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布袋寅泰 GUITARHYTHMという人生

世界最高峰のミュージシャンによる 全国ツアー&ワールドツアー、そして最近のこと

毎週連載

第6回

19/6/24(月)

全国ツアー「HOTEI Live In Japan 2019 ~GUITARHYTHM VI TOUR~」が6月9日からスタートした。世界最高峰のミュージシャンとともに過去最高のステージを繰り広げるジェットコースターライブ。『GUITARHYTHM』の諸作を軸に多様なサウンドを楽しめる宇宙最強のロックンロールショー。古くからのファンにはどこか懐かしく、新しいファンには斬新な音世界。“最新の布袋が最高の布袋”という方程式は更新されていく。

─── 全国ツアー「HOTEI Live In Japan 2019 ~GUITARHYTHM VI TOUR~」がはじまりました。今回のツアーはどんなスタイルになりそうですか。

布袋 新作『GUITARHYTHM VI』の世界観を皆さんにじっくりと聴いてきてほしいですね。このアルバムは、ライブで聴いたら迫力が5倍、10倍、いや何百倍にもなると思います。今回は久しぶりに、もしくは初めて訪れる街や会場も多いんです。昔ながらのファンの皆さんにとって “GUITARHYTHM”というキーワードは特別な思いがあるでしょう。また、最近は中学生や高校生のギターキッズや女性ファン、年配の方々も含め、初めて僕のライブに足を運んでくれる人も増えていて、新旧のファンがそれぞれ楽しんでもらえるようなライブにしたいと思います。

─── 最近、布袋さんのライブを訪れると、確かにファンの重層化を感じますね。

布袋 僕の歴史を何も知らない人が、ふと友達に連れられて会場に入っても最高に楽しめる、全員が観る前より元気になって気持ちよく帰れるライブにしたい。いつものジェットコースターのようなスリルと絶頂感に加え、今回は一編の美しい映画を観たような、じわ〜っと心に何かが残る、帰り道の景色がいつもと違って見える、次の日の自分が違うように感じる……。そんな余韻を心に残せるライブをしたいな。今回はベースとドラムが『GUITARHYTHM VI』のレコーディングに参加しているマーク・ニアリー(Noel Gallagher、Adele)とスティーブ・バーニー(Anastacia、Jeff Beck 、Eurythmics)なので、今までとはまたひと味違う、重厚でうねりのあるサウンドになると思います。

─── その他のツアー・メンバーは?

布袋 ここ数年ずっと一緒の信頼できるメンバーです。岸利至(マニピュレーター)、奥野真哉(キーボード)、黒田晃年(ギター)。いいバンドだよ。

─── 鉄壁のメンバーですね。黒田さんは、先日、テレビ番組『関ジャム 完全燃SHOW』に出演して、布袋さんについて語られていましたね。

布袋 そうだね。歌いながらギターを弾くっていうのは、単純にフィジカルなことだけじゃなくて、歌の精度やギターの精度を思うとなかなかアクロバティックで大変な作業だけど、黒田君はフレーズだけじゃなく、僕のこだわっている音の出る瞬間と消える瞬間をしっかりと理解し、表現してくれる。とても頼もしいし、僕はより自由に歌、ギター、パフォーマンスに集中できる。近年、僕のライブパフォーマンスの精度が上がってきたのは間違いなく黒田君の存在のおかげだね。彼は『GUITARHYTHM Ⅲ』のときのライブ(1992年の「GUITARHYTHM WILD TOUR」 )を故郷の札幌で観てギターをはじめたという、完全なる“ギタリズムチルドレン”だからね。フレーズだけじゃなく、スピリットをしっかり僕の隣で奏でてくれるのは心強いよね。

─── チルドレンといえば、サーフ系のアコースティックなサウンドをやっているMiyuuという女性シンガーがいまして、BOØWYサウンドで育った20代の子なんですよ。ジャンルにとららわれることなく、次のジェネレーションにもスピリットが受け継がれているのは素晴らしいことだと思います。

布袋 へえ、うれしいことだね。いい音楽は必ず世代を超えるということだ。

─── 親がCDを聴いていると子どもが自然とハマっていく、3世代ファンというパターンも増えていますよね。

布袋 そうだね。ぜひ、アルバムを気に入ってくれた方は、ライブに参加してほしいな。ものすごいよ。布袋チームは!(笑) 人生変わるよ。最近は家にCDプレーヤーがないっていう人が多くなってきたでしょ? 車のCDプレイヤーもオプションで選択する時代だからね。

─── よりパーソナルに、スマホで音楽を、しかもストリーミングで楽しむ時代となったことで、ライブが重要になってきていますよね。今回、日本でのツアーの後は、海外でもツアーを?

布袋 もちろん積極的にやるよ。こればっかりは続けていくしかないからね。小さなライブハウスだろうが、完全アウェイのイベントだろうが、自ら経験を重ね、学びとっていくしかないんだよね。チャンスは待ってるだけじゃダメ。自分で探しにいかなくちゃ。ジャパンツアーが終わって次にどんなアプローチがはじまるかというのは、まだ報告できる段階ではないんだけど。なかなか「グラミー賞受賞!」とか「BTS(防弾少年団)に続いてアジアのアーチティストとしてビルボードのチャートで1位獲得!」みたいな華々しいニュースは届けられないけど、僕にしかできないことをやっていきたいと思ってるよ。9月にはロンドンでのライブも決まっています。

─── 『GUITARHYTHM VI』での成果にも表れていますが、この数年、着実に、経験値を積み重ねていますよね。

布袋 インターネットや、YouTubeなどで昨日まで誰も知らなかった情報やモノを世界中に届けられるという便利な時代だけど、だからといってそう簡単に自分のスタイルを変えるわけにはいかないしね。ギタリストとして、作曲家として、サウンドメーカーとして、どうやって自分を世界に伝えていくかっていうのは、なかなか答えの見えない部分でもあり課題だね。世界の扉は厚いよ。でもきっといつかチャンスを手にいれる、って自分を信じているよ。その来たるべきときのために毎日一歩ずつ前に進んで自分を磨いておきたい。時代も刻々と変化するわけで、常に時代と向き合い、自分をアップデートしていかなきゃね。

─── 続けることで、思いもよらぬ経験につながっていくということですよね。布袋さんはこれまでも、アトランタオリンピックの閉会式への出演や、映画『キル・ビル』のテーマソング、ローリング・ストーンズとの共演など、奇跡のような経験を積み重ねています。

布袋 そうだね、引き寄せるのも才能のひとつでしょ(笑)。こればっかりは待ってるわけにもいかないし、ポジティブマインドには、必ずポジティブな何かが返ってくる、と信じるしかないね。自分の中に閉じこもっていちゃ、何も起こらないし、誰も気づいてもくれないから。30余年という長いキャリアの中で、世界が大きく変化し進化したけど、これからはもっと時代が加速してゆくと思います。そのスピードに振り落とされないようにしっかり踏ん張って、自分らしく生きていきたい、と願うのは僕だけじゃないはずです。

─── BOØWY時代から、GUITARHYTHMを経て、ほんと遠くまでやってきましたよね。

布袋 そういえば、BOØWYの『LAST GIGS』のライブ盤がまた出たね。

─── 東京ドームでの最後のライブ『LAST GIGS -THE ORIGINAL-』が、未発表の4月4日の音源を加えて6月12日にリリースされました。

https://www.universal-music.co.jp/boowy/

布袋 30何年前の話ですよ。でも、こうやって愛され続けているのは、ありがたいことだし、うれしいことだよね。ファンのみんながずっと守ってくれた。そして色褪せないように磨き続けてくれたおかげ。そういえば、COMPLEXの「BE MY BABY」がシャンプーのCMで使われていますね。とてもハツラツとしていて素敵だね。

─── 川口春奈さんが歌い踊りながらのCMがキュートだし、カッコいいです。

布袋 小渕(恵三)さんが「平成」って元号を掲げて発表して時代が変わった瞬間を、僕らはカリブ海のモンセラット島でワールドニュースを通じて知ったことを思い出しました。まさにCOMPLEXの「BE MY BABY」を録音していたんだ。昭和から平成へ。そして平成から令和に変わった今、昔を振り返ると感慨深い。自分の作った音楽が時代を超えて今も輝いているのを見聞きするのは感動しますね。

─── 布袋さんが作る音楽は枯れないというか古くならないんですよ。そのあたりのセンスとして大事にしていることはあるんですか。

布袋 音へのこだわりでしょうね。音が鳴る瞬間のインパクト、そして爽快感。「パーン!」って瞬間がスパークするような躍動感。シンプルだけど余韻が残る「音」。そこがタイムレスなんでしょうね。みんな、心で叫びたいんですよ、「ジャカジャーン!!!」って。その声を僕がずっとギターで叫んでる。新しいけど懐かしい、懐かしいけど古くない「音」。それはこれからも大切にしていきたいし、追求し続けたいと思います。

当連載は毎週月曜更新。次回は7月1日アップ予定。布袋寅泰のライフワークの原点であるソロデビューアルバム『GUITARHYTHM』の誕生について深掘りします。

プロフィール

布袋寅泰

伝説的ロックバンドBOØWYのギタリストとして活躍し、1988年にアルバム『GUITARHYTHM』でソロデビュー。プロデューサー、作詞・作曲家としても高く評価されており、クエンティン・タランティーノ監督の映画『KILL BILL』のテーマ曲となった「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」が世界的に大きな評価を受ける。2012年より拠点をイギリスへ。2014年にはThe Rolling Stonesと東京ドームで共演を果たし、 2015年10月にインターナショナルアルバム『Strangers』がUK、ヨーロッパでCDリリースされ、全世界へ向け配信リリースもされた。2017年4月にはユーロツアー、5月には初のアジアツアーを開催。6月9日から「HOTEI Live In Japan 2019~GUITARHYTHM Ⅵ TOUR~」で全国24ヵ所24公演を巡る。


取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

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