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佐東利穂子&アレクサンドル・リアブコと創作する「羅生門」に勅使川原三郎「一歩前へ」

ナタリー

勅使川原三郎版「羅生門」記者会見より。左から勅使川原三郎、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ。(c)Naoshi Hatori

8月に東京と愛知で上演される勅使川原三郎版「羅生門」の記者会見が、本日7月15日に愛知・愛知県芸術劇場で行われた。

これは、同劇場芸術監督の勅使川原三郎が、芥川龍之介の小説「羅生門」をもとに創作するダンス公演。振付・演出・美術・照明・衣装・音楽構成を勅使川原、アーティスティックコラボレーターを佐東利穂子、笙の演奏を宮田まゆみが担当し、勅使川原、佐東に加え、ハンブルク・バレエ団のアレクサンドル・リアブコが出演する。

記者会見には、勅使川原、佐東、リアブコが登壇。まず勅使川原は「リハーサルは順調に進んでいます」とクリエーションへの手応えを述べると共に、「リアブコさん、佐東さん、私という、ある意味で強力な3人のキャラクターを生かし、公演を成功させたいと思います」と意気込みを語る。また原作の「羅生門」については「平安時代の都が舞台ですが、その時代は飢饉や天変地異によって町に人間の死体が転がっているような状態でした。都には“鬼”が住むとささやかれる羅生門という朽ちた門があり、老婆や死に損なった人たちなど、死と生の狭間にいる人間が区別なく放置されている。そこへたどり着いた下人の男は、『自分だけは落ちぶれたくない』と思いながらも、さまざまに葛藤します。今作は非日常的でありながらも、今の私たちが共有できる“時代の混乱”を描いていると思いました」と実感を込めて話す。

創作にあたり、勅使川原は「コロナ禍という困難を前に、歩みを止めず、一歩前へ出ていくことが芸術家の態度として必要なことではないかと思っています。危機的状況や混乱の中にしか映し出されない現実、見えてこない美しさもあるのではないかと。そういったことをテーマにダンスを創作したいと思っています」と真摯に語った。

続いて、リアブコは「勅使川原さんのことは、パリ・オペラ座でのご活躍も聞いておりましたが、実は実際に生で作品を拝見したことはありませんでした。『羅生門』のこともまだ知らない状態だったので、最初のオファーは私にとって大きなサプライズでした。コロナ禍という厳しい状況の中、いつもと違ったプロセスを試しながら、新しいステップを歩んでいかねばなりません。私にとっても、これまでになかった経験となるので、楽しみにしております」と笑顔を見せる。

昨日初めて愛知を訪れ、勅使川原、佐東と対面したというリアブコは「自粛期間中に始まったリハーサルは、勅使川原さんとSkypeでコミュニケーションを取りながら進められました。勅使川原さんは『身体がどのように感じているか?』ということを常に問われ、ビビッドなイメージを次々に与えてくださり、とても興味深かったです。愛知に来て同じ空間で共に探求し、作品をどのような形でスタジオから劇場に持っていけるのか期待しています」とコメントした。

「対面でのリハーサルが始まり、喜びを感じています」と思いを述べる佐東は「勅使川原さんはよく文学作品に想を得て作品を作られていますが、毎回思いも寄らない多様な作品が生まれています。今回の『羅生門』がどこに向かうのか、私自身も新鮮な気持ちで作品に向き合っていきたいです」と意気込む。

リアブコと佐東の言葉を受け、勅使川原は「お二人は謙虚で、内面的に強いものを持っているという点が共通しています。余計な力を込めず、地に足がついていて、自分自身としてその場にいられる表現者です。2人の存在に私自身も力付けられています」と2人に信頼を寄せた。

勅使川原三郎版「羅生門」の公演は、8月6日から8日まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、11日に愛知県芸術劇場 大ホールにて実施される。

勅使川原三郎版「羅生門」

2021年8月6日(金)~8日(日・祝)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2021年8月11日(水)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

原作:芥川龍之介「羅生門」より
振付・演出・美術・照明・衣装・音楽構成:勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子
出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ
笙演奏:宮田まゆみ

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