて歌い上げていた。細部まで音程を確かめ、歌詞を噛みしめるように、ときに力強く、ときに優しく、想いを乗せてゆく。増田貴久のフェイクには、もはや貫禄さえ感じた。思わず目を奪われてしまう。

 個々の歌唱力が格段に伸びている関ジャニ∞。スタッフと細やかに、楽しげにコミュニケーションをとる姿が印象的だった。思わず笑ってしまったテイクや、エアギターを奏でるシーンも収められ、メイキングでも楽しませてくれる。彼らの歌声は、そうした空間からこそ生まれる、とても温かいものだ。

 KAT-TUNは、それぞれが真剣な表情でレコーディングブースに立っていた。亀梨和也は先輩の声を聴きながら、上田竜也は自分の声とひたすら向き合いながら、中丸雄一は言葉のひとつひとつを丁寧に紡ぎながら。3人とも、本当に優しい声をしている。想いのこもった、ぬくもりのある声だ。

 山下智久は、今回の参加メンバー中、唯一のソロアーティスト。「優しい歌声でいこう」と、相談しながらレコーディングを進めていた。手振りをつけ、歌詞を表現するように歌い込む。カメラを指さす彼の姿は、ビデオクリップのなかでも印象的なシーンだ。

 Hey! Say! JUMPのメンバーは、曲の感想を、歌える喜びを口々に語り、みな嬉しそうにレコーディングに向かっていた。合間には、はじけるような笑顔がこぼれる。大きく全身を使って歌を表現する姿も楽しげで、見ているこちらも笑顔になる。彼ら特有の甘い歌声は、楽曲にジャニーズらしさをもたらす要になっているように思う。

 Kis-My-Ft2はみな、ブースで歌う立ち姿がよく似ている。まっすぐマイクに向かい、真摯な表情を浮かべ、ときに瞳を閉じ、ほんの少し手振りをつける。グループとは不思議なものだ。今回、下ハモを収録している玉森裕太の声が実に良い。年々、歌唱力が高まるばかりでなく、声に、表現に深みが増している。

Sexy Zone、King & Prince、Snow Man…プロ意識も垣間見える映像

 Sexy Zoneは、誠実に、かつ情感をこめて歌い上げていた。みずみずしい歌声は、彼らの持ち味。中島健人は、メイキングカメラにも気を配り、画面の向こうのファンへ想いを届けていた。年齢だけで見ればまだまだ若手と呼べる彼らだが、その佇まいも表現も、もはや堂々たるものだ。

 舞台経験豊富なA.B.C-Zは、レコーディングであることを忘れてしまいそうなほど、ステージ本番さながらに歌い上げ、ダイナミックに楽曲を表現する。それでいて、細やかな指示にも柔軟に、的確に応え、すみやかに調整していく。思い描く通りの歌声を発してみせるプロの仕事を、サラっとやってのけていた。

 “櫻井和寿の楽曲を歌える喜び”を何度も口にしたジャニーズWEST。櫻井からの手紙に目を通す、重岡大毅の表情は実に印象的だった。レコーディングは彼ららしく、和気あいあいと進行するが、歌い始めるとそのギャップに驚く。表情の優しさ、丁寧な歌声、繊細な声のコントロール。七人七様の声質が、それぞれ魅力的に活きていた。

 King & Princeは、久しぶりのレコーディングに少し緊張していた様子。どこか自信なさげなそぶりを見せる場面も。それでも、いざ歌い始めればさすがの歌唱力だ。早くも色気を兼ね備えている。そんななか、グループ最年少・髙橋海人の、少年らしさの残る声は実に魅力的。テクニックや理屈ではなく、まっすぐ胸に刺さる不思議な声だ。

 SixTONESからは、ジェシーと京本大我がソロでフェイクを任されている。伸びやかな声を自在にコントロールするテクニックと、表現力に圧倒された。メンバー個々の声を改めて聴いてみる。歌唱力は言うまでもないが、京本以外はみな、低音域に深みのある男性的な声をしている。他のグループと彼らの毛色がやや異なるように感じるのは、その声色もひとつの要素といえるだろう。

 Snow Manは、普段のにぎやかな雰囲気とは一変。レコーディングブースで、真剣に歌と向き合っていた。スタッフとコミュニケーションをとりながら、細かな点に至るまでチェックを重ねる。櫻井の言葉を心に留め、歌に想いを込める者、何度も声を出して練習を繰り返す者……それぞれがベストテイクを目指す。やはり彼らは、表現において常に「仕事人」だ。

75名の声が重なり、胸に迫るもの

 櫻井和寿が書き上げ、ジャニーズに託した楽曲「smile」。総勢75名の声が重なるその瞬間、迫力とはまた別の「なにか」が胸に迫ってくるように感じた。その正体が、レコーディングドキュメンタリーに隠されていたように思う。楽曲と向き合う彼らの表情は、チャリティ活動への誠実な想いと、歌える喜びにあふれていた。

 気付けばまた、少し曇り始めた日々。雲間から差すあたたかな光のような「smile」が、行く先を明るく照らしてくれるようにと願う。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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